View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 29, 2007

ハワイでは受けない遠山の金さん -

遠山の金さんが活躍する時代劇は、一回くらいはご覧になったことがあるでしょう。江戸の庶民の中に暮らしている遊び人ですが、実は北町奉行所のお奉行さまという設定。毎回悪人を懲らしめるのですが、悪人が彼を見た証として、事件の最中に桜吹雪のいれずみを見せる。さて悪人どもが掴まってお白州に引き出されます。彼らは口をそろえて、「金さんなどという遊び人には出会ったこともない」と言い張ります。そこで金四郎の怒りが爆発するというわけ。「やいやい、てめえらが忘れたって、この桜吹雪はわすれちゃいねえんだ。」ともろ肌を脱ぐと、そこに現われるのは鮮やかな桜吹雪の刺青というわけで、視聴者はこれで胸のつかえがおり、やんやの喝采を送るというのが定番です。
だが水戸黄門の印籠と並んで有名なこの金さんの桜吹雪ですが、ハワイの視聴者にはさっぱり受けないそうです。ハワイには日本語を完全に理解する人々が七十万人くらいはいるとみられ、日本語専門のテレビ局もあって、そこで「遠山の金さん」を放送していたのですが、人気はなかったのです。同じ日本人の血を引いているのになぜなのでしょうか? 
それはハワイの日系人の方がより合理的、理性的だかららしい。下町をうろうろしている遊び人で博打場にも出入りし、背中に桜吹雪の刺青がしてある男とくれば、悪人どもの間には「あれは北町奉行だから気をつけろ」という情報が口コミで伝わるはずです。とくに悪人の情報伝達力というのは、すごいものがあります。そんな情報伝達もしないで、毎回毎回、桜吹雪の遊び人に懲らしめられるなんて間抜けなことはありえない。なんと安手の作りものだろう。あほらしくて見ていられないーーというのが本音らしいのです。それを言えば水戸黄門だって、白いあごひげを生やし、助さん加来さんというお伴を連れた越後の縮緬問屋の隠居と名乗れば、悪人のネットワークの間では、「それは前副将軍の水戸光圀だ。気を付けろ」という情報が飛び交うはず。そんなことも知らない悪人たちが、毎回毎回黄門さまに懲らしめられている時代劇なんて、あほらしくてーーということになってしまいます。日本の視聴者のように、そんなことは百も承知で、1時間の娯楽で疲れを癒す視聴者の方が可愛いか、それともハワイの視聴者のように、やや理屈っぽいながらも筋が通っている方がいいのか。お好みはさまざまだろうと思います。私の意見は次回ぐらいに申し上げることにします。

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COMMENTS

1 : 悠々 : October 30, 2007 08:30 AM

水戸黄門、遠山の金さん、フーテンの寅、他にもあると思いますが、これらのシリーズものは筋書きがワンパターンで意外性もないし別の結末もない、それが安心した見られるから良いと思う人と、馬鹿らしくて見ていられないと言う人が居ます。
マカロニウエスタンなんかもそう言う一面があると思うのですが、飽きずに楽しんでいる人も居ます。
欧米人と日本人にも好む人・好まぬ人が居ると思います。
その比率が違うと言うことはあるのでしょうね?
私は馬鹿らしいと思う方で、時間の無駄だよね!と言う感じです。それでも釣り馬鹿シリーズはつい見てしまうから、私も日本人なんですね?

2 : 湖の騎士 : October 30, 2007 12:20 PM

悠々様 時代劇のマンネリ化に対する率直なご意見をありがとうございます。テレビがどこの家庭にも普及してから45年以上が経っていますが、よくも同じようなパターンの時代劇を作りつづけてきたものよ、と思います。高齢者には安心感を呼ぶのでしょうが、すべてが1時間以内に円満(?)解決するものばかり見ていると、物事を考える能力は鈍るでしょう。そこのところを考えてみたいと思います。