View of the World - Masuhiko Hirobuchi

July 30, 2005

ユーロビジョンが果たしてきた役割 -学生へのメール

テレビへの批判は数々ありますが、テレビが世界の人々の相互理解と友好にはたしている役割がどんなに大きいかをもっと考えてほしいものです。テレビは他国の人々に対する疑心暗鬼を取り除き、嘘をいう政治家を見破り、登場する人物が信頼できる人かどうかをかなり正確に伝えるものです。日本人と同じように、他国の人びともテレビを見て笑ったり、泣いたり、感動したりしています。アメリカではカラーテレビの普及期に、じゅうたんがよく売れました。白黒テレビが各部屋に普及し、家族の連帯感が失われかけていたところへ登場したのがカラーTVでした。カラーテレビがリビングルーム登場したおかげで、家族みんながふたたびテレビ受像機の前に集まってきて、寝そべったり頬杖を突いたりして画面に見入る習慣が生まれ、家族の絆が強まりました。そういうことをするためにはじゅうたんが必要だったのです。カラーテレビが生んだ思わぬ副産物です。ヨーロッパは、第二次大戦のあと、現在のEU(ヨーロッパ同盟)の母体となるEEC(欧州経済共同体)などの組織をいくつか作りましたが、一般大衆がフランス人だ、ドイツ人だといった狭い国民国家的発想を脱け出して「本当に自分は『ヨーロッパ人』だ」と実感できたのは、ユーロビジョン(Eurovision)のおかげでした。これはヨーロッパ各国のテレビ番組が相互に乗り入れるネットワークです。中でも年に1度開かれる「ユーロビジョン歌のコンテスト」が、大人気で、これが「ヨーロッパ人」の自覚をうながした最大の力でした。「テレビは平和を生み出し、戦争を抑止する力を持っている」ということを、私はかねがね情熱を込めて語ってきました。世界にはまだまだ憎しみが満ち、戦争の危険が潜在していますが、もしテレビがなかったら、もっと悲惨な戦争が起こっていたと思います。

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COMMENTS

1 : fujimino : August 2, 2005 03:59 PM

初めまして、monkeyさんのお勧めで訪問させて頂きました。

素晴らしい記事でとても勉強になります。

確かに、対立は、身近にいればいるほど、相手への理解が無いと起きるものです。
同じ屋根の下に住みながら、会話もなく、すれ違いの生活を続ける親と子の家庭では多くの問題が発生しやすいものです。
そんな家庭でテレビを囲み、同じ番組をみんなでみる事により、共通の話題が持て、意志の疎通が図れるようになるのと同様、国境を多く接しているヨーロッパの国々では、テレビの力も大きいのでしょうね。

丁度、韓流ドラマにより韓国がずっと近づいてきたように、日本、韓国、中国が同じ番組で、のど自慢など行えばもっと相互の理解が深まっていくのかも知れませんね。


[from Hirobuchi]

fujimino様

monkey さんは私の高校時代からの友人です。おそらく同期生の中では最もパソコンにすぐれた人です。その彼の紹介で、私のHPをご覧いただき本当にありがとうございます。
テレビが諸国の人々の相互理解に果たしている役割の大きさにご賛同いただき心強いかぎりです。今後ともいろいろと新しい話をお伝えしてゆきますので、どうかよろしくお願い申し上げます。