View of the World - Masuhiko Hirobuchi

January 22, 2009

「先生が来られた」という高校生 -

昨日、街で3人の男子高校生とすれ違いました。そのうちの一人が「00先生が来られたので」と話している声が一瞬耳に入りました。周囲に学校関係者も親も先輩もいるわけではなく、まったくの気楽な仲間同士の会話だっただけに、この「来られた」という敬語が強く印象に残りました。まさか私に聞かせるためであるわけがありません。制服から見て、とくに有名な進学校でもなければ、私立の名門校でもなさそうです。会話はまったくの自然体でした。この「00先生」という方が、よほどのすぐれた人格者なのか、それともこの高校では校長以下全教員が、教師に対してはこういう敬語を使えと指導しているのかはわかりません。とにかく日本語の乱れがひどく、とくにテレビに登場するタレントたちが、汚い言葉を連発している昨今ですが、一方ではこの例のように美しい日本語が復活してきているのかも知れません。判断を下すには例が少なすぎますが、あるいは今は言葉も川のように汚染と浄化が同時進行しているのかも知れません。一方では言葉はどんどん汚染されていますが、片方ではそれこそ「鮭がかえってくる川」のように、水が澄みつつあるのかもーーと思います。なんにもよいことがないと思える今の日本で、ちょっと希望の兆しが出てきているのかなと思いました。

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COMMENTS

1 : FUMIHITO : January 23, 2009 09:39 AM

おはようございます。

>一方では言葉はどんどん汚染されていますが、片方ではそれこそ「鮭がかえってくる川」のように、水が澄みつつあるのかもーーと思います。

まさにそのとおりだと思います。
私の家の近所にある某有名私立学校の幼稚園の前を毎朝通勤で通るのですが、先日幼稚園に送ってもらった園児が自分の母親に「お母様、お送りありがとうございました。」と言っておりました。
私はビックリ!!! こんなにしつけをされた幼稚園児を初めてみました。

そうかと思えば、おととい会社帰りの電車に乗っていると若い18・19歳くらいの女性の二人組が電車に乗ってきて「席あいてなくねー」「座れなくねー」「やばくねー」と言って混雑している電車の地べたに二人で座りこみました。
そして二人で「○○じゃねー」「そーじゃねー」と相変わらずおかしな日本語で会話をしておりました。
私以外の電車に乗っている人達も私と同様に「この子達はいったい何なんだ?」と思っていたようでチラチラと彼女達をみておりました。

今日、日本語教育というのは大部分が両親に委ねられていると思います。
うちの会社の若い子や私より年上の人でも正しい日本語を知らない人が多いのが現状です。
笑い話のようですが、私の部下は私に「○○に行って参る!」と言って外出して行きました。どうらや本人は私に敬語を使っていると思っているようです。

幼稚園の段階から日本語というカリキュラムを導入したほうがよいのではないでしょうか?

2 : 湖の騎士 : January 23, 2009 02:24 PM

FUMIHITO様 非常に面白い実例ですね。こういう丁寧な日本語を使う幼稚園児もいれば、日本語が話せない若い女性もたしかにいます。目に見えるようです。それにしても部下の方が「OOに出かけて参る」というのは時代劇の見過ぎかどうかわかりませんが、これはほほえましい感じです。やがて彼も正しい言葉使いを学ぶことでしょう。

3 : alien : January 25, 2009 01:26 AM

湖の騎士様とFUMIHITO様がご紹介くださった具体的な会話の例を読ませていただいて、「格差社会」という言葉が頭をよぎりました。(せっかく良いお話をご紹介くださったのにすみません。)テレビ・マスコミの俗悪化などでスタンダードがますます低くなっているように思われるので、幼稚園からきちんとした躾をうける人と、そうではない人ではより個人の質の格差が広がってしまいますね。そして、その人達に育てられる次の世代ではますます格差が大きくなるでしょうね。日本は高いレベルで知的に均質だと言われてきましたのに、そんな格差社会になって欲しくありません。先日「漢字を廃止して韓国に何が起きたか」という本を興味深く読みましたが、言葉の質と思考の質は同義だということが具体的に説明されていました。その意味では、言葉の乱れた日本も思考の危機に直面しているのかもしれません。政治、教育、家庭、マスメディア等など、社会が協力してなんとか正しく美しい言葉を取り戻せるような対策を講じて欲しいと心から願っています。

4 : 湖の騎士 : January 25, 2009 04:57 PM

alien様 なかなか気付かない「言葉にみる格差社会」というご指摘は大変興味深いものです。「なるほど!」と思いました。金銭はともかく、言葉だけは均質な社会であってほしいです。しかしそのことに気付かぬ親も先生も多いのでしょう。汚い言葉を使っていると、進学でも就職でもかならず損をします。なんとしてでも美しい日本語をマスターするという気になってほしいものです。さてハングル・オンリーにした韓国の知的衰退については、日本のメディアでも時々紹介されますが、私は2か月ほど前に、呉善花さんが書かれた本を書店で見ました。まだ読んでいません。言及されているのは、あるいはこの本でしょうか?

5 : alien : January 26, 2009 12:49 AM

湖の騎士様 わたくしが読みましたのも呉善花氏のご本です。書の先生をしている知人から借りました。知人は職業柄、文字に関連のあることには敏感なのです。特に第一章は、今まで考えてもみなかった問題提起で興味深く読みました。内容を要約してご紹介したいところですが、私の言葉の選び方が不十分ですと他国の文化に失礼になりかねませんので、それは避けたいと思います。

追伸:先日の記事「パレスティナ住民は今の事態を読めなかったのか?」の欄に湖の騎士様のお考えを伺ってみたい点についてご質問を書き込みもうと試みましたが受けつけ期限が過ぎていたようです。また、関連の記事がアップされたときにお尋ねしたいと思います。

6 : 湖の騎士 : January 26, 2009 03:23 PM

alien様 お読みになった本が呉孫花氏の著書と知り、「やはりそうだったのか」と思いました。近く求めるつもりです。再度のお書き込みありがとうございました。パレスティナ住民の意識について、書き込み期限が切れていたというのは残念です。この問題はまた取り上げるつもりですので、その際はよろしくお願い申し上げます。(ハマスに投票しないと命が危ないとか、投票すればイスラエルにひどい目にあうと分かっていても投票せざるをえない状況があると思います。イスラエルが「ハマスに投票した住民が悪いのだ」と思うのは一方的すぎると思います。投票の自由がない民とどう付き合うかです)

7 : はみんぐばーど : January 28, 2009 07:01 AM

はじめまして!
「頭にちょっと風穴を」を読み終えました。
この本を通じて、廣淵様の目を通しての、私の知らない広い世界を覗くことが出来、ますます日本の外に興味が湧いて来ました。
“洗練された日本人になるために”少々いや大幅に時遅しの感はあるものの・・本を通じて、このブログに辿り着きました。
過去のCOLUMNSをゆっくり読ませて戴きます。
私には新たな発見・・COLUMNSの綴りにNが入っていることです。一応何か発音上の役目を担っているのでしょうか?
記事表題とは関係ないことですが、初めてのご挨拶をさせて戴きました。
どうぞよろしくお願いいたします。

8 : 湖の騎士 : January 28, 2009 09:26 AM

はみんぐ・ばーど様 初めまして。コメントをありがとうございます。『頭にちょっと風穴を』をお読みいただき、心より御礼申し上げます。この本はと2日で発売1周年になりますが、おかげさまで静かに売れ続けています。この中にはかなり欲張った内容がぎっしり詰まっていますが、楽しんでお読みくださったようで、心強いです。c0lumns の n がなぜ入っているのかですが、元々これはローマ人たちが用いたラテン語だと思います。これも調べたわけではありませんが、梯団(ていだん)という軍事用語から来ているのだと理解しています。梯(はしご)のような形をした兵士たちの編成単位が目に浮かびます。この梯のように区切られた隊員編成がコラムで、現在の新聞雑誌のコラムも梯のように枠で囲まれて区切られているところが古代ローマの「コラム」に似ていますね。少し深入りしましたが、このnもラテン語では必要だったのでしょう。今後ともよろしくお願いいたします。

9 : はみんぐばーど : January 30, 2009 10:33 AM

ランスロット様
ARCHIVESを読み進める途中、「サクソンの騎士アイヴァンホー」が目に留まりました。コメント欄が開けないようなので、この場でのコメントをお許しください。
“私のアイヴァンホー”は知る人ぞ知る、40数年前に放映されていたTVシリーズの「アイヴァンホー」です。
ロジャー・ムーアがアイヴァンホーを演じておりましたが、当時のフィルムが残っていないのか、現在では麗しい姿のアイヴァンホー卿を観ることが出来ません。

10 : 湖の騎士 : January 30, 2009 04:35 PM

はみんぐばーど様 アーカイブスをお読みくださり、ありがとうございます。自分で「湖の騎士」などと名乗り、今の若い世代は知るまいとシラを切りとおしていたのですが、ついに身元が割れてしまいました。私の知るランスロットもアイヴァンホーもロバート・テイラーが演じた劇場用です。テレビシリ-ズは見ていません。ランスロットは昔の少年用の読み物では「湖の騎士」と紹介されていましたが、Sir Lancelot du Lac は、本当は「ラック家のランスロット」と訳すべきではないかと考えています。英仏文化に詳しい人に一度聞いてみようと思います。今後ともどうかよろしくお願いいたします。