View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 27, 2006

ディープインパクトをめぐる全く違う推理(新潮と文春) -

名馬ディープインパクトは何者かに薬物を投与されたのか? それとも日本の調教師や厩務員が悪かったのか? 10月1日のフランス凱旋門賞に出場して3着に入賞したディープインパクトの排泄物から、禁止されている薬物が発見されたということで、大騒ぎになりましたが、これについて昨日発売の「週刊新潮」と「週刊文春」は全く違う取り上げ方をしています。つぶさに読み比べたわけではないのですが、新潮は日本人以外の何者かがひそかに薬物を同馬に与えた。ディープははじめから狙われていた。疑わしい点はいっぱいあるのに、フランス側の言い分を鵜呑みにしてしまったJRA(日本中央競馬会)はよくない。もっと言い返し徹底した調査を要求すべきだったーーというもの。
片や文春は日本の調教師以下は前からおかしなところがあったというもので、こちらは責任は日本側の管理責任者にあると匂わせています。
同じ事件をめぐって、かくも対立する見解が発表されるというのも日本のマスコミの健全さのあらわれとも言えますが、あなたはどうお考えですか? 私自身は今のところ「日本人以外のだれかが仕掛けた」という新潮の推理の方に傾いていますがーー。

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COMMENTS

1 : 自由な石工 : October 28, 2006 12:03 AM

こんばんは。今回の事件について私は、「日本人以外の誰かが仕掛けた」方だと思っています。競馬についての知識は皆無に近く、詳細な推理はできませんが、私は以下のように考えました。
まず、凱旋門賞はフランスの伝統的な競馬で歴史がある。そして、その凱旋門賞で、ディープインパクトの人気は一番であった。
大会が始まる前から、おそらく凱旋賞でディープに人気が集まると言うこと、また、ディープが1位を取る可能性があるということは、フランス側も察知、予想していたと思います。フランスは、本国のレースで日本側に優勝を取られる事を恐れた?フランスの競馬の歴史を崩したくない?という予測が考えられました。
一位になったとしても失格にさせる方法は、オリンピック同様ドーピングしかないと考え、フランスでは禁止・日本では禁止されていない薬剤を何者かが投与したのだと私は考えます。
 
仮に、フランスが疑われたとしても、日本では使用が禁止されていない為、「日本が投与した」と言われてしまえば日本側は強い意見を発言できない立場に追い込む事ができるからです。

今回の事件は、国のプライド・歴史を守るという事情がフランス側に見え隠れするような気がしました。

2 : 湖の騎士 : October 28, 2006 12:18 AM

自由な石工様 全く同感です。もし我々の推理が当たっているとすれば、フランスはきわめて汚いことになります。JRAはイギリスなども巻き込んで徹底的に戦うべきでした。しかしJRAの幹部は大体が農水省からの天下りか、官僚気質の人でしょう。揉め事を嫌い、事を丸く丸く収めようとする人々です。その点は外務省の役人も同じです。こうして外国の言い分を鵜呑みにする体質が、「日本くみしやすし」とする見方を生み、日本を危険にさらしているわけです。一頭の馬をめぐって国益にまで話が発展しましたが、この展開はきわめて自然なものだと思います。

3 : 悠々 : October 28, 2006 09:53 AM

私も湖の騎士様、自由な石工様のご意見に賛同します。
JRAやディープインパクトの関係者がフランスの薬物使用規制を知らずにいたとは考えられません。
馬の海外遠征にかかる費用とか手間を考えたら、気軽に参加することに意義があるなんて言うお気軽な話ではないからです。
慎重に準備して参加しているはずですから。
では誰が薬物を投与したかと言うことになりますが、凱旋門賞の主催者に連なる者の仕業なのか、マフィアなどが糸を引く賭屋がやったのかのどちらかだと思います。
重賞レースに際しては厩舎の監視も厳しいでしょうから、熱狂的な個人ファンの仕業とは考えにくいからです。
フランス大好き人間の私としては、レース関係者の仕業とは考えたくないです。
金に絡んだマフィアのやった事だと思いたいです。

4 : 湖の騎士 : October 28, 2006 11:50 AM

悠々様 フランス大好きの悠々様のお気持ちはよく分かります。マフィアだというのはよい見方だと思います。非常に確率の高いのは「日本側ではない」ということです。私も日本人が意図的にそんなことをするはずがないと思っています。あまりにも危険で愚かなことです。問題はだれが薬物を投与したかではなく、フランス側から指摘されて、一度の反論もせず、徹底調査を要求することもなく、あまりにもあっさりと引き下がったJRAです。役人根性丸出しで事なかれ主義で卑屈さのかたまりです。「日本人は汚いことをする連中だ」という評判がヨーロッパの大衆の間に広まるダメージははかり知れません。JRAには猛省してもらいたいです。こういうメンタリティを持った連中があの大組織を運営していく害悪を考えるべきです。

5 : 悠々 : October 28, 2006 05:10 PM

湖の騎士様
確かにディープインパクトの関係者の弱腰には歯がゆい思いがします。
言葉の壁があるにせよ、センスの良い通訳がいれば、その壁は取り払える訳ですからね。
フランス人は自己主張をはっきりさせる国民ですから、あの報道を見聞きしたフランス人は、何も反論しない日本側にそれなりの弱みがあるんだと考えるでしょうね。
フランス人は自分に非があっても言うべき事は言う国民性がありますからね。
この件で、日本人全体が低い評価を受けることになるのは残念です。

6 : 湖の騎士 : October 29, 2006 07:21 AM

悠々様 これはもうディープインパクトだけの問題ではなくなってきましたね。日本人の精神的態度の問題です。「週刊文春」を丁寧によみましたが、取材の仕方もきちんとしており、独立した記事としては説得力があります。しかし「週刊新潮」の方もまた立派です。読者が「全く相反する記事が出ている」ということを知って理性的に双方を比べるという習慣をつけてほしいものです。この二誌は常によきライバルです。どちらか一色に染まる報道しかない国に比べると、多数の意見が表明できる国に住めるというのはいいことだと思います。

7 : 悠々 : October 30, 2006 09:49 AM

「自己主張の大切さ。」
フランスでの私の実体験ですが、パリのガラ・デ・リオンの近くで、警官に信号無視だと言って停車を命じられました。
私はこのときは特に慎重に運転していたから、信号は無視していませんでした。
私は強く事実無根を主張しましたがその警官は受け入れません。罰金90ユーロを払えと言います。
押し問答しているうちに4,5人の警官が集まってきました。中に女性の警官が居て、英語が大分出来る人でしたが、中に入ってくれて、私の主張を認めることはなかったのですが、「今回は勘弁するから次回やったら罰金を払って貰うよ。」という大人の解決法を提案してきました。
「この次、なんてお化け」は洋の東西を問わず居た試しはないんですから、私はこの提案を受け入れました。
間違っていないと思ったら、私の拙い語学力でも、明確な意志をアピールすればそれなりの効果があるんですから、ディープインパクトの関係者もしっかり事の経緯を説明すべきだったと思います。

*何回もコメントを繰り返して申し訳ありません。

8 : 湖の騎士 : October 30, 2006 10:02 AM

悠々様 何回もコメントを繰り返して申し訳ないということはまったくありません。こういうふうに卓球やテニスのようにボールを打ち返しているうちに考えが発展し深まってゆくものですからーー。私もヒースロー空港で同じような経験をしました。交通警官は「赤信号を無視した」というのです。私は「無視していない」と言い張りました。「ここで罰金を払えばよし、さもないと裁判になる」というので、「では裁判所で争いましょう」ということになりました。私はイギリスの裁判というものがどのように行われるものかに興味があったので、「これも経験だ」と思ったのです。こう書いているうちに「そうだ。この話は独立した項目として発表しよう」という気になってきました。できるだけ早く記事にします。しばらくお持ちください。

9 : 悠々 : October 30, 2006 10:19 AM

コメントのキャッチボール、お認め下さって有り難うございます。
ヒースロー空港での出来事、どうなったのか早く知りたい気持ちです。
欧米人の考え方と日本人の発想にはかなりの違いがあるから、長いものに巻かれろは、通用しませんからね。
私は日本でも欧米流のやり方をすることがままありますが、なかなか受け入れて貰えません。
ガラ・デ・リオンのような事を日本でやったら、おそらく警官は意固地になって、笠に掛かった強権的な行動に出てくることでしょう。
日本の警官(官僚も)共は大人の行動・思考は出来ないんですよね?

10 : 湖の騎士 : October 30, 2006 10:39 PM

悠々様 話が当初予想もしていなかった方向へ展開してゆく楽しみを久々に味わいました。ありがとうございます。たしかプラトンも言っていたように、対話というのは本当にすばらしいことです。ヒースロー空港の話はできるだけ早く記事にします。しばらくお待ちください。この3日間「安心毛布」(セキュリティ・ブランケッツ)というアメリカで出る本のための原稿に集中していました。ライナスのかの「安心毛布」です。その第一稿をいまメールで送ったところです。世界中からおよそ60人くらいが執筆する予定です。

11 : 悠々 : October 30, 2006 11:37 PM

安心毛布というのはライナスばかりではなく、殆どの子供が持っているのではないでしょうか?
私の息子も小型のタオルケットを話しませんでした。洗濯するのも嫌がっていましたが、母親が隙を見ては洗っていました。
5歳になるまでは離さなかったから、ボロボロになっていました。それでもそのタオルケットでないと駄目なんです。
甥っ子も「クンクンタンタン」と自分で名前を付けたタオルがありました。
「クンクンタンタン」を持たないと寝られないのです。
アメリカで安心毛布の特集をされるのですから、きっと世界的な現象なんですね。
ご本の出るのが楽しみです。

12 : 湖の騎士 : November 1, 2006 11:30 PM

悠々様 今回の新潮と文春の矛盾する記事は実に多くのことを語ってくれました。一頭の馬をめぐってもこれだけの見方の対立があるのですから、歴史認識や、「どちら側が戦争を仕掛けたのか」といった解釈については様々な見方があるのだということを、あらためて痛感しました。それにしても話が「安心毛布」まで発展したのは望外の喜びです。しかも悠々さんのご子息も甥御さんも安心毛布を放さなかったというのは、実にほほえましく心あたたまるお話です。ありがとうございました。