View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 28, 2008

トップの判断力ーー北の湖の場合ーー -

大相撲千秋楽で朝青龍が白鵬に勝ち、土俵に手をついた白鵬に向かって「これでもか!」というように突きを入れました。これに白鵬が「むっ!」ときて、肩で朝青龍を払いのけ睨み返しました。この両者の醜態に対し、北の湖理事長は白鵬に対してだけ厳重注意をしようとしました。しかし横綱審議委員会のメンバーは一致して「それはおかしい。処分(注意)するなら朝青龍に対しても行うべきだ。原因を作ったのは朝青龍なのだから」という意見を出しました。そこで北の湖は、しぶしぶ両者を呼んで注意しました。しかも「横審にそう言われたから」と付け加えています。この理事長の判断を「おかしい」と思った人は多く、テレビインタビューでも9割方がそう答えていました。しかし肝心の本人は、自分がおかしいとは思っていません。これは恐るべき事態です。もし企業のトップがこの程度の判断力しか持っていなければ、その会社は非常に危ない。まず潰れる公算が大きいでしょう。船の場合、船長がこういう判断力だったら、乗組員は怖くて一緒に航海などしていられません。今回の場合、原因を作ったのは明らかに朝青龍なのです。この程度の判断力しかない北の湖は、ただちに辞任すべきでしょう。今の制度では、他からの力で彼を辞めさせられないのでしょうから、ここは世論の盛り上がりしかありません。相撲協会のみならずトップの任にあらざる者は即刻辞任すべきです。そういうキャプテンに率いられた船は危なくてしようがありません。

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COMMENTS

1 : 悠々 : May 28, 2008 01:59 PM

私はこの一番をニュースでしか見ていませんので取り組み前の両者の動きとかは分かりませんが、最後のシーンだけで判断すると望ましい幕切れではなかったです。
相撲も所詮はプロの格闘技ですから、見せ場は必要です。
モンゴル人の感覚では見せ場はエキサイトした真剣勝負、という点なのかも知れません。そうだとするとあれは彼らの観客に対するサービスであった可能性もあります。
北の湖理事長が格闘技興行の親玉だと考えればあの程度の理解力でも仕方ないのでしょう。
相撲が国技であり、力士は国民の良きお手本で無ければならないというのには無理があります。子供の頃から相手を打ち負かす練習に明け暮れていた人たちですからね。
現状の相撲界に過大な期待を寄せる方が間違いではないかという気がします。

2 : 湖の騎士 : May 28, 2008 05:46 PM

悠々様 相撲とは桁違いの実技人口を持つ柔道は、世界各国に広まっています。それでも「ジュードーの本質は『礼』にある」ということが、世界の柔道実技者の間に浸透しています。そんなに日本精神を強調しなくとも、日本が生んだ美しい心は世界でごく自然に理解され支持されているのです。ロシアのあの傲岸不遜に見えるプーチン首相でさえ、柔道では礼の心が最も大切だと発言しています。彼はもちろん高位の有段者です。二人の横綱はモンゴル人だから、相撲の心を理解できず、単なる格闘技と取り違えて、睨みあったり小突いたりするのが観客へのサービスと思いこんでいるのかも知れないーーということを、報道ステーションで古館伊知朗キャスターが言っていました(26日)。これは彼の取り違えでしょう。モンゴル人に理解を示したつもりが、これではモンゴル人は相撲のもつ精神性や礼の心を理解できない民族だと蔑んだことになります。この伝でいけば、モンゴル人は柔道の「礼」の心も理解できないことになります。二人の横綱が相撲の本質を取り違えているとすれば、それはモンゴル人だからではなくて、親方や協会の指導力の不足のためではないでしょうか。私が北の湖に求めるのは、ごくごく普通の判断力であり、常識です。今回の北の湖は明らかにそれを欠いていました。

3 : Anonymous : May 28, 2008 06:37 PM

相撲の起源は神事からで神に捧げる儀式だったわけですからその精神性や礼の心は大切な要素だと思います。
アマチュアの相撲には柔道同様その道が正しく継承されていると思います。しかし今の日本相撲協会が行っている大相撲は神事の精神は何処かに置き忘れてしまって、ショウビジネスに変容しているのではないでしょうか?
親方や協会の指導力の不足以前の問題で、親方・協会理事の認識がなっていないのです。
その人たちが不遜な態度を取る横綱達を指導できるわけが有りません。
横綱審議会が理事の人事にまで言及できるのであればもっとはっきりと単に苦言ではなく改善指導をして欲しいです。

4 : 湖の騎士 : May 28, 2008 09:01 PM

Anonymous様 相撲の起源が神事だということを忘れている人は多いでしょうね。土俵入りや取組み前の仕草をちょっと見ていればわかることですが、今はもっぱら「興行」にばかり目が行っているのでしょう。親方や理事長の指導力不足を嘆いても仕方がないというご指摘は身に沁みますが、「あ、俺は理事長には向いていない」と悟らないものでしょうか? これもまたおよそ非現実的な希望ですがーー。

5 : 悠々 : May 28, 2008 09:38 PM

Anonymousは悠々でした。本文だけ書いてうっかり送信してしまった様です。失礼致しました。
理事長、総理、知事、社長などTOPにいる人は余程自己規制が出来ないと殿上人になってしまい自分の行動を反省する事が出来なくなるもののようです。
周囲も祭り上げて置いた方が物事がスムーズに進むから敢えて忠告などしなくなるでしょうし。
本人の資質もさることながらブレーンに人を得ないと組織は崩壊してしまいますね。

6 : ひろ : May 29, 2008 09:32 AM

おはようございます。 私は、世の中のトップを見て思う事は、責任を人になすりつけて、誤り方を知らないという事です。

自分の地位にしがみつくあまり、事無かれ主義で、誰かを叱る事が責任だと勘違いし、本質をわかっていません。子供の喧嘩を仲裁する時に私は必ず、両者を叱ります。そうしないと、子供は、納得しません。細かいことには、大らかな気持ちを携え、見守り続ける事で本質は、見えてくる気がしています。

トップが、結果だけしか見ていない場合、到底、正しい判断は、下せないと思います。 

7 : 湖の騎士 : May 29, 2008 10:14 AM

ひろ様 トップにいる人々への非常に鋭く貴重なコメントをありがとうございます。ご自分の近くで、責任を取らず、事なかれ主義で、誰かを叱るだけのトップを多数見てこられたような臨場感というか具体性があります。子供の喧嘩の仲裁をする時には必ず両者を叱るというのは、こういう場合の「鉄則」です。その鉄則さえ分かっていなかった北の湖の頭脳は、指導者として大問題です。

8 : 湖の騎士 : May 29, 2008 06:55 PM

悠々様 水たまりにボウフラがわくように、権力を持った人間の周囲にはかならずゴマスリ人間がはびこります。トップというのはまた、そういうろくでもない人間を可愛がるものです。そして耳ざわりの悪い、真の情報や忠言を持ってくる人間を遠ざけます。かくて大帝国も大会社も、こうして滅んでいきました。暗愚なトップをいただいた民衆も社員もたまったものではありません。

9 : alien : May 30, 2008 07:09 PM

以前、ある大学がカルト集団に乗っ取られる現場を見ました。あっという間にヘビに丸呑みされるマングースのようでした。その時、カルト勢力は、まず、組織の規程を変えて選挙を排除し自らの役職の終身化など「権力」の集中と安泰を図りました。普通の人達は「いくらなんでもそこまではしないだろう…そこまでは、…そこまでは」と最後まで相手の良識に期待して様子を見ているうちに、全てが手遅れとなり、終わりです。どんな組織でも、勇気を出して断固として劣化や破滅を防がなければならないギリギリの時というのはあると思います。しかし、99%の人は目先の個人的な保身に流されてカルトの支配さえ受け入れるのを私は見ました。抵抗したのは約300人の内、4名です。もちろん相撲協会や日本の政治にカルトの例はあてはまりませんけれども、時には関係者や世論がここぞとばかりに勇気を出して声をあげることがどんなに大事かということが言いたかったのです。声をあげることがいかに難しく勇気がいることかも上の例で目の当たりにしましたけれども。角界の関係者の方々には体質改善に頑張っていただきたいと思います。

10 : alien : May 30, 2008 07:09 PM

以前、ある大学がカルト集団に乗っ取られる現場を見ました。あっという間にヘビに丸呑みされるマングースのようでした。その時、カルト勢力は、まず、組織の規程を変えて選挙を排除し自らの役職の終身化など「権力」の集中と安泰を図りました。普通の人達は「いくらなんでもそこまではしないだろう…そこまでは、…そこまでは」と最後まで相手の良識に期待して様子を見ているうちに、全てが手遅れとなり、終わりです。どんな組織でも、勇気を出して断固として劣化や破滅を防がなければならないギリギリの時というのはあると思います。しかし、99%の人は目先の個人的な保身に流されてカルトの支配さえ受け入れるのを私は見ました。抵抗したのは約300人の内、4名です。もちろん相撲協会や日本の政治にカルトの例はあてはまりませんけれども、時には関係者や世論がここぞとばかりに勇気を出して声をあげることがどんなに大事かということが言いたかったのです。声をあげることがいかに難しく勇気がいることかも上の例で目の当たりにしましたけれども。角界の関係者の方々には体質改善に頑張っていただきたいと思います。

11 : 湖の騎士 : May 31, 2008 07:00 AM

alien様 身に沁みます。一つの組織(大きくは国家)が異常な集団に乗っ取られてゆく危険というのを、もっと知るべきです。こういう言論を展開するときは、かなり具体的な集団名が頭にあるのですが、裁判などの後難を恐れて実名を出しません。気のついたときには、彼らの天下です。ここで語っておられる例は非常に具体的で説得力があります。抵抗したのは300人中4名だったというのも、迫真力があります。「時には関係者や世論がここぞとばかりに勇気を出して声をあげることがどんなに大事かということが言いたかった」というお気持ちを大切にしたいです。日本人は「孤立」を極端に恐れ、正しいと思うことを口にする「勇気」を欠いています。孤立しても正論を言える人を励ます教育が緊急に必要です。