View of the World - Masuhiko Hirobuchi

June 10, 2007

李登輝博士の外国人記者クラブでの会見 -

6月9日(土)の朝11時から、李登輝前台湾総統が有楽町にある外国人記者クラブ(日本外国特派員協会)で講演し、そのあと記者団からの質問に応じました。出席したのは内外のメディア関係者をはじめ、約270人で、「おそらく今年の記者会見の中で最大の出席者だろう」ということでした。7日に実兄が祀られている靖国神社を参拝したことで、北京政府のスポークスマンは不快感を表明し、日本の一部のメディアはそれをそのまま報じている中での記者会見でした。質問への答えの中で前総統は、「1952年のサンフランシスコ講和条約でも日本は台湾をどこに返すとも一言も言ってないない。台湾の国際的地位は昔もいまも曖昧である」と言いました。中国が当然のことのようにいつも口にしている「台湾は中国の一部である」という論に根拠がないと言ったのです。そして「私は一滴の血も流さず台湾を自由で民主主義の国にした」と言いました。台湾の未来を決めるのは、2300万人の台湾の人々であるとも言いました。
そうした政治的に微妙な発言は、質問に答える形で出てきたものですが、スピーチの部分では「日本文化のすばらしさ。日本人のルールを守る精神、昔からの美意識がいまも健在であることを確認できた」と言いました。氏のスピーチと答えの中には、貴重な示唆も見通しも含まれていました。それをほとんど伝えず「政治的立場が違うから、李登輝は危険だ(嫌いだ)」とか「彼について触れると北京を刺激する」といった思惑から、ことさらに言動を無視したり、影響力を小さく見せようとしている新聞があります。今日も台北からの特派員電が、李氏の「影響力に陰り」と伝えていました。総統を退いてから7年、影響力に陰りが出るのはあたり前のことです。これが健全な民主国家というものです。なんとかして氏の訪日の影響は小さいのだと言いたいことが見え見えでした。「意見はいいから、もっと事実を伝えるべき」です。

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COMMENTS

1 : 悠々 : June 11, 2007 11:58 AM

オピニオンリーダーとしての役割と、世論誘導を同じ物だと勘違いしている、あるいはワザと知らんぷりして世論誘導を図っているように思えるマスコミが多いですね。
それと政権にベッタリの記事を載せるマスコミも目に余る存在です。
いかにも事実を伝えて居るような振りをしていても、事実を見る切り口を変えて伝えればまるで違った印象を読む者に与えることが出来ますからね。
受け手がそこを見抜く眼力を備えていないと、歪曲された事実らしき物に惑わされることになります。
イエローペーパーだけでなく一流と目される新聞社などでも眉に唾を付けて見なければなりませんね。
『李氏の「影響力に陰り」と伝えていました』の表現も李氏の発言を台湾国民が受け入れていなくなっている、と婉曲に言いたかったんでしょう。この記事の言い方も一種の誑かし(たぶらかし)ですね。

2 : 湖の騎士 : June 11, 2007 09:18 PM

悠々様 日本の新聞もずいぶん「品性」が落ちました。自分の意見を通したいために、良心のかけらもない大学教授のコメントを載せて「世論誘導」をはかるのを常套手段にしている新聞もあります。今回の李登輝博士の訪日にしても、「こういうことを話した」ときちんと伝えた上で、堂々と署名入りで論評すればいいのです。さらに成田空港で中国人の男が「李登輝はしゃくにさわる」として、博士にペットボトルをぶつけたことも、この新聞は一行も伝えていません。こんなことは単純なニュースであり、読者は知る権利のあることです。こういう「自主規制(?)」こそが、日本を戦争に導いていった一因です。どこの国に不利になろうと有利になろうと、事実は事実として淡々と伝えるのがジャーナリズム本来の使命です。あまりに当たり前すぎる話で恐縮ですが、こんな常識さえ守られていないのもまた日本の一面です。

3 : 悠々 : June 12, 2007 10:10 AM

少し前のことになりますが、小泉前首相が郵政民営化を唱えて衆院選挙に臨み何故か大勝しました。
小泉さんが考えていることは郵政民有化だけではなく、他にも弱い者虐めの政策を考えているのは明白なのに、マスコミは郵政問題しか報道しませんでした。こうゆう時こそマスコミは小泉さんの今までやってきたことを国民に思い出させて、しっかりした判断を出来る情報を提供すべきでした。
マスコミの怠慢が自民党の圧勝を招き、現在のごり押し国会運営に繋がったのです。
先日も社会保険庁長官が八重洲駅前でお詫びのチラシを配っているのを丁寧に報道していました。
長官が今やるべき仕事はそんなパフォーマンスではないはずだし、お詫びするなら丸の内に勤める人達ではなく零細な企業が集まる場所でやるべきです。
こんなニュースは報道する必要はないし、報道するなら、長官の馬鹿さ加減をオチョクッタものにしなければ意味がないです。

4 : 湖の騎士 : June 12, 2007 11:38 AM

悠々様 マスコミ人間の頭がどんどん劣化していくと、社会保険庁長官が八重洲口でビラ配りしているのをオチョクルという感覚も生まれてこないのでしょう。いま必要なのは、物事を裏から見るという精神、「他社やデスクが何と言おうと自分はこう思う」という精神ですが、子供のころから「大勢に従うのが正しいこと」という教育を受けてくると、「横並び主義」「無難に行くのが最高」主義になってしまうのでしょう。社保庁長官のパフォーマンスはまさに戯画そのものです。

5 : のり巻 : June 22, 2007 10:33 PM

私のような庶民はマスコミからの情報を真っ向に受け止めてしまいます。信じてしまいます。信じていたものが事実に手を加えられた情報だと想像すると、少し怖くなります。情報を疑える心眼を鍛えなければと思います。
何年か前に、「ニュースの天才」という映画がアメリカで作られました。これは事実を元にしているものでした。この映画自体は普通でしたが、実際にあったと思うとすごいです。「全米震撼!!」というのが映画のキャッチコピーでした。ジャーナリストの主人公がニュースを小説のように作り続け、その記事で主人公はジャーナリストのスターになっていきました。大統領さえ信じたようです。ジャーナリズムの力は大きいです。
いろいろな伝記本を読んでいると、ジャーナリズムの力は一国を変えるほどもあると、たびたび感じます。ジャーナリズムの力でどれほど今まで革命があったでしょうか。
ジャーナリズムは本当に偉大でかっこいい。
現代日本のジャーナリズムもそうあってほしいです。「品性」が落ちたなんて悲しいです。
だれか鍛え直してはくれないのでしょうか。

6 : 湖の騎士 : July 26, 2007 04:53 PM

のり巻様 パソコンを買い替えた日にご投稿くださりありがとうございました。その後1か月余もお返事を差し上げず失礼いたしました。今日(7月26日)やっと接続を再開したところです。とにかく手際が悪いですが、今後ともよろしくお願いします。どうかお元気で! このアメリカを動かすジャーナリストの話はよくよく胸に刻んでおきます。