View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 10, 2008

胡主席訪日の成果をどう見るか -

中国の最高権力者が10年ぶりで訪日しましたが、この成果をどうご覧になりますか? いくつかの項目に分けてこの訪日を振り返ってみたいと思います。
まず「全体として」ですが、何の軋轢も不快感も残さないのが最上という価値観の持ち主(その筆頭は福田総理)にとっては、「上出来」と映ると思います。しかし、国民の大多数にとっては、プレインソーダのような、味わいの薄い訪問だったと思います。
次に「マスコミの扱い」です。NHKテレビは、チベット問題や毒入り餃子事件、東シナ海のガス田開発問題などにあまり重点を置いていないような印象でした。テレビ朝日は「報道ステーション」も朝の「やじうまワイド」などでも、けっこうこの訪日を厳しい目で見ている姿勢がうかがえました。解説にしても「発表のウラにあるもの」をなんとか探り出そうとしていましたが、NHKの解説は、あまりにも当たらずさわらずで、朝7時のニュースの解説委員のコメントは、「巷のおじさん」のコメントの域を出ていない印象でした。
中国側が、「日本人の心を掴める」と計算した「パンダ貸与」は、「マイナスの評価」の方が大きかったと言えます。年間1億円ものレンタル料と聞いて「税金の無駄遣い」とコメントしている市民が多くいて、この点では日本人は数年前にくらべてずいぶん冷静になったというか、醒めていることが感じられました。パンダ外交は一定の効果はあったでしょうが、中国側の期待と計算よりははるかに効果が薄かったと思います。
「ガス田」については、具体的に大きな進展があったと福田首相は言いましたが、発表できないのではしようがありません。仮に進展があったとしても、事前に事務方が詰めたものか、首脳同士が会談して初めて可能になったものかも分からないのでは、評価のしようもないでしょう。
ふたたび「全体としての印象」に移ります。昨年の温首相の訪日のように、国会で演説させるという愚行を繰り返さなかったことは1つの救いでした。早大で卓球をして、日本人のハートを攫む努力をしていたのを好感をもって受け止めた人もいたと思います。しかし総合評価としては、中国はチベット問題にしてもギョーザ事件にしても、まったく譲らず、「失うものはなにもなかった」訪日でした。中国国民に対しては連日テレビで活躍ぶりが紹介され、相当の得点を稼いだと思います。しかし日本国民としては、日が経つにつれて、だんだん主席の行動にも飽きてきたようです。とくに後半はミャンマーのサイクロン被害が常にニュースのトップを占め、胡主席の行動は霞んで見えました。10年前の江沢民主席の訪日に比べれば、成功でしたが、昨年の温首相の訪日よりはインパクトの薄い訪日だったと思います。異論もいろいろあるでしょうがーー。

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COMMENTS

1 : 悠々 : May 10, 2008 09:51 PM

何事にも事なかれ主義の福田さんにとっては、今回の会談は満足の行くものだったのでしょうが、日本にとっては何も得ることのない会談だったと思います。パンダの貸与については石原知事の発言が日本の平均的な考えだったと思います。貸与は有償で中国指導員の顎足つきの訪日まで引き受けさせる厚かましさには反感を持つ人が多いと思います。
福田さんは中国人の自国チームに対する過剰な応援と、相手国に対する野次やブーングに苦言を呈したとの事ですが、この発言が中国国民に伝えられることはないでしょう。
ガス田問題やチベット問題については先送りされただけのことで何ら進展はありませんでした。
国首脳の表敬訪問だからこんなものなのかも知れませんが、大山鳴動して出てきたのはパンダだけという感じです。

2 : 湖の騎士 : May 10, 2008 11:28 PM

悠々様 もし胡主席が真に「中日友好の種」を撒いたと言うのなら、中国内にある多数の「反日記念館」を撤去するなり展示内容をもっと妥当なものにするなり、適切な指示を出したはずです。今のままのひどい展示はそのままで、口先でいくら「中日友好」を唱えてみてもまったく無意味であり、誠意のかけらもないと見るべきです。

3 : alien : May 12, 2008 06:56 AM

初日の夕食会の席で福田さんが「パンダをプレゼントしていただいて…」とお礼を述べる場面がありました。プレゼント??? 年間1億円の貸与です! 小さな言葉のすり替えですが、福田さんの姿勢がよく現れていると思いました。この調子で政治的な問題にまで欺瞞や譲歩が及ぶのが心配です。東シナ海ガス田問題についても「進展」の内容が分かるまで不安です。せめて方向性だけでも知りたい。過去に例を見るように、蓋を開けた時に国民が「ぎゃふん」というような内容だったら困ります。国民からの未信任かつ支持率18%の首相にこれほど重要な案件を未発表のうちに進展させる資格があるのでしょうか?素朴な疑問です。首脳外交にはお互いに後ろ手に短剣を隠しながら顔では笑って握手するエレガントな恫喝合戦という側面があると思います。中国は後ろ手どころか私達の喉元に核という刃をつきつけて友好を謳っています。相対してこちらからどんな圧力をかけることができたのか毅然としたところが見えない数日間でした。モラルの希薄な未開の大国にただおもねるヘンテコな国と諸外国の目に映ったとしたら残念です。

4 : 湖の騎士 : May 12, 2008 10:04 AM

alien様 今回の日中首脳会談で、福田首相は政権への支持率向上をあてこんでいました。パンダも有効な支援になると思っていました。今どきパンダごときで日本人が喜ぶと思っているセンスの悪さは驚くべきものです。そうした見当はずれ、物事を見る目のなさ、感度の悪さこそが不人気の原因だということに、本人はまったく気付いていません。日本を狙う1、300基もの核ミサイルを撤去も削減もしない中国が、「中日友好」はないでしょう。加えて江沢民が推進したこととはいえ、徹底した反日教育、抗日記念館の史実改竄は放置したままです。ヒトラーは英仏米などがよってたかって「除去」しましたが、中国は核を手にした独裁政権です。その恐ろしさはナチス・ドイツのそれの比ではありません。こういう当たり前のことを感知する能力が欠けてしまっているのが多くの日本人であり、そのトップにいるのが福田首相です。