View of the World - Masuhiko Hirobuchi

January 13, 2006

視聴率と紅白歌合戦 -心のメール

今週発売の「週刊文春」と「週刊新潮」が共に昨年末のNHK「紅白歌合戦」を槍玉にあげています。まず「文春」は「年末年始の番組ワースト10」の筆頭に「紅白」をあげています。1000人へのアンケートの結果、482人が「くだらない」と答え、「自分たちの受信料があんな無意味な番組に使われているかと思うと、余計つまらなくなった」(30・男)という意見も載せています。
「新潮」は、「アドリブも『台本通り』だった『みのもんた紅白』」と題する3ページにわたる記事を載せています。これによると「紅白」には500ページを超える台本が用意されており、司会のみのもんたはもとより、歌手たちの応答もすべて台本どおりだったということが語られています。そしてこんなにかちかちに出来上がった台本では自分の力を発揮できなかったというみのもんた氏のボヤキを載せています。
さて、皆さんはどう思いますか? この両誌の言い分を「そうだ!」と思いますか、「いや、そんなことはない。けっこう面白かった」と思いますか? それとも「もともと紅白なんて見ない」ほうでしょうか?
私は両誌の言い分が正しいと思っています。「紅白」にかぎらずNHKの「歌謡コンサート」にしても、歌手の肉声は語られず、いかにも優等生的な「死んだ」コメントで構成されており、「白けてしまう」ことが多いので、「紅白」ともなれば分厚い電話帳のような台本が用意されていることは想像していました。もっと普通の対談番組などでも、ばかばかしいほどにかっちりと構成されていて、「ここで笑う」といったことまで書かれているそうです。
ではこんな現象がなぜ起きるのでしょうか? もっと自然に、番組の流れに合わせ、予定外のハプニングや感動が生まれてくるような番組作りができないのでしょうか? できないでしょうね。すべての原因、諸悪の根源(?)は「視聴率」にあります。「なにがなんでも視聴率を上げなければならない」という思い込みが番組を極端につまらなくしているのです。これはもう「重大な病」です。そもそもNHKは視聴率競争に参加してはいけないのです。視聴率というのは、民間放送においてのみ必要なものなのです。この考えはもともと「1000世帯に到達するのにどのくらい広告費用がかかるか?(CPM=Cost Per Mil)」という視点から生まれたものです。ラジオの初期の時代にアメリカのA.C.ニールセン社が開発したもの。広告主を説得するのにどうしても必要な考えでした。したがって公共放送であるNHKやイギリスのBBCには必要ないものなのです。事実BBCテレビは、長いあいだ視聴率を公表せず、視聴率競争にも参加しませんでした。
いまこういう考えを持ち出すと「ああでもないこうでもない」という議論が巻き起こるでしょうが、NHKのトップも職員の皆さんも世の識者の方々も、「視聴率というのは、もともと民放にのみ必要なCM販売のための哲学なのだ」という原点に返ってもらいたいものです。

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COMMENTS

1 : リッキー : January 13, 2006 01:00 PM

 大晦日に見る当たり前の番組として、毎年放送されている紅白歌合戦は「大いにくだらない」と私も思っています。特に今年はみのもんたが自分の主張ばかりしていて、各組の司会者の発言を邪魔しているように見えました。毎年思うのは、歌を歌う番組のはずなのに、出場者が「出し物」の様なことをしている時間には、テレビの前を去りたくなる気持ちになるということです。「自己満足」という言葉がこれほど似合う番組はないのではないでしょうか?

2 : 湖の騎士 : January 13, 2006 02:48 PM

リッキー様 この「紅白歌合戦」はいまや日本文化の水準をいちじるしく低下させているといえます。NHKにとってもだんだんお荷物になってきているのではないでしょうか。私も10年ほど前までは「一般の人々の好みを知るために」、無理をして終いまで見ていましたが、最近では苦痛になってきました。交わされるせりふも応援の仕方もあまりにもわざとらしいですね。その一方で、「外国に輸出しても恥ずかしくないような番組」はほとんど作られていません。「チャングムの誓い」(韓国)のような、一国の文化水準をうかがわせるような番組をNHKは作っていないのです。年間6000億円以上の収入があるのですから、その気になればもっともっとすぐれた番組を作れるはずです。

3 : rescue : January 13, 2006 05:02 PM

今年の紅白は、みのもんたがリハーサルの時点で「こんな進行では僕が司会をする意味が無い」と台本に不満をもらしたことが話題になりました。
それがみのもんたの、『視聴率を集めるための作戦』と論じた人もいたようです。
そして本番では、1分20秒間、みのが自由に喋る時間が設けられていました。リハーサルでは無かった時間です。その時間の中で一体何を話すのかと思ったら、
「紅白は働いている人のための番組です」
と言っていました。
そういうのならば、もっと価値のある番組であってほしいと思います。少なくとも、受信料を払っていることを「無駄だ」と思う人が一人もいなくなるような番組作りを心がけてほしいものです。

4 : 湖の騎士 : January 13, 2006 05:40 PM

rescue様 やはり皆さん「紅白」の話題はよく知っていますね。みのもんたを起用したこと自体がNHKの敗北だということにNHKはなぜ気付かないのでしょうか? 彼は民放が作り出したタレントなのです。それを起用するというのでは、公共放送の誇りが泣きます。しかし一旦起用したからには自由にやらせるべきでした。今回の記事は紅白から始めたほうがなじみがあるだろうと思ってこうなったものですが、本当に言いたいことは後半の部分です。つまり視聴率というのは、本来NHKには要らないということ。ニールセンとCPM(1000世帯に達するための広告コスト)という概念に親しんで下さい。

5 : リッキー : January 13, 2006 06:34 PM

 日本から海外へ輸出して恥ずかしくない作品をNHKが作るようになれば、日本の国際社会での地位も確立されると思います。先生がおしゃった、「チャングムの誓い」(韓国)を私は毎週観ていますが、韓流ブームということをぬきにして、韓国を知る良い作品であると思います。NHKで、何年か前に放送した日中合作ドラマ「大地の子」は、中学生だった私の心をワシ掴みにした作品でした。つまりNHKはその気になればあの様な素晴らしい作品をつくる資金を持っているということです。近年、大河ドラマにしても内容よりもキャストにお金が使われている様に感じます。受信料で運営されているNHKがドッシリ構え番組作りをしていかないと、日本のテレビの水準はどんどん下がってしまうのではという懸念があります。

6 : 湖の騎士 : January 13, 2006 07:26 PM

リッキー様 今日あなたは2つのコメントを寄せただけで相当に力をつけたと思います。やはり人間は文字で自分の考えを表すのがいちばんです。「チャングムの誓い」をあなたもご覧になっていると知り、心強く感じました。あれは本当によい番組です。NHKにはぜひその気になって「視聴率」の亡霊から解き放たれて「最良」と思われる番組を作ってほしいものです。「大地の子」が中学生だったあなたの心をワシ掴みにしましたか。あれは感動的なドラマでした。ところで付加情報です。このすばらしいドラマが中国では放送が禁止されています。なぜか? おそらく「日本のよさ」「日中の真の友好」を扱ったものは、中国政府当局にとって都合が悪いのです。あるいは「日本にとっての好意や共感をはぐくむもの」は放送禁止なのでしょう。

7 : 悠々 : January 13, 2006 07:59 PM

私はNHKと受信契約をしていません。しかしNHKの番組はBSが主ですが見てはいます。
私が契約をしなくなった端緒はNHKの職員の給与が他のサラリーマンに比べて飛び抜けて高かったことを知ったからです。少しは妬みもあったかも知れませんが、皆様のNHKなんて言っていることと離反していると思ったからです。

紅白歌合戦についてはもう10年近く見ていません。あの馬鹿騒ぎにはついて行けないかったのと、出演する歌手とか応援の連中に品位がないと思ったからです。

廣淵先生の仰る、視聴率にこだわるな、と言うお言葉は、真実その通りだと思います。
あの民放ですら、視聴率の取れっこないBS放送は、地上波放送に比べるとぐっとハイレベルは番組を並べています。
つまり、スポンサーが付かないから、番組編成が局の自由に出来る面があるからだと思います。
勿論、スポンサーがいないのですから制作費は持ち出しになるので、金のかかる番組は出来ないとは思いますが、金を掛けたからと言って良い番組が出来ると言うことにはならないですからね。
HNKの場合、スポンサーは受信料を払っている国民と言うことになるのでしょうが、NHKが国民に顔を向けて番組作りをしているとは思えません。
国会方面、特に逓信委員会の顔色を窺ってばかり居る、と言うのがNHKの立場ですからね。
私の受信契約未済は未だ当分続きそうです。

8 : 湖の騎士 : January 14, 2006 06:42 AM

悠々様 ご指摘は全部当たっています。紅白の自己満足的バカ騒ぎが及ぼす悪影響ははかり知れません。NHKは40パーセントを越す支持が得られているという証明がほしいのです。「支持」を証明するには、手紙でもFaxでも電話でもできます。とにかく「視聴率」本来の意味が分かっていない人たちが、日本人の「品性」を下げさせているのです。これについては、私ももっと影響力のあるメディアで論陣を張らなければならないと思っています。

9 : 白組 : January 14, 2006 04:54 PM

ここ数年の紅白歌合戦を見ていると、その場しのぎに大物司会者を起用したり、普段TVには出ない歌手を中継で出演させたりと。民放の格闘番組に対抗しようという意図がありありと見える。
実際、昔からの紅白ファンは視聴率アップのためにやっている、番組づくりをどう思っているのか?よくは思ってなだろうし、離れてゆくファンの方が多いと推測する。また、出演する歌手の人たちは、忙しいスケジュールをやりくりして、リハーサルから本番までやっているというのに、中継でしか出ないという歌手を出演させるのは視聴率のためとはいえおかしい。
以前に比べて、紅白へ出演するありがたみが薄れている気がするが、NHKの視聴率競争参加がそれに拍車をかけている。

10 : 湖の騎士 : January 14, 2006 05:27 PM

白組様 紅白の話になるとどうしてこう意見が一致することが多いのでしょうか? まさか皆さん無理して筆者に合わせてくださっているわけがないので、これはまぎれもなく「本音」でしょう。私は単に批判するだけでなくNHKが本当に視聴者の心に訴える番組を作ってほしいと思います。そのためにはこの番組予算をばっさりと三分の一くらいに削るくらいの覚悟が要ります。紅白を見ていると「早くこの戦争をやめなければ」という識者の意見を無視して、いつまでも米英との戦いをやめられなかった日本政府のトップや軍人たちを思わずにはいられません。話がおおげさになってきましたが、「撤退する時には思い切って撤退する勇気」といったものがいまのNHKには必要だと思うのです。歌にしても北島三郎は過去何回「風雪流れ旅」を歌っているのでしょうか?

11 : tiakujo : January 15, 2006 02:07 AM

コメントに加わる勇気はなかったけど、ふつうのオバサンの感想も、笑い話になろうかと、、。

歌手生命は、紅白にでれる、でれないによるらしいときいてるので、歌手にとっては、一大イベントだろうと思って見る。歌う曲目には関心がなく、画面はまともに見てない。のど自慢にでたこともあり、司会者とかわす一言まで、打ち合せどおりのことも知ってる。

紅白はともかく、けっこうNHK番組には好きなのがあるから、チャンネルはNHKにあわせてることが多い。恥ずかしいが、それほどまでに視聴率にしのぎをけずってるなんて知らなかった。民放だけの問題かと、、、。

大昔の婦人警官の採用試験の競争率の新聞報道が、当事者としてはメチャ変だと思って以来、報道の数字的なことを信じなくなった。番組だって、作り手によって、どうにでもなるんでしょ?いつも私は、その程度しか信じてないようです。

12 : 湖の騎士 : January 15, 2006 10:32 AM

tiakujyo様 紅白を見るときは tiakujyo さんのような見方がいちばんいいのでしょうね。熱くならず、あまり怒ったりせず、適当に坐ったり座を立ったりと。のど自慢にご出場とは驚きました。そして舞台裏のことまでご存知とはさらに驚きです。婦人警官募集のマスコミ報道を変だと感じられてから、報道の数字的なことを信じなくなったとのことですが、これはきわめてバランスのとれた、生活感ゆたかなご意見だと思います。こういう方がふえれば、マスコミももっとよくなるでしょう。つまりそれが「批判勢力」ということですからーー。貴重なご意見をありがとうございました。

13 : cobi : January 15, 2006 08:48 PM

ここ数年、紅白はまったく見ていないのですが他局の番組に圧倒され視聴率が年々下がっていると言う事は知っていました。年末は毎年毎年、なにかと視聴率を上げようと話題作りにどのテレビ局も必死なのが良く分かります。
そのようなくだらない争いによってテレビのもつおもしろさだったり価値を大きく下げているのですね。確かに現在の日本のテレビ局やマスコミは力の入れるべき方向を間違ってきているような気がします。
そんな中で公共放送であるNHKが見本を見せるべきなのでしょうが今回の紅白の失態を筆頭に年々悪い話題が増えてきているような気がします。NHKの職員たちがこの失敗を生かし本来の在るべき姿と言うものが見えてくればよいのですが。それは難しい事のような気もします。

14 : 湖の騎士 : January 15, 2006 09:32 PM

cobi様 多くの人が「これではいけない」と気付いていても大組織になればなるほど、「いけない」ことを止めることができないものです。紅白もその時期に来ているのだということが、トップにいる人には見えないのでしょうね。私は「どんなに人気のある番組でも40年経ったらやめる」とか「50年経ったらやめる」という原則を作ったらどうかと思います。紅白歌合戦という形式を取らなくても、全国のお年よりから若者までを楽しませる企画はきっと生まれてくるはず。紅白は残念ながら「旧態依然」という言葉が最も似合う番組になりました。

15 : cybridge : January 16, 2006 04:00 PM

昨年末の紅白では、あるグループが格闘選手に似せた人を出していましたが、最初はこのグループの人たちが考えたものだと思っていました。しかしこの記事を読んでみるとそうではなく、NHK側がお願いした可能性もあるなと思いました。近年は格闘技に押され気味で、このようなことを取り入れるということは明らかに視聴率を意識している証拠です。台本通りの番組がここ何年も行われているのか、またアンケートの結果でつまらないといったことが毎年のように出ているのかといったことは分かりません。昨年末の紅白の視聴率が一昨年より上がったという記事を目にしましたが、もし毎年のようにこのような結果が出ているのならば、これがなぜなのかが不思議です。

16 : 湖の騎士 : January 16, 2006 06:08 PM

cybridge様 あの長い番組を見て、ところどころ「これはおかしいぞ」と思うようになれば、テレビの見方がかなり向上している証拠です。なにからなにまで疑う必要はありませんが、この番組だけで何億円というお金が使われていることを思えば、「もっと意味のあることに使え」という気にもなってきます。そうした「語られざる視聴者の意見」がふえてくることが、より生き生きしたより面白い番組を生み出す力になると思います。年に1度、この番組を楽しみにしている何百万人もの人々のお気持ちは尊重しますが、私のいちばん大きな主張である「NHKは視聴率競争に参入すべきでない」という理念に共鳴する人がふえてほしいです。

17 : mix : January 17, 2006 09:21 AM

以前から、紅白歌合戦のこの時間はおせち料理の追い込みの時間でした。。
あ、まだこれ作ってなかったなんて言いながら台所に立っていました。
でも、家のテレビは紅白を映し出しているようで、今、誰が歌っているかということぐらいは分かっていましたが、決して自分から見たいなどとは思いませんでした。あの、いかにも「やらせ」と思えるようなコメントなど、聞きたいとは思わなかったからです。
昨年末はテレビをつけるものが家にいなかったので、何も音のない静かな年の暮れを送りました。(あら、私の人生初めての体験だったかも)
視聴率の問題がこんな面白くもない番組を作り出しているなんて変な話ですね。
つまらないから見ない、これも静かな抵抗かもしれませんが、受信料を払っているのですから、もう少し積極的に何か言わなければいけないのかもしれませんね。

18 : 湖の騎士 : January 17, 2006 10:30 AM

mix様 紅白の時間はおせち料理の追い込みの時間で、だれが歌っているかぐらいは分かっていた、というのは生活感あふれる貴重なお話です。やはり出演者たちの会話に「やらせ」をお感じになりましたか。そういう不自然さを見破っておられる方は、NHKや台本作家が思っている以上に多いのでしょうね。早く当事者がそれに気付いて、このマンネリ状態から脱してほしいものです。

19 : 恭華留斐 : January 17, 2006 02:14 PM

NHKが様々な番組で、細かいところまで台本を書いているというのは、視聴率を気にしているということもあるとは思いますが、生放送などで出演者にへたなことを言わせないためだと思います。特に昨年の大晦日の紅白で司会をされたみのもんたさんは、問題発言などが多いという印象があります。そうした言動を生放送でされては困ると判断しているのではないでしょうか。今では視聴率を気にしてそれまでは出演させなかったような方まで、NHK番組に出演されていますが、視聴率を気にかける前まではどんなに売れている人でも、厳しい審査があったと聞いています。そうした厳しい審査の名残が、台本の厚さとして残っているように感じます。

20 : 湖の騎士 : January 18, 2006 10:28 AM

恭華留斐様 台本の厚さは出演者の問題発言を懸念してのものだという意見はこのブログでは初めてで、希少価値があります。なるほどそういう見方もたしかにあるでしょうね。そこまで信用できないなら、みのもんた氏なんか起用しなければよいのです。しかし起用するというのは視聴率が欲しいからです。明らかに大衆に媚び、かつタレントに媚びています。今回の彼の出演料がいくらだったのか、NHKは秘して語らないでしょうが、局アナで十分こなせる仕事だったことは間違いありません。受信料は「公金」です。巨額の出演料などのために浪費してほしくないものです。