View of the World - Masuhiko Hirobuchi

July 28, 2005

「ゴディバ」の起源 -学生へのメール

いま世界で最も有名で人気のあるチョコレートメーカー(ショコラティエ)はどこか? まず文句なしにベルギーのゴディバでしょう。この店のショコラはたしかに美味しい! この名は伝説の貴婦人の名前からとったものです。時は11世紀のイギリス。コヴェントリーの住民たちは、頑固な領主(伯爵)の課す重税に苦しみ抜いていました。いくら減税を嘆願しても伯爵は聞いてくれません。領民たちの苦しみを見かねた伯爵夫人ゴディバは、心を込めて夫に減税を懇願しました。初めはまったく聞く耳を持たなかった夫は、やがて冷酷に言い放ちます。「もしそなたが生まれたままの姿で、市場の周囲を一周したら、願いを聞いてつかわそう」。レディ・ゴディバは懊悩の末、ついに住民たちのために、一糸まとわぬ姿で白馬に乗り市場へと向かいます。四旬節の日曜日のことでした。このことを予め知っていた領民たちは、ゴディバの高貴な振る舞いに感動し、固く窓を閉ざしてだれ一人外を見なかったそうです。欧米では彼女の名前は非常に有名です。この高貴な人の名を、1920年代に用いた現在のゴディバ社の着眼はすばらしいものです。同社の成功は、ネイミングで決まったとも言えます。この話には続きがあります。だれも外を見なかった中で、ただ一人仕立屋のトムだけが、窓から外を覗いていました。のちに「覗き屋のトム(ピーピング・トム Peeping Tom)」として歴史に悪名を残す男です。だが彼はその罰として、たちまち盲目になってしまいました。聖母マリアの怒りにふれたらしいのです。 

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COMMENTS

1 : callaway : October 3, 2005 07:04 PM

ゴディバの高貴な振る舞いに感動し領民たちは、窓を閉ざしてだれ一人外を見なかった。だが、だれも外を見なかった中で、ただ一人仕立屋のトムだけが、窓から外を覗いていました。のちに、覗き屋のトムという悪名がついて盲目になってしまいました。私はきっと彼は一糸まとわぬ姿で白馬に乗り市場を周るゴディバに華麗なる服を仕立てようと思ってゴディバの姿を拝見したのだと思います。仕立屋ならば、一度体格をみれば服のサイズも計算し、仕立てることができるからです。

2 : ラ・マンチャの男 : October 3, 2005 10:21 PM

Callaway様 コメントを有難うございます。トムがゴディバの裸身を見たのは服を仕立てようとして見たのだろうという推測は、独創性があって非常に面白いです。しかし欧米では「仕立て屋」(テイラー)というのは、普通は「紳士服の仕立て屋」を指します。彼はそんな純粋な動機から見たのではなく、もっと単純に貴婦人の裸を見たかったのでしょう。とにかく「ピーピング・トム」という言葉は現代の日本語としてもけっこう使われますので、記憶に留めておいてください。繰り返しますが、貴方の発想はきわめて独創的で型にはまっていないところが面白いと思います。

3 : メガネくん : October 4, 2005 11:44 AM

 「勇士の名前を付けたチョコ」のように、世界では英雄や素晴らしい行いをした人の名前が、いろいろな商品や会社の名前として付けられることが多いようですね。海外ではネーミングがその商品や会社の運命を左右するほど大きな意味を持つものだと改めて感じました。
 日本でも聖徳太子チョコとか発売したらヒットするでしょうか?(笑)