View of the World - Masuhiko Hirobuchi

January 09, 2008

江戸時代をどう捉えるか -

今の日本人の何パーセントくらいが江戸時代を「平和が長く続き、町人文化が花開き、清潔で、識字率が高く、子供は笑顔で走りまわり、庶民はお伊勢参りのような娯楽を楽しみ、街道も宿場町もよく整備され、世界に誇れるよい時代だった」と思っているのか。あるいは何パーセントくらいが「武士が威張っており、身分が固定し、農民は収奪され、鎖国をして外国と付き合わず、万事が停滞していた恥ずべき時代だった」と受け止めているのでしょうか? 20年くらい前と今では、江戸時代への評価が大幅に変わってきていると思います。結論からいえば、江戸時代を「世界に誇れる時代だった」と思う人がふえてきている気がします。NHKテレビで杉浦日向子さん(故人)の名解説で人気を博していた「お江戸でござる」の影響なども大きかったでしょう。欧米の日本研究家で、江戸時代を高く評価する人の本が出版されてきたことも大きいです。しかし、朝日新聞などは江戸時代を否定的に見る見方の旗頭だと思います。今の日本および日本人をどう見るのか、自国の文化や国民性に自信と誇りを持つのか、それとも近代に入って外国で悪いことばかりしてきた国民と見るのか? こうした見方の根底には「江戸時代をどう見るか」が大きく関係しているというのが、私の考えです。徳川宗家の18代目徳川恒孝氏の著書『江戸の遺伝子』
(PHP研究所)はこうしたことを考える上で大きな参考になる本です。日本および日本人を抑制のきいた筆でよくとらえています。

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COMMENTS

1 : 悠々 : January 9, 2008 02:58 PM

江戸の暮らしは当時の世界標準から見てもなかなか優れた物のようですね。
士農工商エタ非人の身分差別は制度としてあったにしても庶民は大らかに身分の垣根を越えた付き合いをしていたし、上水道が出来ていて水は只だったのは大都市としては優れた制度でした。屎尿は近在の農家が野菜と引き替えに貰い受けて肥料としてリサイクルしていたし、廃品は「屑やお払い」が引き取ってくれました。庶民の間にも礼儀作法が行き届いていて節度ある暮らしぶりだったようです。
先生がご批判の朝日新聞にもかって「江戸仕草」というコラムがあって当時の江戸の仕草からの文化論になっています。
下記URLをご覧下さい。
http://www.asahi-mullion.com/column/edo/60405edo.html

2 : 湖の騎士 : January 10, 2008 10:11 AM

悠々様 コメントありがとうございます。自国の歴史を過大に評価するのは良くないですが、あまりにも見当はずれで自虐的な自国史観は困ったものです。もっと世界の同時代と見比べて客観的に江戸時代を見てもらいたいと思います。朝日新聞も生活や学芸の部門では江戸を肯定的に捉えることは時々ありますが、社論を形成する論説委員室を中心に、江戸を否定的に捉える勢力が圧倒的に多いのが実情です。

3 : 湖の騎士 : January 10, 2008 02:11 PM

再び悠々様へ ご教示いただいたHPにアクセスしてみました。江戸のしぐさを通して、人々の豊かな心に触れるというよい連載企画です。こういう江戸へのポジティブな思いが全社的に広がっていればよいのですが、上記の 2.で書いたように、江戸といえば「遅れている」「非民主的」「世界からの孤立主義」「停滞を生んだ」というふうに思い込んでいる記者が主流を占めているのも事実です。キリスト教の布教禁止にしても、当時キリスト教徒がフィリピンや中南米でどんなにひどいことをしたかを見ずに、ただ「幕府が悪い」とばかり言う人々がいますが、もっと目を開いてもらいたいと思います。

4 : 悠々 : January 10, 2008 09:27 PM

新聞社によっていろんなカラーがありますが、同じ社でも部門によって傾向が違うこともあるのですね。
私も在職中にいろんな新聞社の取材を受けたことがありますが、こちらの言ったことは無視して都合の良い記事を書く傾向が強いのは読売と産経でした。