View of the World - Masuhiko Hirobuchi

September 23, 2008

(首相は)誰がやっても同じではないーー英TVへのコメント -

19日の金曜日、有楽町の外国人記者クラブで、私はイギリスのロイターテレビの記者から質問を受けました。今回の自民党総裁選挙について、「出来レースではないか」「結果が分かっているのになぜ5人も出てくるのだ」「誰が総理総裁になっても日本は変わらない」という意見が多いがこれをどう思うか? というものです。こういう見方が出回っているのは知っていましたが、それが外国のメディアにも伝わっているのだということをあらためて知らされました。私は哲学「誰が総理になっても同じということは断じてない」と答えました。「社長が変われば会社は変わる。総理が変われば日本は当然変わる」という当たり前のことを話しました。たしかに霞が関の官僚社会をはじめ日本の権力機構は複雑に入り組んでいて、これを乗り越えてリーダーシップを発揮するのは容易ではありません。だが「誰がトップになっても日本は変わらない」というのは明らかに言いすぎです。記者は自分が期待していたようなコメントが得られないので不満そうでした。このインタビューを通じて分かったのは、「誰が総理になっても同じ」といった俗論がいかに広く日本社会に行き渡っているかということです。麻生太郎氏と福田康夫氏では歴然とした違いがあります。それは「日本を取り巻く国際社会の意志と力学」につての認識が全く違うことです。「国家」とはどういうものかについても、福田氏はまるきり分かっていませんでした。麻生氏の理念・哲学が空回りし上すべりして国民の支持を得られない可能性は十分にありますが、トップが変わることによる変化はかならずあるでしょう。アメリカの民主党員は「クリントンでもオバマでも同じことだ」とは思いませんでした。今やアメリカ人全体は、「オバマでもマケインでも誰がやっても変わらない」とは断じて思っていません。「誰が総理になっても同じこと」という考えは、あまりにも諦めムードが強すぎ、投げやりの度が強すぎます。民主主義を否定する危険な考えです。話は次の段階に移りますが、麻生の自民と民主の小沢では、日本の在り方は大きく変わってきます。大きく目を開いて両者の違いを見ていきたいと思います。

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COMMENTS

1 : alien : September 24, 2008 12:14 AM

外国人記者氏のバイアスのかかった予定稿に対し、毅然とした回答をお示しくださいましたこと、本当にありがたく思います。さもなければ、我々に関する新たな誤解がまた世界にばら撒かれたことでしょう。日本人の性質や暮らしぶりに向けられた根強い誤解を払拭するには、やはり一人一人が地道に正しい情報を伝え、発信していくことが重要なのだと思いました。日頃は、外国から悪意ある誹謗中傷や侮辱を受けても反論さえしない政府やマスコミに対し、ストレスを通り越して危機感を覚えております。湖の騎士様の明快なお話を伺い、溜飲が下がるとともに勇気をいただきました。

ロイターテレビの記者さんは全く見当はずれで、多くの人が「これからの日本はどうなるのだろう」という危機感と不安をもって今回の総裁選を見守ったと思います。しかも、「二度と情報操作や煽動に惑わされないぞ」という冷静さを身につけて。私は麻生さんでホッとしました。次なる総選挙では、政権交代の必要性が声高に謳われる反面、不安要因もいろいろで選挙民にとっては懊悩の日々となりそうです。大きな変わり目ゆえ、正しい選択をするためにも、湖の騎士様の分析をご教示いただけますとありがたく思います。

2 : 湖の騎士 : September 24, 2008 11:18 AM

alien様 コメントをありがとうございます。お褒めいただいたほど「毅然として」いたわけではありません。「そんな俗論に惑わされないでほしい」という思いを力を込めて語っただけです。日本に対する誤解を解いてゆくというのは、本当に大変なことです。多くの心ある日本人がこれからの二本を憂えており、核をもった隣国の動きをじっと見つめています。しかし金融危機が起ころうが、原油が高騰しようが「そのうちなんとかなるさ」「自分には関係ない」と思っている人も相当に多いのも事実です。こうした中で、国の安全とか、外交の基軸について全く価値観を異にする政党が、ただ「政権交代だ」と叫んでいるのは非常に危険です。ムードだけで動く大衆が、こうした掛声に踊らされないことを願うばかりです。

3 : 職人希望 : September 27, 2008 05:50 AM

私は職業柄、警察の方と顔を合わせることがあります。また仕事の延長で、後輩を飲みに連れて行くことも少なくありません。そんな中で、命をかけて市民を守るお巡りさん、誠心誠意料理をこしらえてくれる板前さんを目にし、日本人の仕事に対する考え方、大げさに言えば生き方にふれて、この国に生まれてよかったと思うことがしばしばあります。
他の数ある職業もしかりです。先日は同級生が染み抜きの仕事で食っている、いい仕事をしていると聞き、とても嬉しくなりました。政治家もしかりでしょう。きっと心ある仕事人がいます。
これまでが総中流過ぎたのかもしれません。安寧が政治のレベル低下を招いた部分もあったのでしょう。たしかに誰が政治における指導者をやっても変わらない、誰がやっても国民の仕事力でカバーできる時代が続いたと思うふしもあります。
食品の偽装だとか、給食費を払わないだとか、国民としての自尊心の低下は、円高や貿易の不振よりも深刻な危機です。
この時代だからこそ国民は政治に目を向けるようになったのだと思います。決してマスコミがいう劇場型政治のためだけではありません。
選挙には必ず足を運びたいと思います。

4 : 湖の騎士 : September 27, 2008 09:49 AM

職人希望様 貴重なご意見をありがとうございます。たしかにここ十年数年の間に日本人の精神は劣化していますが、それでも同じ国民として誇りに思える点は多々あります。人々はそれぞれの持ち場を責任をもって守り、「公」につくすという精神はかなり健全です。商道徳も一部の不心得者を除いて生きています。「誰が首相になっても同じ」という言葉の最大の発信源は、民主党の小沢一郎代表のようですが、こういう発言は大衆を惑わせます。言葉に踊らされないで、じっくりと政党およびそのトップの人物・識見を見極める人がふえてほしいです。