View of the World - Masuhiko Hirobuchi

August 08, 2005

「フィネッス」という仏(英)語の感触 -学生へのメール

だいぶ前にブレーズ・パスカルが人間の心を分類して「幾何学的精神」(エスプリ・ジェオメトリク)と「繊細の精神」(エスプリ・ド・フィネッス)ということを言ったと伝えました。問題はこの finesse です。理屈っぽくなく、さりとてベタベタした人情路線(?)でもない。非常にデリケートな感覚が要求される感触です。日本の英語教育では、こういう言葉がいかに大切かを教えませんが、英米ではかなり普及している言葉です。いちばん分かりやすいのは、ゴルフのボールを打ってきて、最終的な目標である「グリーン」に乗せる時です。ふわーっと空中高く舞い上がったボールが、じつにやわらかくグリーンに舞い落ちてくるのが理想とされているのですが、そのグリーンにすとんと落ちる繊細なタッチのことを「フィネッス」の感覚と呼んでいます。このたとえ話はゴルフをしない人には分かりにくいかも知れませんが、想像で補ってみて下さい。ゴルフというのは、力まかせに打てばよいというものではありません。人間の心も同じです。いたわるようにフワーッと空中に舞い上がるボールが、よく刈り込まれたグリーンの上にやわらかく舞い降りてくる感触。これがゴルフの醍醐味です。アメリカでゴルフの生中継の解説をする人は「これがフィネッスの感触ですね」などとよく使いますが、日本ではまず聞きません。短絡したくはないですが、日本からはだんだん「繊細の精神」が失われてきているためだろうか、などと邪推(?)したくなってきます。

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