View of the World - Masuhiko Hirobuchi

March 28, 2006

中国に取り込まれる(?)議員たち -

この見出しを見て「ぎょっ!」としたり「俺のことを書いているのか。文句を言わなくちゃ」と思う議員さんもいるでしょうが、これはアメリカの上院議員のお話です。
安い中国製品がアメリカ市場になだれこみ、逆にアメリカ製品は中国で売れず、アメリカは中国との貿易で巨額の赤字を出しています。これは中国の人民元がドルやその他の通貨に対して不当に安く抑えられているためだとして、もし中国政府が元を切り上げないなら、中国製品の輸入に対して27%の特別関税をかけるべきだと主張し、その準備を進めてきた二人の上院議員がいます。その措置を可能にする法案がまさに上程され、通過する見通しになっていました。その直前の先週、二人は中国を訪問しました。ニューヨーク州選出のチャールズ・シューマー(民主党)とサウスカロライナ選出のリンゼイ・グラハム(共和党)の両議員です。
中国はこの二人に対して、それこそ下へも置かない最大級のもてなしをしました。まさに国賓並みの待遇で、首相をはじめ政府の高官が軒並み会談に出席しました。法案が通過した場合の痛手を中国政府は知りつくしているからです。人民大会堂での正餐は豪華をきわめました。上院議員の一人は「とにかくすごかった」と語っています。おそらく生涯ではじめて味わうご馳走だったのでしょう。この「すごかった(=並外れた、extraordinary)」という感想を、先週の新聞で読んだときに、私は「ああ、彼はぐらつくかも」という予感を覚えました。案の定昨日のニューヨークタイムズは、「法案の提出をしばらく待つ」という気になっているシューマー議員の言葉を伝えています。
こうした宴会外交は、それこそ中国が何千年もの間用いてきた「得意技」です。素朴な上院議員が度肝を抜かれたことは想像がつきます。ただこれだけの記事から、上記の議員が「中国に取り込まれた」と見るのは早計にすぎるでしょうし、それはまた失礼というものでしょう。しかし対中強硬派で鳴らした二人のうちの一人が、思ってもいなかったトップレベルの政治家たちとの会談と歓迎攻めに会って、態度を和らげつつあることも事実なのです。
願わくば我が国の政治家や産業人が、こうした歓待に会って、「俺は大物なのだ」と錯覚したり「俺は大事にされている」といった優越感に浸ってほしくないものです。歓待を受けるのはけっこうですが、それならなおのこと、頭だけはあくまで冷静に、彼の国の政治的意図を正確に見抜いてほしいものです。

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COMMENTS

1 : yoyo : March 29, 2006 03:31 PM

難しい社会情勢,国際外交を噛み砕いて説明していただきありがとうございます。このようなやり取りは国際間のみならず,企業間からご町内に至るまで 普遍的にありそうですね。人間の心理は奥深いところではあまり変わらないのかしら?それを自己覚知できるか,そしてどう反応するかが問題です。
夫婦の間も似たようなもの。最大限の賛辞ともてなしで連れ合いの機嫌をとりなし,後は意のままに? にっこりほくそえんで 細くなったすねを更にかじり続けていこうと思っております。  折角の国際外交の講話を夫婦の話題にすり替えてしまい申し訳ありませんでした。

2 : カスミ草 : March 29, 2006 09:00 PM

中国は策士ですね!
中国の階が準備高が日本を抜いたそうですね!
世界に華僑を送り出しいる中国、
歴史の無いアメリカなんかちょろいものなんでしょうね。
先生のブログ世間知らずの私には大いに勉強になります。

3 : 湖の騎士 : March 29, 2006 11:37 PM

yoyo様 本当にyoyoさんはユーモアがおありですね。たしかに複雑な外交もご近所の付き合いも夫婦間のことも人間のすることは共通しています。yoyoさんは人の心が分かっていらっしゃる! 外交にお金を使い、おだてたり脅したりして国益を守るのはいわば当たり前のこと。一発の弾丸も撃たずに目的が達せられれば安いものです。問題はこういう異例の歓待を受ける側がそれを自覚しているかどうかです。つまりは頭脳と意志力の勝負です。その点どうも日本の政治家のすることは危なっかしいですね。

4 : 湖の騎士 : March 29, 2006 11:45 PM

カスミ草様 中国は大昔から外交に長けた国でした。仮想敵国と戦争をせずに内部分裂させ自壊させたり、属国にするのが得意です。しかしそれはある意味では当たり前のこと。ヨーロッパ各国だって謀略や偽情報を駆使して目的を遂げてきたのです。しかしアメリカはあまりにも生真面目ですし、日本はそれに輪をかけたナイーブさです。したたかな隣人と平和共存していくためには、こちらもよほど賢くなければなりません。まず「知力」を磨くしかないと思います。この記事に興味をお示しくださってありがとうございます。

5 : 悠々 : March 30, 2006 12:03 PM

中国があれだけ広大な国土を守り通してきたのは、長い歴史の流れの中で鍛え抜かれてきた賜でしょうね。ヨーロッパの国々も然りです。
日本は島国で、四方を海に守られてきたから、外交と言っても同じ日本人同士が争う中での交渉ですから、いわばコップの中の嵐だった訳です。
蒙古襲来とか、秀吉の朝鮮出兵とか、外敵の襲来とか外国侵略とはありましたが、日常的な脅威と言う事ではありませんでした。
つまり日本人は外交的には揉まれていない、ぼんぼんだった訳です。
自分たちの行動が、相手にどう受け取られるのかなど考える事をしないのですね。
ですから総理大臣が、個人の信念の問題だ、などと言って平気で靖国参拝を続けたりするのだと思います。
こうすれば相手が安心する(油断する)とか相手を傷つける(警戒される)なんて事を考えないのです。
豚も煽てりゃ木に登る、と言うことを政治でも外交でも使わない手はありませんよね?
中国や英国の強かさを学ぶべきです。

6 : 小龍 : March 30, 2006 02:20 PM

外交の難しさというのは、人間の心というものが実に揺らぎやすく脆いものであるというところにあるのかもしれないですね。
そこをカバーするのは単なる信念だけではなく、ずる賢くやりぬく知性とどんな状況にも上手く対応する柔軟性なのかなと思いました。

中国政府のやり方には大変不信感と不快感を持っていますが、歴史の長い中国には学ぶべきところはまだあると感じています。

けれども、だからと言って中国やヨーロッパになる必要はないと思います。土地柄や歴史も違うのですから、日本独自の外交というものを確立して欲しいです。

7 : ラ・マンチャの男 : March 30, 2006 02:37 PM

悠々様 これからの世界の大テーマは、拡大し膨張をつづける中国にどう対処するかだと思います。いちば問題なのは中国の「意図」を正確に読み取る「知性」「教養」「センス」といったものが我々に備わっているかどうかです。国論を二分させることを、中国はもう何十年も前からやっています。これを見破るだけの「頭脳」がない人々が、「先生、先生」とおだてられて行動し、それが日中友好になっていると錯覚していることです。ヨーロッパは各国との外交のほかに、したたかなローマ法王庁との外交を何世紀も経験しています。日本の教育でも、もっと外交について教えるべきですね。

8 : 湖の騎士 : March 30, 2006 02:44 PM

小龍様 中国は国を挙げて他国を従属させる方法を考えています。実際に戦争をしなくても、強い外国が自分たちの意のままに動くようになれば、それは大きな勝利です。とにかく日本には「計算されつくしたおだてや脅し」にやすやすと乗せられてしまう人が多すぎます。この二人の上院議員の訪中を、注意深くウォッチングしているメディアがいくつあるでしょうか? 困難な時代にあって、何よりも大切なのは「物事の本質を見抜く目」でしょう。

9 : Rei67. : April 9, 2006 05:49 PM

所詮、Red China.信用できない。

10 : 湖の騎士 : April 9, 2006 06:16 PM

Rei67様 日本の議員やビジネスマンも胡錦涛主席に1時間もお説教されて、なんにも言い返せない。女性スパイに接近されて、その自覚さえない元最高責任者がいる。要するに「知力」が足りないのでしょう。