View of the World - Masuhiko Hirobuchi

April 06, 2006

「かわいい」大好き現象をどう見る? -

日本の若い女性たちがなんにでも「かわいい!」という言葉を使うようになってから、もう20年以上にもなるでしょうか? 彼女たちにとって「かわいい!」は「好ましい」「きれいだ」といった肯定的な意味です。テレビであまりこの言葉が飛び交うものですから、なんにでも「かわいい」というのは、「表現力の不足」あるいは「幼児化現象」ととらえる見方が強かったのはたしかです。私も6年ほど前に担当していた東京新聞のコラムの中で、「『かわいい』シンドローム(症候群)」という記事を書きました。日本に派遣されてきているあるアメリカ人ビジネスマンと恋に落ちた日本人女性が、いつまで経っても精神的に成長せず、なんに対しても「かわいい」としか言えない人だった。恋人は帰国するに際して彼女をアメリカに連れてゆくべきかどうかで大いに悩んだ。しかし結局は連れてゆかないことに決めた。理由は彼女のような精神状態(精神年齢)では、アメリカでの生活には耐えられないだろうとの判断からだったーーというものです。私の友人の外国人で日本に来ている人の多くは、「かわいい!」を連発する日本女性たちに批判的です。
ところが「かわいい!」は、日本が世界に発信する誇るべき文化だーーという説を唱える人がいます。明治学院大学の四方田犬彦教授です。この方は「セーラームーン」等のマンガやアニメが、ヨーロッパやアジアでいかに広く受け入れられているか。「かわいい」という日本語が、韓国などでどれほどの支持を得ているかを詳細に論じています。まさに世の中は広いという感じです。
さて、あなたはどちらの説に味方しますか? 「かわいい」批判派でしょうか、それとも「かわいい」支持派でしょうか? ありがたいことに日本では何をいうのも自由です。この言葉について、自由にご意見を戦わせてみてください。

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COMMENTS

1 : 悠々 : April 6, 2006 12:10 PM

私は勿論「かわいい」否定派です。
最近の人達(若者だけではなくて中年、壮年層までですが。)
ボキャブラリーの貧弱なことは嘆かわしいです。
近頃気になる言葉に、スーパーのレジなどで「×××円からお預かりします。」というのがあります。この「から」は何なんだ? 私はレジのおばさんに、聞くことにしています。が、満足な答えは返ってきません。
「だいじょうぶですか?」という言葉も多発されています。
「・・・・して宜しいですか?」という意味に使っているようですが、「大丈夫かどうかは、お前の方で考えろよ!」と言いたくなります。
美しい日本語、なんて幻の言葉になって来つつあります。

2 : 湖の騎士 : April 6, 2006 03:49 PM

悠々様 早速のコメントをありがとうございます。あと4、5日の間にこの言葉について激論(?)が交わされることを願っています。四方田教授はとにかく一つの現象を取り上げ自分のペースで論を展開している方です。この方の意見がどのくらい浸透しているのかを見守りたいと思っています。それにしても一部の新聞の若い記者の中には、「ブランド品」歓迎、「かわいい」歓迎の人たちがいることは事実です。先日ある大手の日本蕎麦チェーンで「こちら天ざるでございます」と言われました。「天ざるになります」と言う従業員が圧倒的に多いいま、実に爽やかな気分になりました。こういうことで喜ぶというのも、なんだか情けない話ですがーー。

3 : HANA : April 6, 2006 11:04 PM

若い女性が年配の女性に対して「かわいい」と言うのを聞いたことがあります。「私もこんなかわいいおばあちゃんになりたいわ。」といった言い方です。

たしかに自分よりはるかに小さく背を丸めて猫を抱いているといった姿はかわいらしいと感じるのでしょうが、私は違和感を感じました。

その方の生きてきた歴史を思えば「かわいい」などという言葉でくくられるべきものではないでしょう。
言葉の裏に自分を誇る気持ちすら感じられてあまりいい感じはしません。

そうそう、息子とレストランに入ったとき、息子の注文したコーラを持ってきた店員が
「こちらコーラになります。」と言ったら、息子は
「これからコーラになるのかよ。」と突っ込んでいました。
息子は中学生ですが、やはりこんな言葉は気になるようです。

4 : tiakujo : April 7, 2006 12:03 AM

「ボキャブラリーの貧弱なことは嘆かわしい」悠々氏
「表現力の不足」廣淵先生

私にとって、イタイお言葉です。
この書き方もおかしい気がします。
これから先、コメントするのがつらくなりそう、、。

5 : 湖の騎士 : April 7, 2006 07:02 AM

HANA様 若い女性がご高齢の女性に対して「かわいい」と感じるのは、ある程度は理解できます。いまは「かわいい」という言葉が、各人の好みによって使われているようで、自分たちの仲間内では「ポジティブ」な響きのつもりでも、他の人が聞くと傲慢に聞こえるのではないでしょうか? HANAさんが違和感を覚えられたのは当然です。ところでご子息(ここは「坊ちゃん」というべきでしょうがーー)はじつに鋭く健全ですね。一度会ってみたいくらいです。「これからコーラになるのかよ」という言い方が本当に面白いです。ウェイトレス(ウェイター?)はここで恥じ入るべきですが、だれも恥ずかしいと思わないのが現状ですね。

6 : 湖の騎士 : April 7, 2006 07:09 AM

tiakujo様 悠々さんと私の言葉を「イタイ」などとお感じにならないでください。この「イタイ」という表現は実に生き生きとしています。それから貴女様のブログで拝見する文章は本当に面白いですし、情景が目に浮かんできます。今回「かわいい」を取り上げたのは、これを擁護する大論客の存在を知ったことがきっかけです。しかしはたして皆さんは、この四方田教授のように「かわいい」という言葉を肯定的に捉えておられるのかどうかをぜひうかがいたいと思ったからです。今後ともどうかよろしくお願いいたします。

7 : 悠々 : April 7, 2006 12:22 PM

tiakujo様
廣淵先生のブログにコメントをお寄せになっている緒兄姉の方々は決して、語彙不足だ何んて事はありません。
皆様、立派な日本語を駆使なさっておいでですからね。
「かわいい」という言葉で、綺麗も、素敵も、愛らしいも、格好良いもその他の褒め言葉も全部代用して済ましているような
人々に対しての事ですから。
最近では、かわいいだけではどうも陳腐化してしまった、と考えたのか、「ちょーかわいい」なんて言う言い方も出てきました。良い本を沢山読んで、素敵な日本語を使いたいですね。

8 : tiakujo : April 7, 2006 07:50 PM

 悠々さま、貴方様も廣淵先生みたいに、教養不足の私みたいな者をも優しく励ましてくださるのですね。
 正直言って、これまでずっと悠々さんのコメントは難しく思ってて、悠々さんのブログへは訪問できないでいました。
 でも今、行ってみたら、まあ、まあ、すてきな絵とやさしい記事でうれしくなりました。
このあとは、悠々さまのブログにて。

9 : Jules Verne : April 8, 2006 12:57 AM

この議題は「言語の維持」を尊重するか否かという考えが争点ではないかと思います。

私は後者でかわいいという表現方法については賛成です。
厳密に言えば間違った使い方なのかもしれませんが
言葉は文化、そして成長また時代に合わせて変化するものなのではないでしょうか。


ただ、言葉を職業としている人が間違った言葉を使うのは反対です。昨今のアナウンサー(特にフジテレビ)を見ているとひどいものです。

10 : 湖の騎士 : April 8, 2006 06:42 AM

再び悠々さま 私のブログを通して悠々さんのブログへ tiakujoさん が親近感を覚えられたとしたら、こんなうれしいことはありません。皆さんが興味を持てるテーマを今後も取り上げ、それを基にしていろいろ話し合っていただければと思っています。

11 : 湖の騎士 : April 8, 2006 06:48 AM

再び tiakujo さま このブログを通して悠々さんの文章に親しみやすいものを感じられ、実際に訪問なさってみて素敵な絵と分かりやすい文章に出合われたというのは本当に素敵なことですね。私も貴女さまのブログから、他の読者のブログへ飛ばせていただいたことがありますし、貴女さまのブログから私のところへ飛んでこられた方も何人かいらっしゃいます。ブログの広がりの楽しさを感じます。ありがとうございます。

12 : 湖の騎士 : April 8, 2006 06:58 AM

Jules Verne 様 言葉は時代と共に変化するものだから、基本的には「かわいい」に賛成ーーというご意見は貴重です。こういういわば「広場」を提供しているわけですから、賛否両論が出てきてくれるのは大歓迎です。最近フジテレビのアナウンサーの言葉というのを聞いていません。日曜朝の「報道2001」の黒岩アナ(キャスター)くらいです。そうですか、そんなにひどい日本語ですか。それなら一度番組を見ましょう。どういう時間帯を見ればそういう変なアナがいるか教えてください。できれば、ここで公開していただいて、皆で見ようではないですか。そうすればテレビ・アナの言葉も少しよくなるきっかけが生まれるのでは?

13 : tiakujo : April 8, 2006 06:20 PM

№11の先生のコメントに感謝して。

また先生にお願いしたくなりました。
私の「毎日すてきな男性」にTBされた記事を、先生も目を通してほしいのです。できれば、先生のご感想を聞かせてもらいたいです。

14 : 元室長 : April 8, 2006 11:43 PM

このテーマはなかなか難しいと自分は感じました。自分自身まだ未熟であり、大そうなことをいえるほどではありませんが、それを弁えた上でコメントさせていただきます。

日本語の表現方法というのは独特であり、海外にはないような表現を数多く持っていると伺ったことがあります。ノーベル平和賞を受賞されたワンガリ・マータイさんは日本語の「もったいない」という言葉に感銘を受けたということですし、以前こちらでも話題になった「いただきます」のような表現。「かわいい」もそうですけど、どれも日本文化の一端を表した素敵な言葉だと思います。先生がおっしゃられたとおり、「表現力の不足」「幼児化現象」ということでは問題視すべき点であり、諸外国の方々から指摘されても仕方のないことだと思いますが、言葉自体がそれほど問題があるとは思っていません。

文章が長々となってしまいましたが、僕は言葉の問題というよりも教育の問題のように感じています。恐れながら、僕のコメントについての湖の騎士様からの御意見を伺いたいです。

15 : rescue : April 9, 2006 12:16 AM

お久しぶりです。
いつもいつも記事は拝読しております。

「かわいい」には、賛成です。
まず、否定派の人達に質問があるのですが、
かわいいものに対して「かわいい」と、思わず言ってしまうことはないのでしょうか?
頭で「かわいい」と思って、ついつい口に出てしまうこと。
私はあります。
私は先日、公園のベンチに座って桜を眺めていました。
すると、桜の花びらを、地面につく前に取ろうとして必死に走り回っている少年少女がいました。
私は思わず「かわいい」と言ってしまいました。
それはそんなに否定されなければいけないことでしょうか?

確かに、現代の若者の何でもかんでも「~かわいい」のようにする表現方法には疑問を感じています。
それは表現力の不足と指摘されても文句は言えないでしょう。

私もこれから散りゆく桜をもう少し見ることにして、
情緒や日本の心、美しい言葉について考えたいと思います。

16 : 湖の騎士 : April 9, 2006 04:11 PM

元室長様 「かわいい」という言葉自体はそれほど咎められるべきではありません。問題は「数多くの異なる現象を見ても、『かわいい』という一つの形容詞しか頭に浮かばないこと」です。たとえば英語でも「すばらしい」ということをいうのに、「ワンダフル」だけしか使えない人は、たちまち軽蔑されます。状況に応じて「素敵だ」とか「素晴らしい」という英語が7つか8つは浮かんでこないと知的人間とはみなされません。スポーツ選手がヒーローインタビューを受けても、みんな一様に「うれしい」としか言えない。そういう「精神的衰弱現象」が、日本全体に起きているのです。「かわいい」と思ったことをいうのにも、「もっと細かく言い分ける感性を磨きたい」と思います。

17 : 湖の騎士 : April 9, 2006 04:18 PM

rescue様 元室長さんへのお礼のコメントにも書いたとおり、「かわいい」という言葉自体を咎めているのではありません。「それしか言えない」というのは、いくらなんでも「ボキャボラリーの貧困ではないですか」といっているのです。別のケースでよくTVレポーターが「すごい!」を連発しています。いい年をした中年のアナウンサーにしてからが、世界遺産級の建物や自然を見て、ひとつ覚えのように「すごい!」と言っています。こういうのを「手垢のついた言葉」といい「クリシェ(決まり文句)」と言います。精神が生き生きしている自由な社会には「手垢のついた言葉」は似合わないものです。「みんな一人一人が違うことを言える社会」が望ましいのではないですか。

18 : リッキー : April 9, 2006 06:52 PM

「かわいい」という言葉に対し、肯定か否定かと聞かれれば否定です。が、「かわいい」という言葉に対し古来の意味では肯定です。日本人は日本語が不自由ということを認めようとしません。敬語がおかしくなっていることを何年も前から言われているにもかかわらず、そのことを気にしているのはごく一部の人々です。「~から」と何かと「から」と言う言葉を使います。最近「~など」もよく聞きます。「など」と言うからには他にも何かがあるのかと思えば、そのこと一つだけなのに使うのです。英語を勉強すると単語のボキャブラリーが貧困で情けない思いをすることがあります。他言語を勉強するとボキャブラリーを多く使おうとするのに、肝心な日本語には使おうとしないなんておかしいですよね。日本人が年々幼稚化していることと大きく関係があると私は考えています。

19 : 湖の騎士 : April 9, 2006 10:35 PM

リッキー様 大いに参考になるご意見をありがとうございました。「かわいい」という言葉ももちろん肯定的に受け止めることはできまが、ここ十数年はあまりにも画一的な反応しかないのが気になります。ウサギを見ても、パンダを見ても、キャラクター商品を見ても、お菓子を見てもすべて「かわいい」で表現する。そして物事を「かわいい」ものと「かわいくない」ものに分類してしまう。理性の入りこむ余地がなく、「主観」「感情」ですべてを決めてしまう。そうした人たちが「投票」に参加するとどうなるでしょうか? 好きか嫌いかで政治家を選んでいるのが今の日本の状況だと思います。

20 : VIVA(お礼) : April 10, 2006 05:51 PM

おじゃま致します。はじめまして。tiakujo様がご紹介いただいて、コメントをしていただいたVIVAと申します。日本の中高生の学力を高めたいと心から思ってはじめたブログですが、私のような一塾講師のブログに、先生のような立派なキャリアをお持ちの方からのコメントをいただけるとは思っておりませんでした。ありがとうございました。tiakujo様にもこの場をお借りしてお礼申し上げます。また、先生やtiakujo様の目に留めてもらえるように、努力するつもりです。今後もご指導、ご鞭撻いただければ幸いです。

21 : 湖の騎士 : April 10, 2006 07:20 PM

VIVA様 コメントをありがとうございます。日本の中高生の学力を少しでも高めたいと思ってブログを始められたという動機に強い共感を覚えます。日本の教育の現状は塾で教えておられてよく見えることと思いますが、一般の人々はまだまだ現実の惨状を知りません。今後とも共にできることから努力していきましょう。よろしくお願いいたします。

22 : VIVA : April 11, 2006 06:14 PM

先生、温かいお言葉感謝いたします。ぶしつけで申し訳ございませんが、少しお邪魔してよろしいでしょうか。
実は『かわいい』について、私自身が少し前にブログで書いたことを、今、思い出しましたもんですから。ここまでの議論の進み方とは少し異なるのですがご容赦下さい。
『「大人」がいない…(清水義範著)』の中でおもしろい分析がありました。『かわいい』と言いたがるのを、ボキャブラリーが貧困かどうかという問題としてではなく、良くも悪しくもこの幼稚さ“おたく”“坊ちゃん”などが日本的であるという指摘でした。清水氏は四方田犬彦教授のように、それを“誇る文化”とはしておらず、未知のものに対処する際に大人が日本に必要だと主張しているようでした。
失礼いたしました。

23 : 湖の騎士 : April 11, 2006 11:01 PM

VIVA様 ご意見ありがとうございます。大いに参考になりました。清水義範さんの作品は「蕎麦ときしめん」で最初に読み、その後何作か読みました。名古屋文化をあたたかくユーモアを込めて描く方で、「苦労人」の味わいがあります。その清水氏が「かわいい」について、こういう見解をお持ちというのは頷けます。このブログに書き込んでくれた若者たちの中には「かわいい」支持派も何人かいます。それはそれで健全なことです。しかし今の日本で、どんな現象を見ても「かわいい」としか言えないというのは、やはり幼児化というべきでしょうね。

24 : 直 : April 23, 2006 06:02 PM

テンポが遅くてすみません。ちょっと思いついたのでコメントさせていただきます。皆さんのコメントを読んでなるほどと思い考えていました。
散歩していると、うちの犬はごく幼い2歳くらいの子供に「かわいい」とよく言われます。ヨチヨチ歩きの子供が自分も言われるので早くから覚える言葉ではないかと思います。自分が愛す可きものと感じたら素直に可愛いと表現するのですね。今の若い方はきっとそのままで成長してしまったのではないかと思います。幼い頃から子どもにいろいろな本を読み聞かせすることで、感受性を養ってあげることと、きちんとした言葉遣いができるようにしつけてあげることが大切ではないかと思います。日本は島国で平和だから子供はもちろん大人も甘えの中にいて子供をしっかり躾をしない。そして躾をされない大人は自分の子どもを躾できないですよね。(自分にも耳の痛いことですが・・・)    つらつらと長くなってすみません。

25 : 湖の騎士 : May 8, 2006 10:53 PM

直様 こちらこそお礼のテンポがこんなにもおそくなり申し訳ありません。ご指摘のご意見に全面的に賛成です。「かわいい」にかぎらず、スポーツ選手などのヒーローインタビューでも「最高です」とか「うれしいです」としかいえない人がほとんどです。連休の遊園地でカメラを向けられた子供は「楽しかった」としか言えません。特定のフレーズしか頭にないのです。「かわいい」もまた「最高です」と同じワンパターン・ワンフレーズの部類に入るのでしょうね。