View of the World - Masuhiko Hirobuchi

June 25, 2008

年間の「ベスト・エッセイ」入り(7度目) -

昨年、雑誌「FoodBiz(フードビズ)」に発表した「砂のまじったカレー」が、日本エッセイスト・クラブにより、年間の「ベスト・エッセイ」の一つに選ばれました。8月末に文藝春秋社から出る単行本『’08年版 ベスト・エッセイ集』に収録されます。「砂のまじったカレー」と聞くと、「あれ、たしか『頭にちょっと風穴を』(新潮社)にも載っていたのでは?」と思い出してくださる方もおいでだろうと思います。そうです。たしかにその通りですが、これは「ルールにしたがった」選考の結果です。まだ日本エッセイスト・クラブの選考が始まっていない段階で、自著を単行本化したために生じた現象です。ルールの説明はともかく、私の文章が伝統あるエッセイスト・クラブにより、年間のベスト・エッセイの一つに選ばれるのはこれで7回目、5年連続ということになります。ありがたく名誉なことだと思っています。

「砂のまじったカレー」は、ホルムズ海峡へ取材に行った際に、この海峡の西側の国オマーンの高原で食べたカレーにサウジアラビアの砂漠から飛んできた砂の微粒子が入っていたことを書いたものです。砂のまじったカレーの中には、インドを数世紀間支配してきたイギリス、明治維新のころの横浜にカレーを伝えたイギリス人、オマーンの左翼ゲリラを支援していた旧ソ連、イランからペルシャ湾を越えて飛ぶ謀略の電波、狭いホルムズ海峡からアラビア海・インド洋を経て海賊の跋扈するマラッカ快挙を越えてくる原油の苦難にみちた旅路のことなどが語られています。誰でもが知っている食べ物の中に凝縮された現代というものを描いたつもりです。『頭にちょっと風穴を』の冒頭にこの作品を据えた著者の意図を、正確に読み取って下さる方が多いといいなと思っています。

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COMMENTS

1 : 職人希望 : June 26, 2008 07:36 AM

おはようございます。そして、おめでとうございます。
私は“グリニッジ子午線”、“El Condor Pasa”についての頁もお気に入りです。

2 : 悠々 : June 26, 2008 09:55 AM

7回目、5年連続の年間の「ベスト・エッセイ」選定おめでとうございます。我が子とのように嬉しいし、晴れがましい気持ちです。鬱陶しい梅雨空を吹き飛ばしてくれます。

3 : 悠々 : June 26, 2008 09:57 AM

訂正です。
我が子とのように嬉しい → 我が事のように嬉しい です。
誤変換でした、恥ずかしいです。

4 : 湖の騎士 : June 26, 2008 09:58 AM

職人希望様 入賞を祝ってくださりありがとうございます。グリニッジ子午線の話も、コンドルと車輪の話もお気に召して本当に嬉しいです。今後もしっかりと文章を書きつづけます。よろしくお願い申し上げます。

5 : 湖の騎士 : June 26, 2008 10:34 AM

悠々様 コメントありがとうございます。ご自分のことのように嬉しいとおっしゃって下さり、心より感謝しています。読んで下さる方の共感を得つつ、ややシリアスなテーマを語ってゆくというのは大変むずかしいことですが、私の場合は読者に恵まれ、選者に恵まれていると思います。今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。誤変換はいつでも起こることです。私の文章にも誤変換があることに、つい先ほど気づきました。どうかお気になさらないで下さい。

6 : りっキー : June 26, 2008 11:34 AM

おめでとうございます。5年連続「ベストエッセイ」に選ばれ、今や常連となっているのですね。先生の文章はとても読みやすく親しみやすいので、いろんな世代の方が読むことが出来るのではないでしょうか。身近にある題材を使ってのエッセイは想像しやすく、またプラスアルファーの知識として蓄えることができると思いますし。猫の話(大学の談話室での学生の話)は今でもハッキリと覚えています。『’08年版 ベスト・エッセイ集』発売されたら購入いたします。とても楽しみです。

7 : 湖の騎士 : June 26, 2008 02:00 PM

りっキー様 入賞を喜んで下さりありがとうございます。私の文章を読みやすいと言っていただけるのはありがたいことです。人の心に沁みこむようにと心がけているのですが、ときどき「目線」がずれてしまうことがあります。違和感を感じられたらどうかご指摘下さい。会社の上司の方にもよろしくお伝え下さい。