View of the World - Masuhiko Hirobuchi

April 04, 2007

「フランクフルト」から連想すること -

「フランクフルト」という地名を聞いた場合、どういうことをとっさに連想なさいますか? まずできるだけ気楽なことから入っていきたいと思います。今の日本では、多くの人が「フランクフルト・ソーセージ」を連想すると思います。学園祭の模擬店や縁日などで「フランクフルト」と書いて売っていますね。本当はここは「フランクフルター」といってほしいところですが、まあ贅沢(ぜいたく)をいうのはやめておきましょう。
ビジネスマンで日本経済新聞などを読んでいる人は、ドイツの株式市場を思い浮かべるでしょう。この町にはドイツの株式の中心的な取引所があるからです。
ちょっと「通」の人は、「フランクフルト」といっても二つある。どちらを言ってるんだい?」とからんでくるかもしれません。ここは有名なほう、つまり「フランクフルト・アム・マイン(マイン河畔のフランクフルト」を言っているということで、お引取り願いましょう。
お年を召した方には、この町は文豪ゲーテの生誕地として、非常になじみの深いところです。ゲーテの生家が大切に保存されており、観光客が引きもきらず訪れています。
ところで、最近このフランクフルトがまったく違うことで注目を集めています。それは「フランクフルト学派」の存在によってです。この名前になじみのない人のほうが圧倒的に多いと思います。戦前・戦中の世界できわめて大きな役割を果たした思想的集団です。彼らは独自の革命思想の持ち主でした。中心人物のフランツ・ノイマンがアメリカに亡命し、CIA(中央情報局)の前身OSSに入ります。このOSSが戦中戦後の日本人の価値観や思想の形成に大きな影響力をもってきたのですが、ノイマンはなんとソ連のスパイだったのです。多くの日本人が「正しい」と信じてきた価値観が、フランクフルトを基点にモスクワと結び、ワシントンともつながっていたわけで、この学派の残党は今日なお多くの分野で日本人の精神に影響を与えつづけているのです。もうすこし詳しくお伝えすべきですが、今回は「ソーセージからスパイまで」、考えるヒントの提供だけに留めます。

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COMMENTS

1 : 悠々 : April 5, 2007 09:43 AM

スパイとか精神世界という事では、私には荷が重いので、私が第一に思い浮かべた、「フランクフルト・ソーセージ」にまつわるお話です。
私が数年前、フランクフルトの隣町に泊まり、夕食にホテル近くのビストロ風の店に入りました。
ドイツなら先ずビールとフランクフルト・ソーセージだと思い、注文したのですが、ビールのオーダーは直ぐわかってくれましたが、フランクフルト・ソーセージがなんとしても通じないのです。ソーセージの絵を描いて見せたり、豚肉の加工品だと行ってみたりしたのですが、ギャルソンが「判った! 待っていろ!」と厨房に入って暫く後、得意顔に持ってきたのが特大のステーキでした。
どうも「フランクフルト・ソーセージ」という名の料理は存在しないみたいです。
300gはあるステーキ(1000円もしない)は美味しく戴きましたが、ソーセージにはお目に掛かれませんでした。
次回訪問の折には、ゲーテの生家をみたり、ソーセージのゲットに再度チャレンジしてみます。

2 : 湖の騎士 : April 5, 2007 06:43 PM

悠々様 じつに愉快な(?)体験をなさいました。絵の上手な悠々さんが描いたソーセージでもギャルソンにはステーキに見えたというところが、なんともいえずユーモラスです。現地の人は「フランクフルトソーセージ」とは言わないのかも知れませんね。他の州や町では「ニューヨークカット」と呼んでいるステーキでも、ニューヨークのレストランでそんな呼び方をしているところがないようにーー。ではウィーンでは「ウィンナーソーセージ」と言わないのでしょうか? 今度ぜひ聞かせてください。

3 : noblesse oblige : April 5, 2007 11:31 PM

 書き込みは出来なくとも、2~3日に一度は訪れさせていただいておりました。久しぶりに、先生らしい更新で大変嬉しいです。
 私の知識レベルでは、ドイツの地名程度しかありませんでしたが、そこがドイツ株式の中心的取引所があることまでは知りませんでした。
 多忙な日々を送っておりますが、こちらのブログは欠かさず訪問させていただいております。今後の更新も楽しみに待っております。

4 : 湖の騎士 : April 6, 2007 11:42 AM

noblesse oblige様 コメントをありがとうございます。ひとつの地名からいろいろなことが思い浮かんできます。フランクフルトがドイツ株式の中心地というのが、新たな発見だったと思ってもらえただけでも記事を更新した甲斐がありました。いちばん言いたいのは「フランクフルト学派」のことです。この一派が戦後の日本人の心にどのくらい大きな害毒を流しているかを知ると慄然とします。一度検索してみてください。どうかお元気で!

5 : リッキー : April 12, 2007 05:58 PM

お久しぶりです。
フランクフルトには一年前行きました。
先生のご指摘どおり私もフランクフルトで連想するのはソーセージです。でもここまで奥深いなんて驚きです。
スパイについて、次のコラムが出るまでに考えておきます。

6 : 湖の騎士 : April 12, 2007 10:13 PM

リッキー様  本当にお久しぶりです。フランクフルトに1年前に行かれたとのこと。よかったですね。マイン河を見てゲーテの家を訪れたら最高でしたがーー。この町はヨーロッパで最も有名な大富豪ロスチャイルド家の発祥の地でもあります。「赤い楯」(ロートシルド)が店の前に飾ってあったので、この名が生まれました。このファミリーの歴史をちょっと知るだけでもわくわくしてきます。お元気で!

7 : リッキー : April 13, 2007 12:07 PM

先生こんにちは。ドイツに限らずヨーロッパはとても興味深いです。オーストリアは今とても私が好きな国です。ドイツも2番目に好きな国です。田舎な国質なのか、人がとても温かいです。フランクフルトは滞在はしていないので、本当にソーセージしか記憶にありませんが、他の街ではいろいろとおいしい食べ物を食べました。もちろん、経済の街ということはわかっていますよ!!

8 : リッキー : April 13, 2007 12:07 PM

先生こんにちは。ドイツに限らずヨーロッパはとても興味深いです。オーストリアは今とても私が好きな国です。ドイツも2番目に好きな国です。田舎な国質なのか、人がとても温かいです。フランクフルトは滞在はしていないので、本当にソーセージしか記憶にありませんが、他の街ではいろいろとおいしい食べ物を食べました。もちろん、経済の街ということはわかっていますよ!!

9 : 湖の騎士 : April 13, 2007 12:36 PM

リッキー様 オーストリアが好きというのも、ドイツの人があたたかいというのも共感できます。付き合っていて、けっこう信用できますね。人を騙したりする、こすっからいところがなく、他国民の悪口をいつまでも言わない。向うも日本人をそう思っています。ドイツ語を集中的に勉強してみてはいかがですか? 気が重い話になったとしたら申し訳ないですがーー。

10 : リッキー : April 13, 2007 06:20 PM

ドイツ語の勉強前向きに考えてみます。映画とオーストリア旅行がきっかけで、マリー・アントワネットに興味を持っていろいろ本を読んでいます。学生のときより今のほうが勉強意欲・調べる意欲に燃えています。

11 : 湖の騎士 : April 13, 2007 09:58 PM

リッキー様 マリー・アントワネットについては、調べれば調べるほど興味が湧いてきます。バカにできないのが池田理代子さんの『ベルサイユのばら』です。私の手許にはスウェーデンのフェルゼン伯爵(彼女の恋人といわれる)のことを扱った本もあります。学生時代より学ぶ意欲がさかんというのは、大いにけっこうなこと。こういうことに取り組んで、粋な人々の仲間入りをしてください。