View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 27, 2009

ここまでは北朝鮮の「読み」どおり -

北朝鮮の核実験に対して、日本はもちろん、アメリカも韓国も強い非難の声を挙げています。中国もロシアも今度は本気で怒っているとマスコミは伝えています。しかし国連安保理を舞台としたこうした非難の合唱が起きることは、北朝鮮はとっくに折り込み済みでした。先月、北がミサイルを発射した際の国際社会の非難が「あの程度」のものだったことから、北は核実験に踏み切ったのです。もしアメリカだけでも北朝鮮をふたたび「テロ支援国家に指定する」というくらいの強硬な手段に訴えていれば、今回の実験はなかったはずです。オバマ大統領の「対話路線」はみじめな敗北を喫したのです。ブッシュ政権の末期から、アメリカの北に対する「読み」はことごとく外れてきました。一方、北の「読み」はことごとく当たってきました。「口先だけの非難なんかいくら受けても恐くない。核と運搬手段を持ってしまえば、一人前の対米交渉相手になるのだ」というのが、北朝鮮の読みでした。さて問題はここからです。はたして今後も事態は北朝鮮の「読みどおり」に進展するのか。アメリカは今度こそ北の本質に目覚めて効果のある制裁措置を打ち出せるのか。北に対する「同一民族意識」が強く、きわめて情緒的に動く韓国の世論がどういうふうに動いてゆくのか? 予測しきれない不安定要因がいっぱいです。日本のタブロイド版夕刊紙の中には「麻生無策」といった報道をしているものもありますが、日本が抱えているさまざまな制約の中で、打ち出せる「有効策」はあるのか、と逆に聞きたいところです。繰り返しになりますが、今までのところ「北」の読みはことごとく当たってきました。しかし、そろそろその読みが外れる時期に来ているような気がします。中国とロシアがどれほど本気で今回の実験を怒っているかによりますが、なんといっても鍵を握っているのはオバマ大統領です。このようなことが続いて、北の技術がイランに流れたとしたらどうなるか。イスラエルは黙っていないでしょう。中東がどのような地獄絵に陥るかは、いくら経験の浅いオバマ氏でも想像できると思います。問題は北にこれ以上暴走させないだけのガッツが彼にあるかどうかです。

[Post a comment]

COMMENTS

1 : alien : May 28, 2009 10:16 AM

卑劣極まりない北朝鮮には断固とした制裁をするべきだと思います。そして徹底的な制裁がまた拉致被害者の奪還に繋がることを心から願っています。威嚇も必要なことでしょう。ただ、私は、日本の集団自衛権や核保有問題、憲法改正問題などについて、それが必要であるにしても、北朝鮮に対する怒りと危機感を背景として「すわっ」と一気に進展を図るとしたらそれは危険なことだと思います。今だからこそと思うのが人情だとは承知していますが、私は、このような問題は、平時の冷静な環境の中で結論されるべき問題だと思います。ニューヨークの9.11テロの直後にアメリカの軍事費の倍化がほぼ満場一致の形で超スピード決議されましたが、その報道を見た友人が「テロ攻撃より、アメリカの直情的な反応の方が怖い」と批判しました。私は、世界全体が浮足立っている時に冷静な判断ができる友人を尊敬しました。イラク戦争の結果は周知のとおりです。今、その教訓を踏まえて考えますのは、北朝鮮の核実験を日本国内の核保有問題や憲法改正問題、集団的自衛権の問題等に直結させて、この非常な環境を利用して勢いで押し進めるようなことにならなければいいなと危惧します。

2 : 悠々 : May 28, 2009 11:40 AM

北朝鮮は国家と言うよりならず者集団です。中国やロシアが断固とした態度を取らないから、いい気になってやりたい放題のことを続けています。
北朝鮮が核爆弾を使わないまでも、核物質を大気に放出するだけで日本は激大な被害を被ります。そんな事をしたとしても北朝鮮はシャアシャアと不可抗力の事故で当方には責任はない、悪いのはアメリカ日本、韓国などであると嘯く事でしょう。
北朝鮮は後継者問題などで政情は不安定で、何をやらかすか見当もつきません。今に更に増長して、ロシアや中国にも刃向かうようになることでしょう。
何の罪もない北朝鮮の一般国民を苦しめるのは忍びないことですが、ここはロシア、中国が断固とした態度で臨まなければならない時期に来ていると思います。
アメリカは毅然とした態度でロシア、中国を説得すべきです。

3 : 湖の騎士 : May 28, 2009 09:36 PM

alien様 北朝鮮に通じる言語は「力」だけです。この力は軍事力でもあり金力(経済封鎖を含む)でもあります。アメリカが主権侵害の最たるものである「偽ドル」をあれだけ大量に印刷した北朝鮮をなぜこれほどつけあがらせたのか、理解に苦しみます。たしかにこれらはご指摘のとおり、冷静に理性的に推進すべき問題です。問題は日本の国会議員たちの知的レベルです。国会では、他国の政府から得た情報で明らかにしてはいけないのが常識になっている事柄を「事前に知っていたのか?」などと質問している野党議員がいますが、「インテリジェンスのいろはも知らない議員がこんなにも多いのかと思うと、情けなくなります。そして一般の人々は、「いくらなんでも日本に対して核ミサイルは撃ってこないだろう」という、根拠のない安心感を抱いています。平和ボケはここまで進んでいるのですね。

4 : 湖の騎士 : May 28, 2009 09:43 PM

alien様 お返事の中で一度書いた部分が消えていました。「理解に苦しみます」と「たしかにこれらは」の間に次の言葉を補わせてください。
「集団的自衛権や核保有問題、憲法問題などを、この機会に『すわっと』やってしまおうとすることには、私も反対です」

5 : 湖の騎士 : May 28, 2009 09:50 PM

悠々様 核実験後の北朝鮮の態度は開き直りそのものです。そして中国もロシアも、それほど真剣に北を制御しようとはしていないようです。彼らは北朝鮮の存在が自国に有利に働くと判断しているようですが、こういう国を放置しておくと、とんでもない破局が訪れることを歴史が証明しています。利害関係で小賢しい計算をして北を甘やかしていると、やがて思わぬ災害が中露の上にも降りかかる可能性が十分にあります。

6 : 職人希望 : May 29, 2009 07:52 AM

2013年の初号機納入を目標に、最高レベルの運行経済性と客室快適性を備えた国産飛行機MRJのプロジェクトが進んでいるようですね。
よその国からちょっかいを入れられることなく、予定通り完成することを祈っています。

本当に楽しみです。進行状況を小出しにして国民を楽しませて欲しいものです。地道に歩んで、4年後には旅客機、10年以内には哨戒機程度の生産にめどがつくといいですね。子供が成人するまでに、東アジア安定の兆しでも感じることができれば喜ばしいことです。

有事を機会に、自衛隊の士気が向上することを祈っています。そのためには、兵隊様とあがめるまではいかなくても、もう少し国民の意識が変わるといいです。

7 : 湖の騎士 : May 29, 2009 02:57 PM

職人希望様 この国産機の製造プロジェクトは、一時注目を集めましたが、今は忘れている人が多いようです。しかしその就航を楽しみにしておられるというのは、すばらしいことですね。お子様たちが成人するころには、東アジアも安定していてほしいというところから、飛行機に思いが行かれたのだと思います。これほど隣国による緊張が高まっているというのに、大多数の日本人は自衛隊員に感謝も敬意も感じていません。小学校での特定イデオロギーの持ち主たちによる「思想教育」のためです。