View of the World - Masuhiko Hirobuchi

March 21, 2006

WBC優勝を別アングルから見る -

韓国戦もキューバ戦も初めから終りまで見ていました。何といっても圧巻はイチローでした。コメントもすばらしいものでした。多くのファンと同じように、私もただ素直に初の世界一を喜んでいました。しかしただそれだけでは物足りない気がします。わざわざ複雑なことをいう気はないのですが、この優勝の意味をつとめて冷静に考えてみたいと思います。
この大会で優勝できずにいちばん残念がっているのは、おそらくアメリカであり韓国でしょう。とくに韓国人の無念は想像できます。ここのところソウルから送られてくる日本人特派員の記事は、韓国中が沸きかえり、韓国のメディアはこぞって「世界が韓国選手の優秀さに目覚めた」といった報道ぶりだと伝えています。そうした熱狂が宿敵日本によって断ち切られたのです。
しかし、誤解を恐れずにいえば、この敗北は韓国人にとっては結果的にはよかったのではないかという気がします。もし優勝でもしていたら、それこそ鼻息は荒くなり、世界中どこへ行っても「人種としての韓国人の優秀性」を強調する結果になったのではないか。そうすれば心ある人々は「君子というものは、そんなに自分たちのことを自慢しないものだよ」と思い、ましてや「野球の勝利を人種的優秀さの証明とまで考えるのは行き過ぎだ」と思ったことでしょう。親愛なる隣人の気持ちも分かりますが、なにからなにまで「種としての朝鮮民族の優秀性」と結び付けて外国人を説得するようなことは、マイナス効果のほうが大きいと思います。「日本人にはそんなことは言われたくない」と反発なさるかも知れませんが、これは朝鮮民族の優秀性を人一倍認める者の発言なのです。そこのところをよく理解してください。
イギリスでは「ディーセント(控えめな)」ということが最高の美徳とされています。もし韓国の方々がこの美徳を身につければ、世界は黙っていてもあなた方を尊敬するようになるでしょう。今回、日本人は勝利の美酒に酔っていますが、この優勝をもって「日本民族の優秀性」という思いにまでエスカレートすることはないと思います。この熱狂はごく自然な祖国愛であり、負けたチームの痛みにまで思いを馳せている人々は相当数いるはずです。

[Post a comment]

COMMENTS

1 : tiakujo : March 22, 2006 08:12 AM

イチローに酔ってるだけの私でしたが、この記事で目が覚めました。
「別アングルから見る」って大切なことですね。

2 : 悠々 : March 22, 2006 08:32 AM

日本の逆転優勝は正に奇跡というか、フロックというか、起こりえないことが起こった、と言う感じです。
意外な展開の連続でしたからね。
審判のミスジャッジ(と言うより意図的な誤審)は身勝手なアメリカ、と言う概念を確信的なものにしてくれたし、それに反発して奮起した選手達のど根性にも、愉快さを覚えました。
こんな楽しいスポーツの祭典を見たのは久しぶりです。
韓国の無念さは理解出来ます。選手に兵役の免除まで与えての国家的応援態勢だったのですから、さぞかし落胆したことでしょう。
韓国の一部のマスコミが日本の健闘を讃える報道をしていたのも、韓国の成長ぶりが窺えて、嬉しかったです。
私も韓国の優れた国民性を理解し、敬愛している人間ですから。
廣淵先生が危惧されて居たように、韓国が優勝して、驕りの気風が報道されたりしたら、韓国の将来にとってはマイナス点に
なっていたとは思いますが、もしそうなっても、今の韓国には、それを自制する良識が存在すると私は信じています。

3 : 湖の騎士 : March 22, 2006 09:58 AM

tiakujo様 準決勝が終ったときから、こういうことを考えていました。「君子というのは自分のことをあまり自慢しない」ものであり、同時に「他人(他国人)をあまり悪し様にいわない」ものです。皆が楽しくしている中で、ちょっと別アングルから書いてみましたが、早速お読みくださりありがとうございました。

4 : 湖の騎士 : March 22, 2006 10:11 AM

悠々様 韓国人の良識を信じておられるというのは心強いです。私の懸念は、最近アメリカンフットボールで活躍した選手のどちらかの親が韓国出身で(本人の皮膚は黒いのですが)それが韓国のマスコミで大々的に報じられたこと。その報道の仕方が、朝鮮民族の「血」の優秀さという面を強調しすぎていたこと。この黒人選手のことをアメリカで活躍する日本人あるいは日系人に「知っているか?」と韓国のマスコミが聞いたところ「知らない」と答えたので、「そんなことも知らないのか」といった調子だったこと等々いろいろな事実に基づいたものです。民族の優秀性を言い過ぎないほうが、世界で顰蹙を買わない道だということを知ってほしいという思いもあります。

5 : yoyo : March 22, 2006 08:32 PM

一つの事象も多面性があり,切り口で文面も変わってくるのですね. 興味深いアングルです。スポーツも文化・芸術も時の政局に悪用されると・・悲しい結果に繋がっていきます。過去にも幾多あったように思います。それを阻止する良識が充分に育成され,発言が許される環境であれば良いのですが。日本でも,知らず知らず狭められていっているような気がしますが・・

6 : カスミ草 : March 22, 2006 08:56 PM

日本が優勝する事で二勝一敗の韓国も許してくれると思いました。
私の周りには韓国人が沢山おられます。
親しくしている、韓国のおばあさん、韓国の知り合いが国に帰って来たら、一生面倒をみてあげると言ってくれるが、帰りたくないと言われました。、私はものすごくうれしく思いますががどうして帰りたくないのと尋ねたら、帰っても純粋の韓国人とは見られないからとか。
子供時代韓国部落が実家から20分くらいの所にありました。
バラックの小屋でした。
また川原にもバラックに住んでおられた韓国人がおられました。
その人たちが分けてくれるヤミ米で育ちました。
利己的なアメリカには親しみは湧きませんが、韓国は隣組のような感覚です。

7 : 湖の騎士 : March 22, 2006 11:16 PM

yoyo sama hiragana ga kadousezu konomama
okurasete itadakimasu. mata aratamete otayori simasu.

8 : TS@捻くれ者TSの暗黒世界で生きぬくために : March 22, 2006 11:23 PM

はじめまして。
一野球ファンとして今回のWBCが開催される事が決まってから注目しておりました。
開催前に「WBCのルール」という記事を書きましたので宜しかったらご参照下さい。
今大会は開催をいつやるか?から問題になっておりました。
例えばキューバは現在既にレギュラーシーズンに入っております。
レギュラーシーズンを中断してWBCに臨んできました。
他にも3月のシーズン前に行うのはレギュラーシーズンへ影響が出るなんて意見もありました。
特別ルールはアメリカのためのルールだったのは明確です。
審判に白人を置いたのも同様です。
韓国は強くなりました。
韓国6勝1敗(日本戦2勝1敗)
日本4勝3敗(韓国戦1勝2敗)で日本が準決勝進出しました。
韓国にとっては悔しいでしょうがルールです。
マウンドに旗を立てる。
開催終了後ルールにクレーム。
秋に日韓戦を要望。
秩序を考え行動して欲しいと感じました。

>今回、日本人は勝利の美酒に酔っていますが、この優勝をもって「日本民族の優秀性」という思いにまでエスカレートすることはないと思います。この熱狂はごく自然な祖国愛であり、負けたチームの痛みにまで思いを馳せている人々は相当数いるはずです。

スポーツで勝利の栄冠を喜ぶのは当然の行為だと思います。
それだけ日本に価値ある世界一でもあります。

>イギリスでは「ディーセント(控えめな)」ということが最高の美徳とされています。

これが本当ならばワールドカップでのイングランドの熱狂的なサポーターの行動はどう説明つけるのでしょうか。

9 : 湖の騎士 : March 22, 2006 11:35 PM

カスミ草さま マスコミが伝える韓国ではなく、身近におられる人を通して韓国像を育んでおられるのですから、お目は確かです。お隣の国はとにかく「恨(はん)」という情緒が強くて、その本質が日本人には分かりにくいところがあります。私の小学生時代、クラスでトップは朝鮮系の少年でした。しかし家が貧しくて中学に進学できませんでした。当時の社会はこうした秀才を生かせる仕組みにはなっていませんでした。日本人の子供もそこは同じでした。私は子供として、彼に全く差別感を抱いていなかったことだけはたしかでした。

10 : Jules Verne : March 23, 2006 07:48 PM

「結果的によかったのかもしれない」「世界は黙っていてもあなた方を尊敬するようになるでしょう」というコメントに大変納得しました。

私は人種・民族差別主義者ありませんが、自己の優秀性を主張すると返って陳腐なものになってしまうでしょう。愛国主義や国粋主義ではなく他者を尊重し謙遜出来なければ国際理解は得られないと感じています。他者蔑視・劣等視と,自民族に対する優越観・選民視が戦争の引き金となっているのも事実です。その点では都知事や一部政治家などの公人による度重なる蔑視発言に日本国民として謝罪しなければいけない部分も多々あるという思いがあります。

11 : 直 : March 23, 2006 09:46 PM

こんにちは、私もWBC優勝戦を夢中でみました。おばあちゃんも感涙してみてたようですし、職場でも翌日話題になっていて、結構日本中で沸いていたようですね。クールだと思っていたイチローがすご~く熱い人でとてもさわやかだった。さて、韓国はことあるごとにムキになってやりすぎだなと常々感じています。が、ことあるごとに国中が一体となって夢中にることに、若いエネルギーを感じ、ちょっとうらやましく思う時もあります。
 日本人に昔から備わっている、自分だけでなく相手の立場も気遣えるところは、すばらしいことだと思います。(今はいろいろな方がいますけど・・・)

12 : 湖の騎士 : March 23, 2006 10:22 PM

再びyoyo様 昨日はローマ字でお礼をしてしまい失礼しました。ご指摘のとおり、一つの事象も見るアングルによってだいぶ変わって見えます。韓国人の愛国心が逆に韓国の人々への欧米における評価を下げているという現実をかねがね見ていたものですから、これで優勝でもしていたら鼻息が荒くなりすぎてーーと心配したのです。とくに韓国では「新聞法」という法律ができ、自由な政府批判は出来ませんし、日本をほめることもできない状態です。日本のメディアもだんだん不自由になってきましたが、それでもまだお隣に比べたらあり余る自由を享受しています。こういう状況を冷静に見ていきたいものです。

13 : 湖の騎士 : March 23, 2006 10:33 PM

TS@捻くれ者様 韓国との試合についてはほぼ私の意見に同感してくださっているようです。他の方のコメントへのお返事も参考になさってください。イギリス人の「ディーセント」ということとサッカーでのイングランドへの熱狂を説明することは比較的簡単です。「ディーセント(ディーセンシー)が美徳」という考えは、知的な階層の間の哲学です。ジェントルマン階級というとさらに範囲が狭くなるので、この言葉は使いたくないのですが、ま、これは紳士織女の間の美学です。しかしさっかーに熱狂するのは、また違った階層の人々です。もっと庶民的というか大衆的な人々です。そして紳士織女はサッカーを見ない人が多いようです。これも言葉足らずで誤解を招くかもしれませんが、大体こういうことのようです。

14 : 湖の騎士 : March 23, 2006 10:44 PM

Jules Verne様 皆が熱狂している時には、まったく違うアングルからの取り上げ方も必要だろうと思ってこれを書きました。お隣の国の人々が愛国心をかきたてるのはいいのですが、それが「民族の血」という方向へ行ってしまうことが問題なのです。幕末に日本の使節団がアメリカに行ったとき、「初代大統領ワシントンの子孫はいまどこに住んで何をしているか」と質問したところ、アメリカ政府の役人がまったく知らないと答えたことに感銘を受けたという記事があります。いかに先祖が偉大でも、いつまでも「血」だけを重んじず、その子孫が「いまどういう貢献を社会になしうるか」という「能力」で評価するアメリカのやり方がすばらしいと、かの侍は見破ったのです。同じ答えに接した場合、韓国人の使節なら「ああ、嘆かわしい!」と思ったのではないでしょうか。

15 : 湖の騎士 : March 23, 2006 10:50 PM

直さま 熱狂もあったしクールな見方もありました。イチローはほんとによくやりました。熱いハートを持った男だということもよく分かりました。そして国中が沸いていても、その熱狂の度合いは「ほどほど」だという気がします。韓国もけっこう満足しているようですし、大体四方八方まるくおさまったという気がするのですがーー。それは自国が勝ったからこそ言えるせりふかもしれません。

16 : 小龍 : March 24, 2006 05:07 AM

私もWBCを見て大変感動いたしました。
久々に面白い野球を観たというのが率直な感想です。

そして今回非常に印象深いのはやはりイチローの言動です。
報道にもあった「先30年、日本には敵わない・・・」と言うような発言も、WBCを彼なりに盛り上げようとする意図があったのではと感じています。
もう一つ印象的なのは韓国選手、そしてメディアの動きです。
他の方も仰っていますがあからさまにマウンドに国旗を立てたり、選手に対して球を投げるなどスポーツマンらしからぬ行動。
そしてイチローの発言に敏感に反応し、日本に勝利した後は対戦国選手を卑下するかのような報道をしている韓国のマスコミなど、目に余るものが多々ありました。

準決勝後には韓国代表の監督や選手、一部のメディアは日本を称える面もあったようですが、やはり韓国の現状はまだまだ日本に対し友好的であるとは言いがたいです。

逆に日本選手は韓国に勝利をしても、国旗をマウンドに立てたりもせず、正にディーセントと言う言葉が相応しい振る舞いであったと思うのと同時に、あれこそがスポーツマンとしての正しい姿であると思います。

敗退しても尚、優勝できなかったのはルールの所為だの、日本は運が良かっただのと言っている韓国には、ディーセントという言葉と共に「潔さ」と言う言葉を学んでいただきたいものです。ルールは韓国だけでなく日本にも平等にあるものであり、今回の優勝はただの幸運ではないと思っています。

他の方のコメントに利己的なアメリカと仰っている方もいましたが、私は敵意剥き出しなだけの韓国よりも、潔く負けを認め、相手を惜しみなく称えるアメリカやキューバこそ本当の意味での好敵手であると思いますが如何でしょうか。

17 : 湖の騎士 : March 24, 2006 09:56 AM

小龍様 ご指摘のとおり今回のWBCにおける韓国の人々の反応や言動は自らのマイナスになっています。そのことにご自分たちは気付いていません。「グッドルーサー」という言葉がありますが、これは「負けっぷりがいい」ということ、負けても潔いということです。そうした美学が根付くにはやはり何百年もかかるのでしょうね。イギリスとその子孫であるアメリカにはそれがあります。キューバにもあります。日本はそうした美意識では世界でも有数の文化圏です。WBCが提起したものは、実に大きかったと思います。

18 : 金太郎 : March 24, 2006 06:08 PM

 私はそれ程野球が好きなわけではないのですが、WBCの試合は手に汗握りながらテレビにかじりつくようにして見ていました。今大会で一番無念な思いをしたのはやはり、韓国でしょう。勝率では間違いなく一位なのに、このような結果におわってしまったということは、納得のいくものではないでしょう。
 しかし、どのようなことがあろうと日本はルールにのっとって、その結果優勝したのだから、韓国はそのことを素直に称えるべきだと感じます。そのことによっても朝鮮民族の潔さや優秀性を世界に向けてアピールすることが出来るのではないかと思います。

19 : 湖の騎士 : March 24, 2006 11:33 PM

金太郎様 今回のゲームはふだん野球を見ない人も相当見ています。それでなければ、40%を越す視聴率にはなりません。私が野球そのものから少し離れて、韓国人のメンタリティに触れたことでいろいろと考えさせる結果になりましたが、このWBCは隣国の人々の思考や行動形式を浮き彫りにしたともいえます。