View of the World - Masuhiko Hirobuchi

August 07, 2008

もしこの言葉を知っていたら(3) 人は努めているかぎり迷うものだ -

名言の豊富な蓄えがいかに人を元気づけてくれるか、絶望や自暴自棄におちいるのを防いでくれるかという視点からこのシリーズを書いています。十代、二十代の若者と接してきて、そういう名言の蓄積がいかに少なく、そのために彼らがいかに不幸になっているかを痛感してきたからです。
さて今回は「人間は努めている(努力している)かぎり迷うものだからな」です。ゲーテの名作中の名作『ファウスト』の一節で、悪魔メフィストフェレスがファウスト博士に言う言葉です。迷いはだれにでもあり、とくに若者は進路や職業選択で迷いの連続の中で生きています。いつまでも迷っていて、決断できない自分を責め、優柔不断な自分を情けなく思っている人も多数います。そういう時に、この言葉が耳に響いてくれば、どんなに大きな救いになるか、はかり知れません。「そうだ。迷うのも努力しているしるし、誠実さの証しなのだ」と思い、希望にみちて明日へ向かっていけます。心をこめて贈りたい言葉です。
でも、あまりこの言葉が強烈に頭に埋め込まれると、「迷っていてもいいのだ」という自己弁護の材料になってしまうので、ご用心。単に煮え切らないだけのあなたが、すっかりファウスト博士気取りになってしまい、「自分は誠実に努力しているからこそ迷うのだ」と思い込みがちです。迷うのは若さの特権です。しかし人間はいつまでも際限なく迷っているわけにはいきません。いつかは重大な選択をしなければならない。甘ったれているだけの自分と、天下の大学者ファウストを混同しないことです。でもしばしの期間なら、そういう混同も許されると思います。

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COMMENTS

1 : Anonymous : August 8, 2008 05:31 PM

「迷っていてもいいのだ」という自己弁護の方に使われると困りますね。
絶望や自暴自棄になってからは遅すぎるので、平時のときから繰り返して頭の中で暗唱することが大事でしょうね。

私自身も、好きな名言がいくつかありますが、今思い出すのはエイブラハム・リンカーンの
“あなたが倒れたことはどうでもいいのです
私はあなたが立ち直ることに関心があるのです。”
という名言です。

周囲の優しさと、いくつかの名言を糧に、苦境を乗り切っていきたいものですね。

2 : YSK : August 8, 2008 06:57 PM

高校生くらいの時に読んだ”デールカーネギー”の本に書かれていた一節

『かつてバイオリニストとして世界に名をはせたオーリ・ブールがパリで演奏をしていたとき、バイオリンのA弦がプツリと切れたことがあった。
けれども、ブールは三本の弦でその曲を終わりまで弾き続けた。
「それが人生なのだ。A弦が切れることも、三本の弦で弾き終えることも」 』

というフレーズが、今でも何かあると思い出されて心が熱くなります。青少年期にインプットされた感動は生涯続くのかもしれませんね。

3 : 湖の騎士 : August 9, 2008 06:26 AM

Anonymous様 ご自分の宝物になっている名言をお持ちの方は幸せです。それを公開し交換できれば、世の中は相当によくなるでしょう。このリンカーンの言葉も感動的です。ありがとうございました。ところでもし Anonymous様が前回に引き続き「悠々」様なら、この機会に申し上げますが、貴ブログへ3回コメントを書き込んだのですが、いずれもリジェクトされたようです。前よりは投稿の形式が複雑になっているのは分かりますがーー。そちら様サイドで簡略化できたらとも思います。

4 : 湖の騎士 : August 9, 2008 06:33 AM

YSK様 「青少年期にインプットされた感動は生涯続く」というすばらしいお言葉を、若者に贈りたいです。ありがとうございました。このデール・カーネギーの言葉は『道は開ける』に入っているのでしょうか? 久しく忘れていました。まさに名言ですね。元気が出てきます。少しばかりの逆境にも耐えられない若者もこれを聞けば「そうか! よしやろう」という気になるでしょう。

5 : 悠々 : August 11, 2008 11:59 PM

Anonymousさんは私ではありません。私のブログへの書き込みがお出来にならないとのことですが、私のサイドでは書き込み制限などはしておりません。
エキサイトの方のブログになら書き込めるかも知れません。
http://yhuuyuutak.exblog.jp/
にも同じ内容のものを掲載しております。

古今の名言には心打たれるものがありますね。でも私はそれを取り入れるには自分が未熟だし照れてしまう気がして素直に従う気持ちになれません。
私はそれらを自分の座右の銘にしようとは思えないのです。
私にはもっと下世話に落語に登場する人物の言いぐさとかに人生訓を得る方が好きです。江戸仕草などにも、世渡りをスムーズにする極意が潜んでいます。
いつも天の邪鬼なコメント描いてしまい申し訳ありません。

6 : 湖の騎士 : August 12, 2008 10:33 PM

悠々様 名言にもいろいろあります。ただ真実を言い当てているものではなくて、目の前にいる若者に元気を出させるような言葉を求めてきた私の経験が書かせたのがこの記事です。今の教育では、江戸の粋な情緒や、遊び人の叔父さんの洒落た言葉を理解する若者は本当に少なくなっています。大体、女性で苦労するような男は道徳的によくないのだと決めてかかる先生が多いのです。これから少しは江戸の職人や丁稚さんたちの喜怒哀楽がわかる先生方がふえてほしいです。貴ブログへの書き込みは、いろいろと手を変え品を変えておこなってみます。