View of the World - Masuhiko Hirobuchi

December 26, 2008

見上げた青年 -

ニュースを見ていても心が滅入ることが多い昨今ですが、ちょっといい話を。去る水曜日(24日)最寄りの駅から自分の携帯でこれから会う相手に「10分ほど遅れる」旨の電話をしたのですが、「よく聞こえない」とのことでした。なにか私の電話にトラブルがあったらしいのです。ここは絶対に承知しておいてもらわねば困るので、焦りました。目の前を見ると、若者が二人ちょうど携帯で通話を終わったところでした。そこで、「頼むからちょっとその電話を貸してほしい」と言いました。学生服の若者は「どうぞ」と言い、私が言う番号をただちにプッシュしてくれました。おかげで、相手にはたちまち用件が通じました。電車が来たので、私は若者たちと一緒に乗り込み、今の通話のお礼ということで、ほんとに気持ちばかりのお金を渡そうとしました。だがその若者は絶対に受け取ろうとしません。「私の感謝の気持ちだから」と再度強く言ったのですが、「いや、いいです」と言うばかり。その断り方が非常にスマートで、少しも無理をしていないのです。私が渡そうとした金額もそんなに心の負担になるような額ではなく、「通話料の足しになれば」という程度のものでした。他の若者なら、「ありがとうございます。では遠慮なく」と受け取っても少しも不思議ではない光景だったと思います。しかしこの若者はにこにこして、私の気持ちを固辞したのでした。聞けば高校生とのこと。多弁ではなく「困ったときはおたがいさまです」などとは言いませんでしたが、ほんの1分か2分の応答の中に、なにか人のよさとか、受けてきた教育や躾のよさを感じさせるものがありました。日本にもまだまだこういう清々しい若者がいるのだと思い、心が少し明るくなりました。

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COMMENTS

1 : 悠々 : December 26, 2008 07:49 PM

良いお話ですね! 私にも似た経験があります。数年前パリでのこと、オーベル・シュル・オワーズに居る友人家族とディナーの約束をしていたのに、パリ市内で大渋滞に巻き込まれ約束に時間には到底着けそうにないのです。公衆電話も車を止める場所がないから使えないし、私の携帯電話は当時未だ国際ローミングでは無かったから使えません。交差点の角で屋台を開いているのが見つかったので交差点内に車を停め店主に携帯電話を使わせて欲しいと頼みました。その店主は私に番号を聞いて掛けてくれました。友人と繋がって遅れても良いから待っているという事になり安心して渋滞に身を任せることが出来ました。店主はアラブ人で通話料を払おうとしましたが受け取りません。私は持っていた自作の七宝ペンダントを奥さんにあげて下さいと渡したらそれは受け取ってくれました。店主はオーベルに行くならこっちの方が空いていると道まで教えてくれたのです。
何かと評判の悪いアラブ人ですが、彼は親切で優しいアラブ人でした。

2 : FUMIHITO : December 26, 2008 09:08 PM

こんばんは。
素敵な若者ですね。
きっとご両親の教育がよいのでしょう。

私の妻は逆のことを経験しました。
近所を子供と歩いていると、外車にのった大学生ぐらいのカップルに「車が故障して動かないので携帯電話を貸してください。」と言われ快く貸してあげました。
すると「後日お礼をしたいので住所を教えてください。」と言われ妻は「お礼なんていりません。」と断ったのですが、「ならば電話番号だけでも教えてください。」と言われ「本当にお礼なんて結構ですから。」となんとか断りその場を立ち去りました。
妻に話を聞くと、どこぞの御曹司のような風貌だったそうですが、私はその話を聞いてしっかりと教育された好青年もまだまだいるもんだと心地良い気分になりました。

3 : 湖の騎士 : December 26, 2008 09:12 PM

悠々様 いただいたコメントの方が話のスケールが大きく、国際的で面白いですね。ひとつの記事からこういうふうに話が発展してゆくというのは実に楽しいです。パリにすむアラブ人も圧倒的多数はいい人たちなのでしょう。そういうよきアラブ人にお会いになれて本当によかったです。

4 : 湖の騎士 : December 26, 2008 09:21 PM

FUMIHITO様 これもまた本当によいお話ですね。住所を教えてくれといわれて断った貴方の奥さんも立派です。電話番号を教えてくれといわれてもなお断り続けるところがいいです。携帯を使わせてもらった若者もきっとこの楽しい経験を何度も思い出し、人に語っていることでしょう。日本にはまだまだ美風が残っているようです。

5 : alien : December 27, 2008 12:15 AM

今回の記事は「私は見たシリーズ」ではありませんが、今日、わたしは、ついに見てしまったのです。パジャマ姿にブーツをはいて国道の脇の歩道で携帯している若い女性を!そのあと寒さから逃れて入った喫茶店の店員さんがカタコトの日本語で注文を聞きにきたので「どこの国のかたかしら」と思ったら日本人でした...あーた、日本語、ヘタすぎでしょ。わたくし、前回の記事のコメントに自国の文化行事のことなどを書きましたけど、パジャマにショックを受けて「生活が文化だ!文化は生活だ!」と思い直したのでした。今、このように礼儀正しくすがすがしい若者のエピソードを読みながら、明るい希望の光が見えた気がします。若者は普段どおりに自然に振る舞ったのでしょうから、これほど感謝されているとは思いもよらないでしょうね。高校生といえば、ゴルフの石川遼君やフィギャースケートの真央ちゃんを私はとても尊敬しています。あれほどのマスコミや人だかりを相手に失言もなく、気分のムラもなく、いつもすがすがしく対応しているので、本当に立派だと思います。立派な若者達もたくさんいますね。明るい気持ちになってきました。

6 : 湖の騎士 : December 27, 2008 10:28 AM

alien様 ひどい人たちをご覧になったのですね。本当にお気の毒です。しかしパジャマ姿でブーツをはいて携帯をする女性も、日本語がろくにしゃべれない喫茶店の日本人店員もこのほかにもかなり多数棲息している気がします。そうした中で私の記事が少しは明るい希望に繋がったとすればこんな嬉しいことはありません。石川遼君と真央さんは私も感心しています。日本語もしっかりしているし、話す内容もよく、対応がすがすがしいですね。こうした若者が多数派になってくれることを共に願うことにしましょう。