View of the World - Masuhiko Hirobuchi

August 20, 2006

他国民への蔑称と愛称 -

日本語というのは「悪口の表現が驚くほど少ない言葉」だそうです。ロシア語などでは実に豊富にある罵り(ののしり)言葉が、日本語では極端に少ない。これは多分よいことだと思うのですが、いざ喧嘩となると、こちらの悪口の持ち合わせはたちまち底をついてしまい、どうしても劣勢に立たされてしまいます。それが「精神的弱さ」と混同されると、相手はかさにかかって攻めてきます。ある程度はそういう修羅場に耐える訓練もしておく必要があるでしょう。
それはともかく、ある国民なり民族を言い表す蔑称(別称)あるいはニックネームを挙げておきましょう。今でも使えるものがほとんどです。まずは最も有名なところから。

1.ヤンキー ーー これはもともと「北部のアメリカ人」を指した。南北戦争当時、南部人は憎しみと軽蔑を込めてこの言葉を使っていた。「風と共に去りぬ」に出てくる「ヤンキー」は「北軍」だが、「悪漢」と同意語である場合が多い。今ではニューヨーク・ヤンキースに代表されるように、堂々と使われている。
2.フロッグ(蛙)ーーフランス人のこと。カエルを食べる連中ということから、英米人が主に使う。フランス語では「グルヌイユ」となるが、フランス人がみずからのことを「蛙」と呼んでいるのかどうかは知らない。
3.ライミー ーーイギリス人のこと。船に「ライム」を大量に積んで航海したことからこの名が付いた。ライムは傍にある他の食糧を長持ちさせる効果もあるし、航海中のビタミンCの補給にも大いに役立った。七つの海を支配した海洋民族という響きもある。
4.チョッパリ --日本人に対する韓国・朝鮮人による蔑称。「蹄(ひづめ)が割れている者」という意味。日本人は下駄・草履・足袋を履くからで、こういう人種は蹄が割れている牛や豚に近いという罵り言葉。だがこの蔑称には下駄や草履が湿度の異常に高い日本の夏を乗り切るのにどんなにすぐれた履物かという視点が欠落している。
5.ウェットバック --「濡れた背中」という意味。メキシコからの不法移民がアメリカに入ってくるときリオグランデ河を泳いで渡ってきたことから、メキシコ人不法移民への蔑称となった。

今回はこのくらいにしておきますが、「そういえばこういう呼び方もある」と気付かれたことがありましたらぜひお知らせください。

[Post a comment]

COMMENTS

1 : 悠々 : August 21, 2006 03:53 PM

日本語が侮蔑語の少ない言語と言うことですが、これは所謂、標準語の場合であって、地方の言葉にはかなりきわどい、性的な侮蔑語とかもあるようです。
明治大正時代の江戸っ子が使った職人言葉とかには豊富な侮蔑語、差別語が有ったようで、華やかな口喧嘩が展開されていたのは古典落語でも語られていました。(居ました、というのは近年の言葉狩りで、使えない言葉が多くなったから、TVなどの落語では聞けなくなってしまったのです。)
「呉れるものは按摩の笛でも貰う奴!」なんて使えませんからね。
私の祖父母なども、江戸っ子で職人の家系だったから、私も子供の頃、歯切れの良い江戸弁で、小気味良い言葉を聞いて育ったのですが、如何せん小学校以前の事ゆえ、殆ど憶えていないのが残念です。
ラジオ放送が始まって、標準語で話されるようになってからは
汚い言葉が放逐・淘汰され忘れられてしまったのだと思います。
語学音痴ゆえ、外国語の事は分かりませんので、国名の蔑称については博識な方のコメントを楽しみに待っています。

2 : 湖の騎士 : August 21, 2006 09:38 PM

悠々様 たしかに自然に生まれた方言と違って、「人口語」である標準語には罵りの言葉や胸のすく啖呵などの表現が少ないでしょうね。今回の記事の重点は「日本語にはそういう表現が少ない」という部分よりも、「他国の人々への蔑称ないしは別称を覚えておくと世界がよりよく見えてくる」という点にあります。「ヤンキー」はなじみがあっても「ライミー」となると、日本ではあまり知られていない気がします。しかしこれらを知っていれば、コミュニケーションには大きく役立つでしょう。「彼は何人(なにじん)だろう?」「ライミーだよ」と答えられて聞き返したのでは粋ではないですからーー。