View of the World - Masuhiko Hirobuchi

August 07, 2009

クリントン・女性記者・金正日 -

クリントン元米大統領はほぼ誰にも気付かれずに平壌に現れ、金正日総書記と会談し、翌日には12年の禁固刑を言い渡されていた2人のアメリカ人女性記者を伴って平壌を離れ、あっという間に帰国しました。彼が乗った飛行機はアメリカの大富豪が提供したものとされ、オバマ大統領は「クリントン氏の訪朝は私的なものであり、米政府とは関係がない」と言っています。アメリカ政府当局は、クリントン氏の行動は人道的な見地からのものであり、金総書記との会談では核問題などは語られなかった、いっています。これをそのまま信じる人はまずいないでしょう。北朝鮮の国営テレビは大々的にクリントン氏の訪朝を伝え、金総書記との会談は数多くの分野に及んだと伝えました。はたしてこの勝負はどちらが勝ったのでしょうか? 客観的に見るかぎり金総書記の圧勝でしょう。クリントンは現職の大統領時代に元大統領のジミー・カーター氏を平壌に派遣し金日成総書記にいいように騙されました。北朝鮮はアメリカとの約束などを守る意図ははじめからなく、体制の維持と核兵器開発の時間稼ぎに成功しました。今回もアメリカのマスコミはおおむねクリントン氏に好意的のようですが、6日の「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」紙の中で、2人の女性記者(中国系と韓国系)を「愚かなジャーナリスト」と呼んでいるシンクタンクの研究員の言葉が目を引きました。軽率な行動をして北朝鮮当局に掴まり、元大統領まで動かし国家に屈辱を味わわせた愚か者ということです。この2人の行動の背後にもっと大きな謀略が働いていたのかどうか? これから出てくる情報に注目していきたいと思います。日本は酒井のり子に逮捕状が出たとかなんとかで大騒ぎし、今後の世界にとってきわめて大きな影響をもつクリントン訪朝について、考える人々が少なくなってしまいました。自由な推理を働かせて、なぜあの2人の記者は捕まるようなことをしたのか、クリントン訪朝の意味、米・朝双方の思惑、日本の今後などについてのご意見をいただければ幸いです。

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COMMENTS

1 : 悠々 : August 7, 2009 11:01 PM

8月5日付けの朝日新聞朝刊に金・クリントンが並んで立っている写真が掲載されました。金総書記はいつもの作業服姿、クリントン前大統領はネクタイを付けた背広姿です。
私はこの写真を見て、1945年9月27日昭和天皇がアメリカ大使館公邸を訪れた際のマッカーサー元帥と写した写真を連想してしまいました。昭和天皇はモーニングの正装で、マッカーサーはサージで出来た軍服姿です。勿論礼装の軍服ではありません。天皇がわざわざ正装で出向いていったのに元帥は平服で応対したのです。
60年後の北朝鮮での写真は片や作業着姿、片やスーツ姿でアメリカ人と東洋人の服装の対比が1945年とは逆転しているわけです。
この事だけでも今回の金・クリントン会談がいかにアメリカにとって屈辱的な訪問であったかを如実に物語っています。
日本人が敗戦の年に味わったのと同じ屈辱感をアメリカ人は味わった事になります。
先生のご設問の答えにはなっていませんが、それは又の機会に私の考えを書きたいと思っています。

2 : 湖の騎士 : August 7, 2009 11:18 PM


悠々様 マッカーサーと昭和天皇会談に連想が行くというのはすばらしいと思います。私の頭はそこまでは回りませんでした。しかも着ている衣服から、主役と脇役を言い当てるというところが鋭いと思います。金正日は国内的にもこれで一層権威ある存在となり国際的にも大きなPR効果を挙げました。問題はアメリカがこの会談を「屈辱」と感じているかどうかです。どうもその辺の感性が鈍いような気がします。

3 : 悠々 : August 7, 2009 11:24 PM

1,のコメントで言及した2葉の写真については私のブログに掲載しておきました。興味ある方はご覧下さい。

http://blog.goo.ne.jp/yuuyuutakemura

4 : 悠々 : August 7, 2009 11:30 PM

湖の騎士様
昭和天皇との写真を覚えていると言うことは私の年齢がそうさせるわけでお褒め頂くとかえって老醜をさらけ出すようでこそばゆいです。
アメリカ人は屈辱には感じないのでしょうか?
あれはクリントン元大統領の個人的スタンドプレイだよ、なんてワシントン筋が言っていますが誰も信じませんよね?

5 : 湖の騎士 : August 8, 2009 06:35 PM

悠々様 一晩寝てから考えたのですが、金正日総書記のあの服装は「正装ではないか」ということです。彼は誰に会うときもどこへ行く時もあのスタイルだと記憶しています。かつて中国共産党の要人は毛沢東を筆頭に全員が「人民服」を着ていました。身分上下の区別なくみんな「同志」だということを宣伝するためでした。金総書記の本当の意図はともかく「革命の初心を貫いて」いるつもりではないかと思います。実際は一着で何十万円もする高級生地を使っているらしいですが、このスタイルが彼のフォーマルウェアということになると、服装だけでクリントンを見下したとはいえなくなってきます。ただ実際のところ、彼の外向的勝利は明らかで、誰かの要請でのこのこと平壌までやってきたクリントンを見下していることは確かです。日本ではあまりなじみのない表現ですが、欧米では「叩頭(カウタウ=こうとう)」という中国語がよく使われます。頭を床にすりつけるという意味です。今回の訪朝について「叩頭外交だ」と書いているメディアもあるくらいです。

6 : 悠々 : August 8, 2009 11:58 PM

総書記の服装は意図的にラフなスタイルをしたわけではないとは思います。
ですが先生の仰る通り、優越感を持って会見に臨んだことは間違いありません。
二人の足の位置を見ればそのことが分かります。一人は足を開いてリラックスした感じだし、一人は足を揃えて緊張を漂わせています。「叩頭外交だ」と言うのは正しい見方ですね。