View of the World - Masuhiko Hirobuchi

November 16, 2009

「水戸黄門」の功と罪 -

朝日新聞の夕刊1面に「黄門はゆく」という連載記事が載っています。16日現在で5回目です。三戸支局の女性記者が書いています。たぶん来週には終わると思いますが、なかなか面白いです。今のところTBSテレビの看板番組である「水戸黄門」について、肯定的な記事ばかりとなっています。とくに5回目はブラジルに移民した日本人が、サンパウロのビデオショップにこの番組のVTRテープを借りにくるこlとを扱っています。移民の皆さんはこのVTRで、こもごも祖国日本を偲び、日本の山や川、草木、日本人の人情に涙を流さんばかりに感激しているそうで、「水戸黄門」が果たしている役割というのは、日本だけで見ていたのでは分からないものだと教えられました。しかし、この番組については、ネガティブな面もどこかで1回は触れてほしいというのが、私の希望です。それは1時間の枠の中に、典型的な悪人が出てきて、典型的な悪事をはたらき、毎度毎度白いあご髭を生やした「越後の縮緬問屋のご隠居」に逆らっては最後にこれが前(さき)の副将軍だと分かって平伏するというパターンが続くと、人々は完全に思考停止に陥ってしまうのではないかということです。世の中は正義が最後には勝つというようにはできていません。ましてや国際関係は、「エゴを押し通し」「ありもしないことをあったと言い張り」「自国の正しさを言い募る」国々のせめぎ合いです。あまりにもお人好しの、勧善懲悪ものばかり見ている日本人は、この番組のおかげでかなり「国際音痴」になっているのではないでしょうか? 最後にはスーパーヒーローが出てきて万事を解決してくれるという思考パターンの人ばかりがふえるのはちょっと心配です。黄門様にかぎらず「暴れん坊将軍」にしても「遠山の金さん」にしても、この点はみんな同じです。娯楽としての時代劇の貢献は認めるけれど、たまには「功」の面ばかりでなく、「罪」の面も意識してほしい気がします。「理屈っぽい」とか「考えすぎ」と言われることは分かっていますが、たまにはこういうことも頭に置いて番組を楽しんでいただきたいと思います。朝日の記者さんにそういう視点からの記事を1度でいいから書いてほしいと期待しているところです。

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COMMENTS

1 : 悠々 : November 16, 2009 11:32 PM

水戸黄門の素顔
水戸市の偕楽園は有名ですが、水戸市郊外にある水戸黄門の隠居所を訪れる人は少ないと思います。
天下のご意見番も老後の実態は小言の多い厄介者だったらしく、ご隠居の居た場所は隠居所という名の幽閉施設だったのです。
隠居所の出入り口は狭い谷の入り口で背後は山になっているから入り口さえ衛士が固めていれば脱走することは不可能なところです。建物も質素と言えば聞こえが良いですが、粗末な建築で偕楽園の優美さとはかけ離れています。
天下のご意見番とはいうものの、これは小説の絵空事で、実際は藩政にも口出しできないように閉じこめられていたのです。

勧善懲悪のドラマも息抜きにはなりますが、視聴者の思考まで変えられるものでしょうか?
私は西部劇でインディアンがいつも悪者になって懲らしめられるというパターンの方が気になります。
インディアンの土地を奪って僻地に追いつめた白人の方が侵略者なんですからね。

2 : 湖の騎士 : November 17, 2009 11:25 PM

悠々様 フィクションと現実はだいぶ違いますね。貴重な情報をありがとうございました。17日の朝日の夕刊には、黄門の本当の姿というものが載っています。「副将軍」という役職はなかったということが語られています。だいぶ現実に近いことを書いている感じです。さて西部劇に出てくる、白人がインディアン(最近の日本では「アメリカ先住民」という言い方をしていますが)をやっつける(本当は虐殺する)というパターンは、ここのところまったく見られなくなりました。大体西部劇そのものが、激減しています。これも「人種差別反対」の動きが大きな力を得てきた証拠でしょう。アメリカは変わりつつあるのだなという気がします。