View of the World - Masuhiko Hirobuchi

June 22, 2009

ゴルディウスが結び目に託した思い -

イエス・キリストが生まれる300年ほど前の話。小アジアのフィルギスという国に、樹皮を水につけたものを精巧に撚りあわせた「知恵の輪」がありました。縄を撚りあわせたという説もありますが、この際素材は話の本筋には関係ありません。結び目は実に見事に撚り合わされていて、どこから始まるのかどこで終わるのか見当もつかないほどでした。これはフィルギスの王ゴルディウスの時代に作られたもので、「ゴルディウスの結び目」として近隣の諸国に知られていました。結び目には「これを解いたものは全東方(オリエント)の王になるであろう」という神託が下っていました。内外から多数の知恵者や勇者が訪れてなんとかこの結び目を解こうとしましたが、だれ一人として成功しませんでした。ある日、眉目秀でた青年貴族が現れました。彼は結び目を一目見るや、ただちに決断を下しました。腰に下げた剣をを抜き放つや頭上高くかざし、一刀のもとにこの結び目を切り裂いたのです。「そんな解き方なら自分にも出来た」などというのは見苦しい話です。だれもできないことを敢然としてやってのけるところが英雄の英雄たるゆえんです。とにかく彼は「結び目を解く」ことに成功したのです。これぞ若き日のアレクサンダー(アレクサンドロス)でした。やがて神託はかなえられ、彼はのちにインドにまで遠征して「全東方の王」となり、「大王」の尊称で呼ばれるようになります。
いま世界中で物事が停滞しています。経済が大きく傷ついていることが最大の原因ですが、テロ、環境破壊、教育、宗教など、どこから手をつけてよいか分からないほど難問が山積しています。中でも日本はそれこそゴルディウスの結び目にも似た、ややこしい法律や劣化したシステムにがんじがらめになっているといってよいでしょう。こういう時に、かつてのアレクサンダーのような果断な決断を下せるリーダーへの待望論が生まれてくるのは当然ですが、そういう英傑は出てきそうもありません。
そこで今日は皆さんのお知恵を借りたいのです。「一体ゴルディウス王は、なんのためにこんなややこしい結び目なんかを作ったのでしょうか?」これが私の差し上げるクイズです。どんな荒唐無稽な、あるいは無責任な答えでもかまいません。どなたかゴルディウスの気持ちになって、「これだ!」と思う案を書いてみてください。私も「おそらくは同意を得られないであろう独自案」を書くつもりです。今週中にそれを実行します。よろしくお願いします。

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COMMENTS

1 : sako : June 23, 2009 09:19 AM

何の為に作ったかは、今まで考えてもみませんでした。


フリギアは小国であり、自国が覇権争いの烈しい「オリエントの王」になると言うのは大言壮語に思われます。

ゴルディウス王は、フリギアが「オリエントの王」になるのではなく、結び目が解けるほど聡明な「オリエントの王」が、自国の王となると予想したのではないでしょうか?


失礼しました。

2 : Anonymous : June 23, 2009 09:45 AM

フィルギスの王ゴルディウスは自国が武力では周囲の国に太刀打ちできないことを悟っていて、「ゴルディウスの結び目」を作ることでフィルギスが知力の優れた国であることを示して周辺国を牽制したのではないでしょうか?

あるいは単に王が退屈して暇つぶしに知恵の輪作りに励んだだけのことかも知れません。

帆船時代の水夫なら誰でも縄の端を輪に編み込んで何処が始まりか終端かを分からなくするのは朝飯前のことですから、この話は「たとえ話」のようなもだとも考えられます。

3 : 悠々 : June 23, 2009 09:48 AM

前項の投稿は悠々でした。本文だけ書いて送信してしまいました。ごめんなさい。

4 : 悠々 : June 23, 2009 09:49 AM

前項の投稿は悠々でした。本文だけ書いて送信してしまいました。ごめんなさい。

5 : 湖の騎士 : June 23, 2009 02:32 PM

sako様 大昔の王が考えていたことを推理するというのはむずかしいですが、それだけに楽しみでもあります。私の推理もかなりアバウトですが、考えていることを発表するまであと2日ほどお待ちください。ヒントは「この結び目が評判になればフィルギスにどういう具体的メリットがあるか」です。

6 : 湖の騎士 : June 23, 2009 02:37 PM

悠々様 知的な国と他国に思わせるためーーという着眼は非常に面白いです。今の日本の生き延びる道もそこだと思います。私は2つのことを考えています。ひとつは「知恵の輪」がフィルギスにもたらす、具体的な(目に見える)効果です。もうひとつは、国内向けの「戒め」です。

7 : alien : June 23, 2009 03:55 PM

「結び目抑止力」とか「結び目防衛力」というのはいかがでしょうか?
内心に小国フィルギス奪取の野望を抱き我こそはと思っている諸侯を招き、「この結び目を解けばフィルギスどころか全オリエントも貴方様のものです」とその気にさせてパズルに挑戦させます。そして結び目に手も足もでなかった知恵者・勇者に暗に宣告するのです。「あなたは平凡な能力しかないダメ人間です。他国の侵略など果たせませんよ」 こうして、挫折感を味あわせて他国のやる気をくじき自国を防衛します!

ところで、余談ですが、ゴルディアスの結び目をインターネットで検索していましたら、興味深い一文を目にしました。「アレクサンダー大王は、しばらく結び目を解こうと努力しましたが、結び目を解くことは叶いませんでした」と。私には、結び目を一目して一刀両断するのと、一応、結び目を解こうとしてから(イライラして?)剣で断ち切るのでは、意味が全然違うように思えるのです。我々も美しいリボンで結ばれたプレゼントをもらった時は、リボンもきれいにほどいてとっておこうと思うことがありますが、あまり執拗に固結びにされていると、肝心のプレゼント見たさに美しいリボンをブッツリとハサミで切ってしまうことがあります。リボンよりもプレゼントの中身が目的だから迷いはありません。アレクサンダー大王も、結び目をいかに解くかより、神託されている「オリエント」が欲しかったのではないでしょうか? おリボンより、プレゼントの中身! そして、誰よりもその目的意識が現実的かつ強固で明確だったのではないでしょうか?
 そう思うとゴルディアスの結び目の教訓は「発想の転換」よりも「目的意識を明確に持つべし!」とも解釈できるような気がしてきました。
「固結びのリボンとプレゼントの中身の関係に似ている」と思うと、これまで伝説だったゴルディアスの結び目もアレクサンダー大王も急に身近かに思えてきました。
無知ゆえの暴論、ご容赦くださいませ。

8 : 湖の騎士 : June 23, 2009 05:58 PM

alien様 「結び目抑止力」「結び目防衛力」ともに鋭いご着眼です。私の想像の中に浮かんでこない着想でした。ありがとうございます。次に「発想の転換」よりも「目的意識を明確に持つべし」という解釈。これも新鮮で、「うーん、そうか!」という感じです。私の迷解釈(?)をお楽しみに!

9 : とりのぼ : June 23, 2009 11:08 PM

当たり前すぎて面白くはありませんが、

この問題を作成した時のゴルディウス王の年齢は判りませんが、予想される回答としては、1 後継者を捜していた。2 知恵者(スタッフ)を探していた。3 危険人物を捜していた。くらいが思いつきました。

困難な問題に対してその人間がどのように対応するのか?初めから逃げるのか?ただ、虚勢を張るためだけに挑戦するのか?知恵はありそうだけど勇気はないのか?逆に、勇気はあるけど知恵はないのか?
王様は、少し高い台座から俯瞰的に見下ろして挑戦者の対応を見ていたのではないでしょうか?
そしてアレクサンダーの対応を見た時に、自分にとって最も危険(有能)な男を見つけたのではないでしょうか?

今の日本の状況から言えば、
初めから逃げたのが、福田さん(かな?)
虚勢を張るためだけに挑戦したのは、小沢さん(失礼)
知恵はありそうだけど勇気がないのは、鳩山さん(もっと失礼)
勇気はありそうだけど知恵がないのは、麻生さん(もっともっと失礼)

ゴルディウス王の立場が今で言うならば、日本国民だとすれば、日本国民にとって最も危険(有能)な男は誰なのか?桝添さん、橋下さん等・・・いろいろ候補はありますが、個人的には、勇気と知恵はあったけど、体力がなかった安部さんにカムバックして欲しいのですが。
賛同は得られないだろうな?

無礼な発言をお許し下さい。

10 : 湖の騎士 : June 23, 2009 11:25 PM

とりのぼ様 当たり前すぎて面白くないどころか、非常に面白いご着眼です。こういうふうに王様の動機を分類し、しかも今の日本の政治家に当てはめて解釈するという考えは私にはありませんでした。三人寄れば文殊の知恵といいますが、こういう形で皆さんのお知恵を募って本当によかったと思います。ありがとうございました。