View of the World - Masuhiko Hirobuchi

August 13, 2006

「スカーボローフェアー」のオリジン -

映画『卒業』で歌われている「スカーボローフェアー」は歌詞も簡単であり、「ミセス・ロビンソン」よりももっと多くの人に愛されていると思います。ひところはこのメロディーをソニーがCMに使っていました。非常にリリカル(抒情的)でノスタルジックなメロディーです。しかし歌詞が簡単でハーブの名前が羅列してあるだけのようなところもあり、かえって分かりにくい面もあるかも知れません。少し言葉を補ってみます。

「君はスカーボローの市(いち)へ行くのかい? (そこには)パセリ、セイジ、ローズマリー、そしてタイム(といった香草の香しい香りが漂っている) (そうした植物の間を通してなつかしい人にも会える)そこに住んでいるある人に僕のことを伝えてくれ。彼女はむかし僕の本当の恋人だったのだ。」

この歌もサイモンとガーファンクルの大ヒット曲で、私はこれが彼らの作品だとばかり思っていました。ところがロンドンのサボイ・ホテルで開かれた夕食会の席上で、この歌が演奏されたので、傍らにいたBBC放送の幹部にその旨を伝えたのです。彼は落ち着いて答えました。「これはもともとイングランド民謡なんです」と。歌の本家本元に行って「これはアメリカ製ですね」とは、間抜けもいいところで、まことにお恥ずかしい話です。しかしこのジェントルマンは親切に説明してくれました。スカーボローはイングランドとスコットランドの国境(くにざかい)の町であること、昔はそこで定期的に市が開かれていたこと。会えなくなった人々もこの市へくれば、偶然に会える機会があっただろうこと等々です。

こういう話を聞くと一刻も早くスカーボローに行ってみたくなります。それから間もなく新車に乗ってダスティン・ホフマン気取りで出かけてみました。かつてローマ皇帝ハドリアヌスが築いた有名な城壁(長城)の近くに、たしかにスカーボローはありました。しかし今はもう市が立つことはないという話で、市があったころの面影さえも残っていませんでした。スカーボローは人々の追憶の中にだけ眠っている郷愁の町という印象でした。写真も添えなくて申し訳ありません。

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COMMENTS

1 : 悠々 : August 14, 2006 12:46 AM

サイモンとガーファンクルのScarborough Fairは彼等がイングランドを訪れた時に、地元のフォーク仲間からこの曲を教わり、新しい詩を付けて歌ったもののようです。
歌の世界ではリバイバルというか、古い歌に新しい詩を付け、今様に編曲して出てくるものがかなりあります。
良いものは時代が変わっても良いんですね。
ScarboroughをNetで検索してみましたが、写真は廃墟になった城跡と駅のホーム位しか探せませんでした。
Scarboroughでは魚のフライが名物であること、日本人を受け入れている学校があること、等を知ることが出来ました。

2 : 湖の騎士 : August 14, 2006 06:35 AM

悠々様 「コンドルは飛んでゆく」については、その起源・意味・伝説について、相当詳しく知る機会があったのですが、「スカーボローフェア」についてはまったく素直に(?)『卒業』の影響を受けていました。インターネットで検索までしていただいたとか。恐縮です。私が訪れた当時よりももっと過疎化しているのかも知れませんね。

3 : 元室長 : August 17, 2006 01:08 AM

「スカーボローの市(会えなくなった人々もこの市へくれば、偶然に会える機会があっただろう)」というのは良いですね。自分も海外留学の経験があるので、たまにその時の友人たちを思い出して懐かしむことがあります。海外留学という珍しい環境で彼らと出会えた、と思うと「もう2度とあのメンバーで再開するのは不可能なのだろう」と感じます。
自分にもこの「スカーボローの市」というのがあったら是非とも行きたいです。その時は当時を思い出して、また互いに片言の英語で、、、。

4 : 湖の騎士 : August 17, 2006 09:58 AM

元室長様 人はだれでも心の中に「スカーボローの市」みたいなものを持っています。「そこへ行けばなつかしい人に会える」場所というのが本当にあればいいですね。貴方はまだまだこれからいくつもの「スカーボローフェア」を経験できると思います。片言の英語などと謙遜せずに、堂々と世界の平和や人類の幸福について語り合える英語を身につけ心の通う友を見つけてください。