View of the World - Masuhiko Hirobuchi

February 21, 2006

「トリノ」は英語では「チューリン」 -学生へのメール

トリノ・オリンピックをテレビは連日伝えていますが、予期した(?)とおり日本勢はふるいません。選手は一様に「楽しむ」ことが目的だと語っていますが、国費を使って出場しているのですから、もう少しせめて口先だけでもいいですから、「責任」を感じているという姿勢を示してほしいものです。
さてこの「トリノ」ですが、日本人の圧倒的多数は「トリノ」という地名は世界中で伝えられていると思っています。しかしこれは錯覚です。英語ではこれは「Turin」です。発音は、いまの日本語の表記法だと「チューリン(テューリン)」ということになるでしょう。これではまったく感じが出ません。中には「勝手に呼び方を変えるな!」と英米人に対して怒る人もいるかも知れません。でもこれが現実なのです。英語圏の人たちはもう何百年もこういう呼び方をしてきました。べつに悪気があったからではありません。各国の人々は「自分たちふうに」他国の都市を呼んできたので、そこには一定の法則みたいなものがあります。
そういえば、ドイツの「ミュンヘン」は英語では「ミュニック」(Munich)です。スイスの「チューリッヒ」は「ズーリッグ」と呼ばれます。「ああ、ややこしい」といらいらしないで、「そういうものか」と受け入れるしかありません。ロシアの「サンクト・ペテルブルグ」だって「セントピーターズバーグ」だし、「グルジア共和国」は「ジョージア」です。アメリカの「ジョージア州」と区別がつきませんし、セントピーターズバーグはアメリカにもあります。
ここで言いたいことは、「日本人は現地の発音にあわせることが正しいことと思い込みすぎているけれど、英語圏やフランス語圏の人々と話すときは、原音とは違う地名の呼び方を知っておく必要がある」ということです。なに大したことはありません。シカゴはどこへ行ってもほぼシカゴですし、東京は「トーキョー」です。でも数十年前までは「ニューオーリンズ」をわざわざ気取って「ヌーヴェル・オルレアン」(新しいオルレアン)と呼ぶフランス人やカナダ人がいたことも、頭のどこかには置いておきたいものです。「ナポレオンが焦ってルイジアナをアメリカに売らなければ、あの美しい町は今でもヌーヴェル・オルレアンだったのに」というフランス人の嘆きが聞こえる思いがしたものです。
ま、「トリノ」の呼び方ひとつから脱線していくと、思わぬ世界が見えてくる気がします。

[Post a comment]

COMMENTS

1 : 豆電球 : February 22, 2006 11:03 PM

 その土地の呼び方一つとってもいろいろな呼び方があるのですね。私自身も先生が仰る通り、外国の地名は現地の発音に合わせるのが普通だと思っていました。世界は狭いようで広いですね。土地の呼び方一つでも様々なものがあるなと感じました。
 しかし、「トリノ」が「チューリン」になってしまっては、日本人からしてみれば何を言っているのかわからなくなってしまいますね。これを考えると、外国人とのコミュニケーションは大変ですね。

2 : 湖の騎士 : February 22, 2006 11:46 PM

豆電球様 こうした短い記事ひとつからでも世界がだいぶ立体的に見えてくれば、それだけ視野が広がります。トリノがTurin だというのは、トルコがターキーTurkey というようなもので、これは割となじみのある地名です。それでも知らない人は多いでしょうね。ま、ざっと覚えてしまえばそんなにこわがることはありません。原則さえしっかりしていれば、大丈夫です。自信をもっていきましょう。

3 : しめじ京介 : February 23, 2006 03:23 PM

スノーボードのある選手が大会前の記者会見で自分でつくったラップを披露していましたが、その最後明らかに英語の発音で「2.0.0.6トーリノオリンピーック!」と気持よく歌いきってました。残念ながらその選手は本番で転んでしまいましたが、実は既に日本でも記者会見で大転倒していたのですね。知識というのは非常に大切であると実感しました。

4 : しめじ京介 : February 23, 2006 03:24 PM

スノーボードのある選手が大会前の記者会見で自分でつくったラップを披露していましたが、その最後明らかに英語の発音で「2.0.0.6トーリノオリンピーック!」と気持よく歌いきってました。残念ながらその選手は本番で転んでしまいましたが、実は既に日本でも記者会見上で大転倒していたのですね。知識というのは非常に大切であると実感しました。

5 : 湖の騎士 : February 23, 2006 03:41 PM

しめじ京介様 これはとても貴重な情報です。私はまったく知りませんでした。若者が「英語が使える」と粋がってカッコヨク発音したつもりが違っていたのですね。私にしてからが勘違いがいっぱいあると思います。「そこがおかしいですよ」ということがあれば、どうか知らせて下さい。とにかく英語圏の人たちには Turin で行きましょう!

6 : 悠々 : February 24, 2006 07:48 PM

地名表記は、国によって違うのは旅行者にとっては不便で困惑します。
伊仏の国境近くの道路標識にはイタリア語とフランス語の両方の呼び名が併記されていて、便利だと思いました。
困ったのは韓国でのドライブで、日本での呼び名と韓国の呼び名はまるで発音が違います。
ソウルを京城(きょうじょう)と呼ぶ人は今は余り居ないでしょうが、仁川は大抵の日本人は、「ジンセン」と読むでしょうが、韓国の呼び方は違います。「インチョン」と言います。
韓国では漢字表記はほとんどありませんし、ハングルは私は読めないから、ローマ字表記が便りなのですが、インチヨンと書いてあったのでは何処のことなのか分かりません。
まあ、インチョンとかソウルとか釜山(プーサン)なら憶えられますけど韓国の全ての都市名は憶え切れません。
韓国に漢字表記が普及すると旅がしやすくなるのですが、、、
先生の仰るとおり、現地の呼び方、書き方を会得するのが正しい方法だとは思うのですが、記憶力が衰えてくると儘になりません。

7 : 湖の騎士 : February 24, 2006 11:15 PM

悠々様 ご指摘のとおり韓国の地名はお手上げです。私が最初に訪れた1970年にはまだだいぶ漢字表記が残っていたのですが、その後「親中国」感情が強まるのとはうらはらに、民族文化を大切にする運動がそれ以上の熱を帯び、どんどん漢字を追放していきました。2004年に訪韓した時はほとんど漢字の店名も見ませんでした。いまや韓国の若者は「アンニョンハシムニカ」の「アンニョン」が「安寧」から来ていることも知らないそうです。これから観光に力を入れるのなら、もっと漢字の道路標識をふやしたほうがいいと思います。