View of the World - Masuhiko Hirobuchi

April 18, 2007

アメリカで銃規制運動は起こるか? -

バージニア工科大学での銃乱射事件で32人もの若者が殺され、とくにアメリカと韓国のマスコミは騒然としています。18日のNHKテレビの現地からのレポートでは、記者が「銃を規制するべきとの動きが高まることも予想されます」と結んでいました。しかし果たしてそうでしょうか? どんなに惨劇が起きようと、アメリカで銃所持が禁止されることはまずないでしょう。「連邦政府の武力が民衆を抑圧する。政府の暴力から我が身を守るためには、個人が銃を持つしかない。それをだれも規制できない」というのが、いわばアメリカの国是なのです。おそろしく時代おくれの価値観ですが、これに歯止めをかけようとする政治家はまず落選します。「全米ライフル協会」(ARA)はアメリカで最大の圧力団体であり、資金力も豊富で、驚くべき人脈をもっているのです。NHKの記者は、そんなことくらい知っていると思いたいのですが、もし知っていながら上記のようなことをしゃべったとすれば、「自分個人の意見を現実よりも優先させた」ことになり、これは事実を歪めたことになります。またもしARAの政治力を知らなかったとしたら、「日本人の価値観で事実を歪めた」ことになります。いずれにしても「ーーということも予想されます」といったことは、かるがるしく言うべきではありません。若くして命を断たれた人たちの冥福を祈りつつーー。

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COMMENTS

1 : リッキー : April 18, 2007 11:02 PM

このニュースはとても衝撃でした。32人はあまりにも多すぎる人数で自分が現場にいたらどうだろうと考えると震えがします。あるニュースで日本人学生が、犯人がアジア人だったこともあり、自分たちが大学内で居づらくなるのではと心配していました。今後のニュースを注意深く見る必要があると思いました。

2 : yoyo : April 19, 2007 12:01 AM

久しぶりのコメントです。(ブログはいつも拝謁しています)何処にでもいる学生?が銃を乱射する(出来る?)ということに アメリカ社会の現実を感じます。これはアメリカ国家の歴史なのでしょうか? "銃規制" はむなしい遠吠えなのかもしれませんが 続けていく必要は有ると思います。(息子が2ヵ月後 アメリカの大学に行くので 本当に心配です。)
日本でも 長崎市長の痛ましい記事を読むにつれ、何故??が頭を通り過ぎます。"平和ボケ" の頭を一度組み替えなければいけませんね。

3 : 悠々 : April 19, 2007 12:09 AM

アメリカの政府がこの事件で銃規制に乗り出すとは考えにくいですね。廣淵先生のご意見通りだと思います。
大統領も現地に飛んで行って、哀悼の辞を述べていますが、イラクでは毎日その何倍もの人間が殺されているのを考えると、白々しい感じも受けました。
NHKのリポーターが、希望的観測を述べたのは正に彼自身の個人的願望であって、現地の空気を正確に反映したものではないと思いました。
日本のマスコミは最初に結論があって、それに基づいた取材なり、レポートをする悪い癖があります。最初に目論んだ結論に反する意見なり事実なりは無視して、都合の良いものだけを取り上げれば、ニュースではなくなってしまいますからね。
私としても、勿論銃のない社会が望ましいと思っていますし、アメリカの一部の良識派の人達も銃規制に賛成しているのですが、それと、報道の公正さとは別の問題です。

4 : 湖の騎士 : April 19, 2007 10:54 AM

リッキー様 この事件に衝撃を受けなかったアメリカ人はいないと思います。しかしそれでもなお銃の所持と販売を規制せよという動きが起きないところが、アメリカの悲劇です。アジア系学生への偏見が生まれる可能性はありますが、同じアジアといっても日本人やタイ人と、中国人、韓国人は「少し違うらしい」と感じている人もいるでしょう。それを言えば、「自爆テロ」を怖がらないイスラム教徒への偏見と警戒心も相当に根強いと思います。この事件をきっかけにいろいろなことを考えてみたいものです。

5 : 湖の騎士 : April 19, 2007 11:04 AM

yoyo様 おひさしぶりです。いつもブログをご覧いただいているようで、ありがとうございます。ご子息がアメリカの大学に行かれるのでご心配の様子、ご無事を祈っております。銃規制運動にははやはり「外圧」も有効かもしれません。外国のメディアが連日アメリカの「後進性」を伝え続ければ、少しは考えが変わる可能性はあるでしょう。しかし全米ライフル協会の幹部というのは、そういう外圧などには見向きもしない人たちです。「自国民が銃を持つことが許されるなら、何人かのイラク人が銃や爆弾を持ってアメリカに立ち向かうことも許されるはずだ」というふうに、頭が回転しないのでしょうね。大きな自己矛盾に気付かず、常に独善的なのがアメリカです。いいこともいっぱいしているのに、残念です。

6 : 湖の騎士 : April 19, 2007 11:15 AM

悠々様 ここのところ、まだ起きてもいないことを、「これに対する反発が予想されます」というふうに、「世論誘導」的なコメントをする記者が、とくにNHKでふえています。困ったことです。よほど警戒心の強い人でないと、ついこうした誘導にひっかかってしまいます。アメリカも町によっては酒を売らない「ドライシティ」というのがあるのですから、州によっては銃を売らない「ノー・ガン・ステート」というのができれば、それが少しずつ広まると思うのですが、連邦法との絡みでそれはむずかしいのでしょうね。イギリスなどに住んでいると、銃の所持を禁じられないアメリカは、非常に「野蛮な国」に見えてきます。こうしたヨーロッパ先進国民の「侮米の思い」が、どんどんアメリカに伝わるといいのですがーー。

7 : dashi : April 20, 2007 01:17 PM

全米ライフル協会、ほんとに何とかならないものでしょうか。チャールトン・ヘストンも、長くプロパガンダ務めて罪なことをしたものだと思います。
今回の事件、犯人がWASPだったらアメリカ国民の受け止め方が全然違うだろうな~と思いました。
外国から(遠くアジアから)やって来た(永住権があるらしいですけどね)頭のおかしいヤツが起こした単発の凶悪事件、と言う捉え方で終わるんだろうな、銃社会の反省や問題視は棚上げされるんだろうな、と思っています。
せめて銃購入の際に不適格者をはじくぐらいのことはしてほしいです。
犯人の送りつけたビデオや写真が公開されるのはとても疑問です。英雄視してるようにも見えます。
犯人はコロンバインの事件に影響を受けたみたいだし、今後また刺激を受けた模倣犯が出なければいいのですが。

8 : 湖の騎士 : April 20, 2007 11:58 PM

dashi様 「犯人がWASPだったらアメリカ国民の受けとめ方はまったく違っただろう」というご指摘はそのとおりだと思います。そして「アジア系の異常な奴が起こした異常な事件」として片付けられる可能性は大でしょうね。ARAがらみで直ちにチャールトン・ヘストンを連想されるところが、アメリカにお詳しいことを示しておられ、心強くなりました。貴重なコメントをありがとうございます。