View of the World - Masuhiko Hirobuchi

August 30, 2005

マスコミが水玉のタイを持ち上げた日 -学生へのメール

The days when Japanese journalism praised a guy wearing polka dots -- The danger of annihilating opposing ideas

いよいよ総選挙です。マスコミは小泉首相の「郵政改革に賛成か反対かを問う選挙だ」という言葉にすっかり幻惑されて、過去4年余にこの内閣が犯した失政に目をつぶっています。メディアのムードは完全に「郵政民営化賛成派=善」「今回の法案反対派=悪」となっています。これを見ていると、今から十五年ほど前の状況を思い出します。そのころ水玉のネクタイが大好きな首相がいました。マスコミは水玉のタイを「清潔感がある」とし、利権や政治的術策とは無縁の人柄の象徴と見ました。首相の能力や見識は問題にせず、ひたすら「水玉=清潔=善」という報道に終始しました。あたかも水玉のタイが、国民を幸せにしてくれるようなムードを煽ったのです。しかしアメリカなどでは、水玉のタイを締めた男は「いざという時に決然たる意思決定ができない」「優柔不断な男」という見方があるのです。水玉を大好きだったABCのニュースキャスターが「視聴者の信頼を損なう」との理由で、これを締めることを業務命令で禁じられたほどです。命令を下した上司は、「タフガイは水玉なんか締めないのだ Tough guys don't wear polk dots.」 と言いました。そういうマイナス面を、日本のメディアはまったく伝えませんでした。おそらく水玉にそういうイメージがあることを知らなかったのでしょう。何事も「白か黒か」「善か悪か」で色分けしてしまう報道の危険さを、日本は戦時中に十分味わったはずです。しかしメディアは懲りることなく、この善悪二元論にのめりこんでいるようです。

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COMMENTS

1 : tiakujyo : August 31, 2005 03:03 PM

先生の言いたいことは、水玉のネクタイではないでしょうが、思わず笑ってしまいました。 夫は、水玉ネクタイ大好き首相の SPだったのです。今でも、水玉ばかりで大得意。 それがアメリカでは、「意思決定ができない・優柔不断な男という見方」ですって。
知らなかったな~、みんなして。 

2 : 湖の騎士 : August 31, 2005 09:23 PM

これはまた失礼しました。本当に世間は狭いです。私の言いたいことは、海部さんが悪いということではなく、水玉を持ち上げた政治部記者たちのだれ一人として、「水玉のネガティブな意味」を伝えなかったという、日本のマスコミの「歪み」なのです。1994年の12月に私は朝日新聞の「論壇」に「タフガイは水玉のタイを締めず」という一文を書き、これが大変大きな反響を呼びました。日本記者クラブの新年宴会では、数多くの政治記者から「ああいう文章は我々のように国内にばかりいた者には書けない」といわれました。海部さんは今でも私を恨んでいると思います。しかしよく読めばこの文章はあまりにも思い入れ過多のマスコミ批判なのです。

3 : HANA : September 1, 2005 08:13 PM

>1994年の12月に私は朝日新聞の「論壇」に「タフガイは水玉のタイを締めず」という一文を書き、これが大変大きな反響を呼びました。
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 おぼろげな記憶ですが、覚えています。この記事を書かれたのが廣淵さんなんですね。

 上のコメントのtiakujoさんもだんな様は元首相のSPをなさった方だそうで、そんな方たちとこんな風にお話をさせていただけるなんて、なんて素敵な時代なんでしょう。

 私は学生時代をのぞいて毎回選挙に参加しています。もちろん今回も行きます。特に支持する政党はありませんので、主に新聞の情報でその都度投票する方を決めます。

 今回はネットでも色々情報収集してみようと思います。

 廣淵さんから2度目のメールをいただいて感激でした。コメントをするのがちょっと怖かったのですが、これからは気楽にコメントさせていただきますね。

 先生のホームページを私のブログのブックマークに入れさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。

4 : 湖の騎士 : September 1, 2005 10:31 PM

HANA様 「タフガイは水玉のタイを締めず」をおぼろげにではあっても覚えていてくださってありがとうございます。ブログを始めてよかったです。私は政治的には「よりよい政治をしてくれる政党であればよい」という方です。ただし価値判断をするにはたしかな「情報」「知識」が必要という立場です。残念ですが海部さんは外国のリーダーたちから「優柔不断」と見られていました。側近なりマスコミが「水玉をおやめになっては」というべきでした。異文化(ネクタイもそうです)との接し方は難しいです。tiakujyo さんは心の大らかなユーモア豊かな方で、私のことを怒りもせず、笑っておられます。じつに素敵な方ですね。今後ともどうか気楽にお付き合いください。小泉さんについては「異論を許さない」というところに、日本を戦争に駆り立てた軍人政権とダブって見えて「危険」を感じます。

5 : 恭華留斐 : September 2, 2005 03:18 PM

善悪二元論に関してですが、多くの物事は立場などによって善とも悪ともとれるように思います。しかし、善悪がはっきりしていた方がわかりやすく、説明もしやすいのかもしれません。そのため特に公の場で本来善悪の判断がしにくいことでも、二元化してしまうのだと思います。マスコミなどが楽だからといって二元化してしまった報道は、人々から考える力を奪い、さらには思想などの自由をも奪っていることになるのではないかと感じます。

上記のコメントのtiakujyoさんのだんな様のお話ですが、きっとその元首相のお人柄がよかったからこそのことなのだろうと思い、とてもほほえましいことだなと感じました。

小泉首相の政治手法に関しては、私の父や母も「軍事国に近づいているようだ」と言っています。
より多くの人が自分自身でしっかり考え投票に行けば、少しはよくなるのではとも思いますが…。

6 : cherry : September 2, 2005 08:12 PM

小泉首相は水玉のネクタイが好きみたいで、よくテレビで見ます。今回の選挙は、水玉のネクタイではありませんが、水色のネクタイを好んで着けているようです。
日本のメディアは、このネクタイをどう捉えているかは分りませんが、各党の党首のネクタイを見てみるのも面白いかもしれませんね。

7 : 湖の騎士 : September 2, 2005 10:18 PM

cherry 様 コメントをありがとうございます。小泉首相はたしかに水色のタイをよく締めていますね。岡田代表は赤が多いようです。アメリカ大統領や会社の最高幹部(CEOなど)は意思の強さや決断力を表すために「パワータイ」という赤地系のものをよく締めるそうです。それにストライプも。水玉は銀行員など「人に威圧感を与えない」職業の人に好まれているそうです。

8 : fujimino : September 3, 2005 11:37 PM

確かにそうですね。
日本の常識だけで物事を判断して良くても、それが世界でどのように解釈されるか、そこを良く認識しなければ、世界と対応は出来ません。
それが例え風水で良くても、それは西欧には通用しないわけですから。

それに、経済も政治も、色々な要素が絡み合い、多くの考えが積み重なって方向が決まるものです。
にも関わらず、その時点だけの論理や考えと面白さに重点を置き報道しているように思えます。
この為、全ての報道が、その瞬間の良いか悪いか、面白いかつまらないか、で評価されてしまうようです。
もっと深く、単なる表面上の解説でなく、持続性を持って、ぞれぞれの党首や政党の考えを掘り下げて欲しいものです。

9 : 湖の騎士 : September 4, 2005 11:03 AM

書き込みありがとうございます。できるだけ多角的に物を見、ある意味で意地悪な目と耳で報道に接する人がふえてくることが、日本を住みよい国にする道だと思います。マスコミの現場もけっこう単細胞な人が多いですからーー。

10 : ラ・マンチャの男 : September 5, 2005 11:21 AM

恭華留斐様
コメントをありがとうございます。どういうものか日本人は善悪二元論が好きで、それにより破滅を迎えたにも関わらず懲りていません。ルーシーがチャーリー・ブラウンに「朝日が好きか夕日が好きか」と迫る場面がありますが、少年はそのどちらでもない、「中間」というものがこの世にはあるーーと思っているのです。しかし少女はそういう中間の存在を認めない。白でも黒でもない、グレイゾーンが今の日本には必要です。ところで「湖の騎士」はカッコよすぎるとの批判(?)を浴び、改名しました。

11 : tiakujyo : September 6, 2005 10:12 AM

[「湖の騎士」はカッコよすぎるとの批判(?)を浴び、改名しました。]
は~~い、了解しました。実はつい先日、これからちょくちょく書かせてもらえそうだからと、「湖の騎士」を用語登録したばっかりでした。至急、「ラ・マンチャの男」に変更登録しま~す。

12 : ラ・マンチャの男 : September 6, 2005 06:47 PM

tiakujyo様 勝手に改名してご迷惑をかけました。自分で改名したつもりで画面に書き込んでもそのまま載るものですから、はたしてこの名でアプローチしていただけるのかどうか、ちょっと不安です。市役所ならぬ Internet当局 に届けを出す必要があるのかどうかを、私の師匠(メンター)に聞いた上でまたご連絡します。申し訳ありませんでした。