View of the World - Masuhiko Hirobuchi

March 19, 2009

強烈な香水のにおい -

駅のエスカレーターなどでの経験です。自分の一段上に強烈な香水のにおいを発散させている女性がいます。あまりの強烈さに息苦しくなるほどです。いささか戸惑いながら、私の一段下にいるらしい子供を振り返る顔を見れば、中南米系の顔つきです。白粉(おしろい)もこってり塗りたくっています。あるいはアジアでも島がたくさんある国の人かも知れません。こういう白粉の塗り方をし、こういうきつい香水の香を発散する女性は、いわゆる先進国にはいないという気がします。大方の日本人も、こういう女性を「洗練されていない」「ダサい」「野暮だ」と見ていると思います。しかし当の中南米や東南アジアでは、これが社会全般に通用する「美意識」であり「価値観」なのです。この意識のギャップというのは、相当に大きく、「どちらが正しいのか」と決めるわけにはいかないたぐいのものです。ある国あるいは地方には、独特の文化があり美意識があります。先進国の価値観や美意識が通用しない地域も地球上にはいっぱいあります。ですから、この記事の冒頭に登場した女性が、強烈な香水のにおいを発散させていても一向にかまわないわけですが、おもしろいのは経済の発展につれて、「好み」も少しずつ変化してゆくことです。その点でいちばん「好みの変遷」がいちじるしいのは、中国です。テレビに登場する中国の若い女性たちの化粧の仕方や服装は、どんどん日本女性のそれに近づいています。10年前と比べるとその差は歴然としています。はたして他の発展途上国の人たちの「好み」も先進国のそれに近づいてゆくものなのか。それとも両者のギャップは埋まらずにこのまま続いてゆくのか。その辺を注意ぶかく見守りたいものです。
女性たちだけでなく、男性の価値観や「好み」については、あらためて書きたいと思います。

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COMMENTS

1 : 悠々 : March 20, 2009 10:25 AM

そこはかとなく・・・さりげなく・・・
お洒落は傍目に気付かれぬ程度にするのが粋だと思います。
香水や白粉の過剰使用だけではなく、日本でもブランド物で頭の天辺から爪先まで固めているなんて言うのも同じ発想で、戴けません。
江戸の商人が羽織の裏に金を掛けて表には見せなかった、なんて言うのが粋だと思うのです。
バッグにこれ見よがしにブランドネームを付けているのも嫌な感じです。良い物なら名前を書かなくても分かるはずですからね。
私のバーバリーの上着には裏地の縁取り部分がバーバリーの格子模様になっています。外からはまるで見えないし脱いだときにも幅3ミリの部分だけにさり気なくバーバリーの印があるのです。こんなやり方が気に入っています。

2 : 湖の騎士 : March 20, 2009 03:54 PM

悠々様 目立たないおしゃれこそ真のおしゃれですが、そうした心を持つ人が少なくなってきました。悠々さんのバーバリーの上着を作った人のデリカシーはすばらしいですが、それを愛でる粋なお客がちゃんといるというところが頼もしいです。さて厚化粧と過剰香水のことを書いたのは、「これがいいのだ」と思い込んでいる人たちには、いくら傍から「それは野暮ですよ」と言っても直らないということを言いたいためでした。世界の政治的文化的対立も摩擦も、「美意識の違い」から起こっている場合があまりにも多いと思います。自爆テロを行えば、死んで天国に行けて、そこで夢のような暮らしができるのだと信じ込んでいる若者の了見を変えさせるのは不可能です。どうすれば、「大方の良識」というものが世界に伝わるのか。その難しさをつくづく思います。「たかが香水くらいでとやかく言うな」と思う方も、話がここまで来れば「香水の好みの差恐るべし」と気付いていただけるのではないでしょうか。

3 : 悠々 : March 23, 2009 11:27 AM

センスは磨けば向上するとは思いますが、その気がなければ駄目ですからね。
美意識についての落差はアメリカの大手保険会社が政府の資金援助を受けながら役員に莫大なボーナスを支払ったのもそうです。彼らの美意識では当然の行為なのでしょうが、大方の良識派は彼らの美意識には付いていく事は出来ません。
人を殺して天国に行けるという考え方も私には理解できません。日本の特攻隊を彷彿させます。

4 : ひげとの : March 23, 2009 01:29 PM

美意識というのではありませんが、お菓子と果物の甘さについて、ちょっと似たような感想を持ったことがあります。

品種改良されて、果物が甘い国のお菓子は、素材の美味しさを生かして、甘さは控えめです。
果物が甘くない国のお菓子は、甘さが、必要以上に強いものが多いみたいです。

食の好みも美意識も、自然に微妙なバランスのうえにあるもののようです。

*多摩地区のある蕎麦屋で、香水の強烈な女性が、入店を拒否されたのを見たことがあります。

5 : 湖の騎士 : March 23, 2009 02:19 PM

悠々様 好みとか美意識というのは説明のつかないものです。ここに書いた香水のにおいについても言葉で言い表すことはできません。でも読んでくださる方は「ああ、ああいうにおいのことを言っているんだな」という見当はつきます。問題はそういう香水を振りかけている人、すごい厚化粧をしている人が、「もしかして自分の好みは他人から見ればすごく格好悪いのかも知れない」という認識を持てるかどうかです。自分の美意識を他人の目で見ることができる人がふえれば、世界はそれだけ平和になり穏やかになると思います。しかし「強烈なにおいがいいのだ」と信じている人の周囲には、同じような好みの人がいっぱいいて、それが「集団としての好み」を形成しているのでしょうね。

6 : 湖の騎士 : March 23, 2009 02:29 PM

ひげとの様 果物が甘い地域ではお菓子の甘みは抑えられているーーという着眼は非常に面白いです。たぶん科学的な根拠があると思います。今後は意識して両者の甘さを比較してみることにしましょう。さて、多摩地区の蕎麦屋さんで香水の強烈な女性が入店を拒否されたというのは、快挙です。ときどき客を見下して自分の味を自慢したり講釈したがる食べ物屋がいますが、そんなのとは違ってあまりに強烈な香水は蕎麦の味を消し、他の客にも迷惑だということで、入店を断る店主というのは、見識があります。他の客の支持も得られると思います。よい現場をご覧になりました。