View of the World - Masuhiko Hirobuchi

April 27, 2008

上出来の終わり方だった長野のリレー -

新聞によっては長野での「オリンピック火」(聖火という字は使いたくない)リレー式に相当な妨害があったことになっています。またテレビも「妨害」という言葉を繰り返し使っていました。しかし全体として見た場合、私はこの終わり方は上出来だったと思っています。もし、だれも「反対の意思表示」をする人がいなかったら、「日本はチベット問題について感度の鈍い国」というレッテルを貼られたことでしょう。「全体主義の国で反対意見の許されない国」と思われかねないところでした。「抗議をする人」がいてくれてよかったです。それにしても警備過剰で民衆不在、動員された中国人愛国者ばかりで、シラけるリレー式でした。駐日中国大使は、熱烈支持者の数が反対者を圧倒したと言っていましたが、そんなことはわかりきったこと。すべてを数の論理で押し通すなら、世界は中国の天下になってしまいます。数が多ければいいというものじゃありません。数にまさる者は自らの主張を抑え、少数者に気を配ってこそ世界の尊敬を得るものだということが、この大使には分かっていない。実にくだらない、デリカシーに欠けるコメントでした。

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COMMENTS

1 : 悠々 : April 28, 2008 06:36 PM

オリンピックトーチ・リレーの報道は中国のばからしい行動をこれでもかと取り上げていてみっともないニュースでした。
トーチリレーのスタート時刻には、善光寺では中国によるチベットに対する人権弾圧に抗議する意味での法要が執り行われていました。
この法要は日本人としてのはっきりした意思表示だったのですから、赤い旗の波を放映するよりも、こちらの方が日本人にとって重要なニュースでした。
世界中で繰り広げられた中国人たちによるトーチ護衛の馬鹿騒ぎで、ますます中国嫌いになった人が多かったことでしょう。

2 : 湖の騎士 : April 28, 2008 11:39 PM

悠々様 きわめて率直なご意見をお聞かせいただきすっきりしました。あれだけの人海戦術と過剰警備で挙行したオリンピック火のリレーで、世界中から嫌われていると悟っていないのが今の中国人です。「大成功だった」と思っているでしょう。この認識の溝は埋まりそうもありません。

3 : alien : April 29, 2008 09:36 AM

中国の旗で真っ赤に揺らめくリレーコースをテレビ画面で見ました。どんなに記憶を辿っても、他国の人々が国家権力によって動員され日本で大挙して示威活動をする光景なんて今まで見たことも聞いたこともありません。前代未聞。人の家に土足であがって土足のお友達も沢山呼んで宴会をしているようなものです。初めて経験する、ナントも言いようのない違和感と気持の悪さを覚えました。一方、中継以外のニュース・報道番組では、やはり暴力的な場面をことさらに大げさに編集して映していたように思いました。「おもしろおかしく」煽ぎたてる放送(「報道」と呼びたくありません)にはいつもながら品性が認められないと思いました。これが意図的におもしろおかしくしているならまだいいのですが、「報道」しているつもりだったらどうしよう……怖すぎです。チベット問題の経緯や背景をきちんと解説した番組を私は見かけませんでした。どうも分かっていないようなアナウンサーの言葉の選び方にハラハラしたりしました。はじめてリレー関連の放送でチベット問題を知った人には結局何の騒ぎか本質はわからなかったのではないでしょうか。本質がわからないのですから騒ぎが終われば忘れてしまうと思います。また、いつものパターンですね。バカになってしまいます。怖すぎです。

4 : 湖の騎士 : April 29, 2008 10:46 AM

alien様 同感です。テレビが今回のような伝え方をしたのにはいろいろな原因が考えれらます。1.ディレクター、記者、アナウンサーの知的レベルの低下 2.「反中国姿勢を抑えよ」という上部からの指令。あるいは職場の「空気」 3.その他のもっと大きな要因。 いずれも決め手にはなりません。今回の中国人の集結を見て「怖い」とお感じになった alien
様の感覚を、もっと多くの人に共有してほしいです。この感覚こそが健常者の感覚です。今のままでは日本人はひたすら破滅への道を歩んでいきます。私は自分の最新作『頭にちょっと風穴をーー洗練された日本人になるためにーー』(新潮社、1365円)の最終章でサイモンとガーファンクルの「コンドルは飛んでゆく」のことを書きました。この歌が「自由」と深くかかわっていること。発表された当時、「チベット、バルト三国、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、ハンガリーなどで」人々は自由を求めてうめき苦しんでいたーーと書いています。親中派の反発を受けることを覚悟で思い切ってチベット人の苦しみに触れたことを誇りに思っています。最初に雑誌にこの項を発表したのは2006年のことでした。ぜひご一読ください。

5 : alien : May 1, 2008 09:02 PM

最新の御著書の最終章「コンドルと車輪の物語」を目を凝らして読みました。インカの精神性と現代日本の状況が恐ろしいほどピタリと合致する様が、「車輪」という具体的かつ象徴的でもある事例を挙げて論理的に描きだされており大変驚きました。その衝撃は「コンドルは飛んでゆく」のメロディに乗って伝えられる歌詞の深い意味と一体となって強く重く心に残りました。今、まさに人権蹂躙や文化破壊に対して世界各都市で連鎖する抗議活動を目の当たりにしながら、日本が、何が原因で、どのような状況に置かれ、そしてこのままではどのような道をたどるのか一瞬にしてよく理解することができました。私は2000年にイギリスから戻りました時に漠然と「この国は滅んでゆくんだな。」と思いました。「コンドルと車輪の物語」を読んで、あの時から肌で感じている感覚に「何故なのか」答えを得た気がしています。友人・知人にも是非薦めたいと思います。

6 : 湖の騎士 : May 3, 2008 11:07 AM

alien様 2日間旅に出ていまして御礼がおそくなりました。拙文「コンドルと車輪の物語」をお読みくださり、その中で私が意図したものをきわめて正確に読み取っていただけたことに感謝し感動しています。皆さんの共感を得る文章を書くことよりも、こういう憂いを表さなくてもすむ世の中になってほしいと願うのは山々ですが、本当に複雑な要因が絡み合って、日本は破滅への道を歩んでいるように見えます。しかし、拙著の最終部分「ヨーグルトのイメージで」にあるように、ここで諦めるわけにはいきません。「いかに希望がなくとも(However hopeless)」不可能な夢を夢見てゆくしかないのです。私の本はきわめてわかりやすく書いたつもりですが、これを「むずかしい」と感じている人々が多数いて、最初の数ページで読むのをやめてしまっているのも事実なのです。そういう状況の中で貴方様のようなご意見をいただけるというのは、本当に大きな喜びです。この本を置いてある書店はかぎられてきました。紀伊国屋書店、ジュンク堂、八重洲ブックセンターなどに注文していただけると早く手に入ります。ご友人各位にもよろしくお伝えください。

7 : 湖の騎士 : May 3, 2008 11:19 AM

alien様 お名前から「イギリスに住まわれた方だな」と拝察していました。日本には中途半端に英語を理解する人がいて、自分の教養の範囲でイギリス人が使っている英語に文句をつけています。数年前のことですが、「alien という英語を使うのはよくない。宇宙人か何かを想像させる」という愚論がまかり通っていました。ハリウッド映画に影響された浅ましい意見です。しかしイギリスでは、「外国人登録」をする場所は「Alien Registration Office」に行くではありませんか。そういう愚論の多いなかで、さらりと alien という言葉を使っておられることから、「あ、この方はイギリス帰りだな」と想像した次第です。