View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 22, 2008

原油価格と経済の行方 -

ついにNY市場での原油価格(WTI)が135ドルになりました。去年の5月には65ドルだったのですから、1年で倍以上になったわけです。自由主義市場経済の赴くところは、ついに民衆の生活を圧迫するところまで来ました。困るのはこの価格を下げさせる有効な手段がないということです。福田首相は、「(石油生産国に)増産もしてもらわなければなりませんね」と言っていました。しかし産油国は「市場への供給は十分に行っている。投機筋が原油を押し上げているのだ」と言い、当分増産に踏み切る意思はなさそうです。福田さんが「増産もしてもらわなければなりません」というのは、何の具体的努力もせず、すべて他国まかせで言っていることで、このコメントには何の価値もありません。さて値段がここまで来れば、株の場合だったら「空売り」に回る勢力が出てくる可能性は高く、強気と弱気ががっぷり四つに組み合うものですが、現下の国際石油市場では、断固として売りに回る勢力はなさそうです。売りに回れば大損をする可能性が高いからです。もし仮にロシアが増産に踏み切れば、世界の経済の救世主となり、ロシア人はヒーローとなるでしょう。しかし彼らは他国の人々に好かれるために、自分たちの最大の商品である石油の値段を下げるような行動に出るとは思えません。いま世界はかつて経験したことのない困難な時代に突入しています。先行きのことはだれにもわかりません。しかしここらで「この状況を変えるにはどうすべきか」という、世界のリーダーによる会議を開くべきタイミングに来ているように思います。G8の中で原油上昇の被害を最も受けやすい日本が主導権を取って動くべき時です。洞爺湖サミットまで何もせずに待っているわけにはいきません。福田さんも少しはじたばたしてほしいものです。

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COMMENTS

1 : 悠々 : May 22, 2008 11:36 PM

今夕のTVニュースでの福田首相のコメント、「(石油生産国に)増産もしてもらわなければなりませんね」には呆れるばかりでした。OPEC側が需要を満たす分の生産はしている、と言い切っているのですから、一国の宰相の発言としては何とも情けないコメントでした。だから自分はこうゆう手段を執る、そしてOPEC側にこう働きかける。ということでなければ単なる感想でしかありません。
有限の原油を長く売り続けて行くためにはロシアを含む原産国側は高ければ高いほど良いわけです。消費国のためにみすみす損をする増産に動くはずはありません。
ノーテンキな発言をして、のほほんとしていられる福田さんは極楽とんぼの典型ですね。

2 : 湖の騎士 : May 23, 2008 09:55 AM

悠々様 OPEC構成国の「心の内」というのは、なかなかに読みづらいものです。それこそ一筋縄ではいかない面々の集まりです。しかも自国とははるかに離れた国際都市ウィーンに本部を構えています。世界がどう動いていくかを絶えず分析し、要人たちと付き合い、アラビア語などのほかに最低英語だけは話せる人たちがここに集まってきます。洗練された教養を持ち各国の歴史にも内情にも通じた「石油相」たちがいるのがOPEC諸国です。そういう連中を動かすには、それなりの戦略も力学も必要です。日本が石油「増産」の見返りとして彼らに何を提供しうるのでしょうか? 福田さんは考えたこともないでしょう。「増産」について、英米仏独とは手を組めるのか、中露とはどうなのか? 韓国や台湾との連携は可能なのか? 先物市場が「暴落するかも知れない」という恐怖心を、投機筋に与えることは可能なのか? いやしくも総理大臣なら、あらゆる選択肢をひとつひとつ検討し、その優劣可否を完全に頭に入れた上で発言すべきです。

3 : 悠々 : May 23, 2008 10:57 AM

福田総理の「(石油生産国に)増産もしてもらわなければなりませんね」の発言がブラフで本当は万全の手を打っているのにそれを悟られまいととぼけているのなら戦略家で頼もしいのですが、おそらくそんな深謀遠慮ではなく、思いつきを気軽に口に出したにすぎないのでしょうね?国民もマスメディアももっと怒るべきです。

4 : 湖の騎士 : May 23, 2008 12:31 PM

悠々様 万全の手を打っているの、それを隠すためにとぼけていたということはまずありえません。自分の発言がいかに自分および日本の評価を下げているかを考えることもできないのがこの人です。それにしても今日のNHKの昼ニュースは原油価格について全く触れませんでした。「最高値を更新した時だけ」一過性のニュースとして伝えているようです。これでは視聴者は「物事を一貫して考える」ということができなくなってしまいます。メディアの責任の重大さを理解していないのです。

5 : alien : May 24, 2008 08:22 AM

私の未熟さゆえの疑問を頻繁にお目にかけたりお尋ねするのはためらわれるのですが、また、疑問がわいてしまいました。
何故、今、アメリカに日本がガソリンなどの石油製品を輸出しようとしているのか、分かりません。国内販売では儲からないという理由らしいですが、どうも納得できません。生命線である原油を大変な思いをして輸入している我々には、いつ止められるかわからないという恐怖がいつも頭の中にあります。それなのに売るほど余裕があるように振舞うのは恐ろしいことです。「(石油生産国に)増産もしてもらわなければなりませんね」という福田さんのコメントは上のような動向と矛盾していてますますもって意味不明です。はやく、独立国になりたいな...。

6 : 湖の騎士 : May 24, 2008 03:59 PM

alien様 ご疑問の件に関しては、今は私の知識情報の持ち合わせが少なすぎるので、もう少し待ってみてください。日本政府には「大きなデザイン」というものが不足していますし、企業にしても「自社だけよければ」というところがあります。この一応は自由経済であるはずの先進諸国で、政府はいかなる場合にどこまで経済に介入すべきか、という原則が決まっていないのが日本です。こういう時に一番有効なのは「常識」です。それが最も発達し、民衆レベルにまで浸みこんでいるのがイギリスです。福田さんの教養の中に、歴代のイギリスの大宰相が危機に臨んでどういうことをしてきたかの知識が入っていないのが残念です。