View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 26, 2005

手がかりがなくともーー世界最良の放送局(2)ーー -心のメール

前回は「世界で最もすぐれた放送局」というテーマでクイズまがいのことを書きました。コメントを下さった何人かがアメリカのCBSをベスト放送局に挙げていました。しかしまったく手が出ないという方もいました。こういう場合はシャーロック・ホームズなみの推理力(?)を働かせるしかありません。私たちが首脳や文学者や芸能人を知っている国というのは、世界でそう多くはないのです。放送局で名を知られているというのはごく少ないはず。「ふんふん、だいぶ絞りやすくなってきた。つまり有名な国で、有名な放送局ということか」というふうに頭が回っていきます。「やはり先進国で、民主主義が行きわたり、自分の良心に基づく番組が作れて、政府が番組やニュースの事前検閲などしない国。言論・報道の自由があり、国民の知的・文化的水準が高く、良質の番組をエンジョイできる視聴者が存在する。何よりもフェアーな放送ができる。過剰な視聴率競争や商業主義に毒されていない」ということになってきます。調子が出てきました。もう一息ですーーということで、お待たせしました。世界の放送関係者が、まず文句なしに「最良」と認めている放送局(放送網)というのは、イギリスのBBC(英国放送協会)なのです。BBCがここまでになるには長い苦闘の物語があります。私などが感動で体がふるえるような歴史もあります。このすぐれたシステムを生み出したイギリス人の知恵と組織にとって創業者の理念と信念がいかに大事かということを、次回以降に書きたいと思います。

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COMMENTS

1 : 悠々 : October 26, 2005 10:23 PM

やはり、BBCでしたか。
私が大好きな放送局なので、嬉しいです。
BBCが好きな点は、番組作りにネッチッコイほど時間と手間を掛けているのが素人の 私にも伝わってくるのです。
NHKなどを見ていて、良い番組だな!と感心して最後のテロップを見ると、制作はBBCであることが度々あります。
我が国の公共放送局と名乗っているところは、金は確かに掛けているのが分かります。
大袈裟な機材と多数の人員を投入して、無知なタレントと、お調子者の学者と称する人物を動員したりしています。
おまけに録画ではなくライブで地球の裏側から中継したりする事には熱心です。
スタッフの物見遊山番組ですよね。
そのくせ1時間番組に5年の歳月を掛けるなんて根気はまるで無いのですから、情けないです。
BBCの創世記のエピソードが次回に伺えるというのは楽しみです。

2 : リッキー : October 26, 2005 10:54 PM

先生こんばんは。昨日の授業でBBCということで納得しました。イギリス人はジェントルマン意識が強く、自分の信念に従い、良心に従って生きているため、仕事にもそれが影響していると私は考えています。それが、放送の世界でも一緒で、放送内容においてもジェントルマン意識が強いのではないかと思います。悪いことは悪いと、たとえ自国の事であってもしっかりと報道している。よってBBCはすぐれているのですね。

3 : callaway : October 26, 2005 11:00 PM

BBCの正式名称はBritish Broadcasting Corporation ですよね。昨日の授業でBBCが「世界で最もすぐれた放送局」であったとは頭の片隅にも浮かんできませんでした。勉強不足でした。自らの教養知識のなさにはショックをうけるあまりです。  調べてみるとBBCは2つの公共テレビ局、24時間ケーブルニュースチャンネル、5つの国内ラジオネットワーク、インターネットニュースサービスとデジタルケーブルステーションを運営しているそうですね。 この取り組みには、政府や公共機関、公共企業が、自らの資産のなかに、商業目的の価値ではなく、むしろ公的な価値を生み出すのに力をそそいでいる思いが伝わってまいりました。
 個人的な質問になりますが、世界的に有名な空手家「今は亡きスイスの英雄、日本魂をもった蒼い目をしたサムライ」をご存知でしょうか。


4 : ラ・マンチャの男 : October 26, 2005 11:33 PM

悠々様 前のコラムではただお一人「BBC」に言及され、学生たちに「やはり世間には物の分かった方がいらっしゃる」ということを教えてくださいました。本当に有難うございました。BBCの番組もスタッフも自然体ですね。変に視聴者に媚びて、ご指摘のように頭の空っぽのタレントを起用してドキュメンタリや教養番組を作るなどというどこかの公共放送とは全然ちがいます。私などは海外取材に出かけ一人でこなしてきた仕事を、この局は4人がかりくらいでやっていました。受信料の無駄遣いは目に余ります。この局についてもそのうち取り上げますが、今はBBCの正確な生い立ちを伝えることに集中するつもりです。今後ともよろしくお願い申し上げます。

5 : ラ・マンチャの男 : October 26, 2005 11:39 PM

リッキー様 BBCと「ジェントルマン意識」を結び付けた視点は説得力があります。この「ジェントルマン」というのもけっこう難しい概念なのですが、深入りするときりがないので、「大方の理解」ということでいいでしょう。私のコラムで「フェアーな放送」という言葉を使っています。この「フェアー」という言葉をしつこく(根掘り葉掘り)調べてください。イギリスを理解するキーワードです。

6 : ラ・マンチャの男 : October 26, 2005 11:45 PM

Callaway様 初めBBCについて想像もつかなかった貴方が今ではBBCが運営するチャンネル数や組織の実態について相当の「通(つう)」になっています。「知る」というのは本当に楽しく面白いことですね。さてご出題のスイスの空手家。この業界(?)について全く知らない私には見当もつきません。他の読者の方にも参考になると思うので、ぜひ教えてください。

7 : Conan Doyle : October 27, 2005 12:46 AM

政治権力に影響されない。自国にとって不利益な情報であっても必ず伝える。だからこそ、BBCは世界中の人々から信頼される放送局であり続けているのだと思いました。
たまになんですが、私は、「BBC WORLD」というニュース番組を見ています。日本のメディアでは伝えられない世界のニュースや違った角度から日本のニュースを見れるのでとっても勉強になります。よろしければ、皆さんも一度ご覧になって下さい。

8 : ラ・マンチャの男 : October 27, 2005 10:13 AM

Conan Doyle様 「シャーロック・ホームズなみの推理力(?)を働かせて」と書いたら、とたんに生みの親が出てきてくれました。こういうところがブログの面白さですね。BBCが世界で信頼されているのは、なにも「エエカッコシイ」だからではありません。彼らのやっていることは、本音であり、「地」です。その本音のところが世界の視聴者の信頼を得てきたのです。こうした「社風」というか「企業文化」がどのようにして育ってきたのかを、考察していきましょう。「BBC World News」をご友人に薦めるというのは非常にいいことです。ぼやーっと見ているだけで、けっこう世界が広がりますから。メディアに目の(耳の)肥えた人がふえるとそれだけ社会が活気づきます。

9 : 恭華留斐 : October 27, 2005 04:06 PM

BBCのように何かの権力に左右されることなく番組を制作できる放送局が世界的に増えていけば、人々は事実を知ることができ、物事に対して、人が決めた善し悪しでなく、自分自身で善いか悪いか考えなければならなくなると思います。さまざまなことを考えることが多くなればきっと、もっと質のよい番組を求めるようになるはずだと思います。視聴者の質が上がれば放送局の質も上がり、また視聴者の質が上がる・・・という、良い循環が生まれていくのではないかと思います。

10 : ゆっきー : October 28, 2005 09:07 AM

今回のことについては、アメリカの放送局だと思っていただけに、BBCが最良である事がなかなか飲み込めませんでした。が、講義を聴き、納得することになりました。
それよりも、今回このような一見見当もつかないような”クイズ”を出されましたが、見当のつかないことでも自分で理屈を重ねることで、ある程度は答えに近づかせることができるということを学びました。

11 : ラ・マンチャの男 : October 28, 2005 09:56 AM

恭華留斐様 とにかく放送局の「質」が向上すれば視聴者の「質」も上がり、それがまた番組内容に反映されて好循環を生んでゆくというイメージを大切にしてください。しかし現実に直面すると、気が滅入ることが多いものです。それに挫けないためには、できるだけ「よいサンプル」を頭に入れておくことです。BBCはそうしたサンプルの一つです。今回の放送局シリーズは、そうした組織を率いた「偉大な人物たちを紹介するための導入部」として始めました。だんだん話の核心に迫ってゆきます。

12 : ラ・マンチャの男 : October 28, 2005 10:05 AM

ゆっきー様 2回にわたる記事でBBCの存在を知ってもらうことは、もちろん大きな狙いでした。しかしそれ以上に大切なのは、一見して「まったく何の手がかりもないように見える」難問をどう解いてゆくかを一緒に考えてみようということでした。どうやら「なんとかなるものだ」という自信を掴んでいただけたようで嬉しいです。名探偵ホームズやポアロみたいなわけにはゆかないでしょうが、今後の「ゆっきー探偵」の活躍を祈っています。

13 : おざわ : October 28, 2005 12:53 PM

英国の放送局ということで、やはりジェントルマンの精神にのっとっているということもあるのでしょうか。政治権力が介入しないことでメディアが政府を厳しく監視することができていれば、政治の腐敗もなくなるのだとおもいます。

14 : ラ・マンチャの男 : October 28, 2005 08:36 PM

おざわ様 BBCの場合は、「政府の干渉を許さないルール」で守られているのです。そのルールを作ったのはイギリスの「知恵」です。それにもましてこういう組織を率いた初代会長の力量が大きい。そこのところを次回以降に語ります。楽しみにしていてください。

15 : KKK : October 29, 2005 02:12 AM

やはり自国にとって不利益になることを放送することは勇気のいることであり、できればしたくないことだと思います。悪い事をした人が真実を明かしたくないのと同様に。最も注目するポイントはドイツが敵国であるイギリスBBCの放送を信用していたことだと思います。もしこのことがヒトラーに知られてしまったのなら、ヒトラーはその将兵たちを暗殺したかもしれません。おそらく将兵たちは隠れてラジオで聞いていたのだと思います。隠れてまで敵国イギリスの放送を信じていたのですから、自国に不利益だとしても客観的な事実を伝えるということがいかに重要かということをここでは教えてくれたといえるでしょう。これからメディアが成長するには、このBBCをお手本とすることが近道になるといっても過言ではないと思います。

16 : ラ・マンチャの男 : October 29, 2005 10:59 AM

KKK様 第二次大戦中のBBCスタッフが自国の不利になることをあえて伝えたというのは、それを好んだからではありません。ただ「真実を伝える」という義務感からです。真実を伝えることが、国家にとっても国民にとっても聴取者(この場合はラジオなので「視聴者」ではありません)にとっても最善の道だと彼らは信じ、またそれを実行することができるシステムになっていました。ドイツの将兵はべつに隠れてBBCを聴いていたわけではありません。ソ連の放送もアメリカの放送もBBCも堂々と聴いていただろうと思います。それを聴いたからといってヒトラーに暗殺される危険はなかったでしょう。戦後の独裁国家とはその辺が違っていました。イメージの再構築をしてみて下さい。

17 : resque : October 31, 2005 11:59 PM

こんばんは、先生。
随分とご無沙汰してしまいました。
予想通りでしたね。先生のゼミを取っている以上「BBC」がすぐに出てこないことが逆におかしい事の様に思えますが。先生とて人間ですから、BBCや、イギリスの精神意識などを講義して下さる時にはさぞかし力が入ることでしょう。BBCに対する私の知識は塵同然ですが、答えをいみじくにも分かった事を嬉しく思います。

18 : ラ・マンチャの男 : November 1, 2005 10:15 AM

rescue様 貴方がBBCを早期に言い当てていたとしたら嬉しいことです。私はBBCをけっして「理想の放送局」とは思っていませんが、いま現に電波を出している放送局の中では最善の放送局だと思っています。食べ物はずいぶん国際化し、ファッションやハンドバッグなども外国のものがどんどん入ってきているのに、人々の日常に大きな影響を持つ「電波メディアのあり方」についての情報はほとんど入ってきません。もっと「精神の鎖国」状態から脱け出すべき時です。

19 : N505is : November 5, 2005 04:28 PM

 私は、実際にはBBCの放送を目にしたことはありませんでしたが、「世界最良の放送局とはどこか?」という問いかけにたいして、なんとなくイギリスの放送局ではないかと感じていました。何の根拠も無い勘でしたが、なにはともあれ正解できて良かったです。
 正直世界の放送局と言われるとほとんどわからない、と言うのが正直なところですが、日本の放送局を見ていると確かに視聴率や自分たちの利益を1番に追求しすぎているように感じられます。放送局関係の仕事にたずさわる人達も慈善事業として働いているわけではないので、利益を出して自分達が生活していかなければならないと言うことはよくわかります。しかし、そんな中でも放送業界に関わる人間として自分たちの仕事が周囲に与える影響を充分に理解する、ということだけは忘れてもらいたくないものです。

20 : ラ・マンチャの男 : November 5, 2005 05:33 PM

N505is様 「大体イギリスの放送局」という推理ができていれば大したものです。自信をもってください。BBCの番組に実施に接する人は多くないでしょうが、それでも最近はNHKのBS1などで見ている人たちがいます。このコメントの7番目に登場する
Conan Doyleさんもその一人です。英語で聴くのは大変ですが、同じ日のニュースがこんなにも違うのか! と分かるだけでも大きな進歩だと思います。