View of the World - Masuhiko Hirobuchi

January 21, 2010

アジア産の鯉ミシガン湖に出現! -

21日現在のアメリカでの最大の話題・関心は、なんといってもマサチュセッツ州の上院議員選挙で共和党候補が民主党候補を破ったことです。このことは今後のアメリカおよびオバマ政権にとって、きわめて大きな意味を持っていますが、今回はこのことと関係のない話題をひとつご紹介します。ニューヨークタイムズの国際版が伝えたもので、「アジアの鯉(or 鮒)アメリカに浸透か?」というものです。長い間、いつかはやってくるのではないかと懸念されていた、アジアの鯉がついに五大湖のひとつミシガン湖で発見されたというものです。繁殖力が強く、他の魚を食い荒らしかねず、自然環境にも大きな害を与えるとして、アメリカ政府はこの魚が入ってくるのを徹底的に排除してきたのですが、巧妙に張り巡らされた警戒網をかいくぐってついにミシガン湖にまで到達したことが分かったというのです。英語では「カープ」と表記しています。カープはコイもフナも意味します。アメリカではこの両者を区別していません。たぶん同じように見えるからでしょうが、ミシガンという巨大湖に現れたとなると、ここはやはり「鯉」のイメージでしょう。
日本の旧来の生態系の魚を食い荒らし、自然環境に甚大な被害を与えているのが、アメリカ産のブラックバスです。これを検疫官の目をかいくぐって持ち込み、沼や湖に放つ不心得者が、日本にはたくさんいます。そんなことをしてどんな得があるのか知りませんが、一度破壊された自然はけっして元には戻りません。しかし日本の自然が、アメリカ産の魚によって破壊されても、アメリカ人はその傷みを感じません。遠い日本にいる不心得者の仕業であり、自分の日常とは関わりがないと思っています。ところが自分たちがこよなく愛し、大事にしている五大湖に、恐るべき侵略者が現れたとなると話は違います。これでアメリカ人は、アメリカ産の魚や、アメリカ産の悪いマナーに浸食されて困り果てている他国民の苦痛を少しは思い知るようになるでしょうか? 私はそうはならないと思いますが、誰がなんのために、アジアの鯉をミシガンくんだりまで運んで行ったのか、ということに興味があります。鯉を運んだのは、個人なのかグループなのか。秘密結社のようなものなのか。アメリカの価値観や宗教観の浸透に反発を覚えるどこかの国のグループが、アメリカ人に反省を強いるために計画したことなのか? アジアの鯉の美味さを知ったアメリカ青年が、故郷でもこれを食べたいと思い、長期的な計画で運び込んだのか? 想像はいくらでも広がっていきます。ミシガン湖の鯉の背景にはなにがあるのか? 陰謀か愉快犯か? 神の配慮なのか? 誰も思いつかないような、奇想天外な見方を、お書き込みいただけたらと思います。お騒がせして申し訳ありませんがーー。

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COMMENTS

1 : niraikanai : January 21, 2010 08:37 PM

ご無沙汰しております。

この数週間、日本では政治とお金の問題やJALの経営破たん
など気持ちが重くなるニュースばかりでした。
その日々に、先生のコラムを拝見することで気持ちのスイッチを入れ替えることができ感謝しています。

さて、鯉(鮒)がミシガン湖で発見されたとのこと。生態系の
破壊は起きてはならないのに・・・
なぜ日本からアメリカへ鯉が渡ってしまったのか。なかなか難しい問いですね。

テレビで、最近の欧米では錦鯉がとても人気を博していると見たことがあります。あの美しい色がホテルなどでも、重要なインテリアのひとつのように扱われているとか。
アメリカにも錦鯉は輸出されているようです。その輸出に混ざって(故意に?)しまったとしか私には考えられません。
しかし、何の利点があるのかは全く思いつかないのですが。

2 : ねこ屋亭主 : January 21, 2010 09:51 PM

ある奇怪な事件が起こると、犯人は、あの推理小説を真似たのではないかとか、あのテレビ番組をヒントにしたのでは、などと推理します。

この映画をご覧になりましたか?
「ダーウィンの悪夢」(原題・Darwin's Nightmare)
ビクトリア湖(東アフリカ)に持ち込まれた巨大魚“ナイルパーチ”がタンザニアの一大産業になるドキュメンタリーです。
巨大魚といっても、並の巨大さではありません。人間の2倍くらいの大きさがあります。生態系を破壊することは容易に想像できます。
味がいいことから、ヨーロッパや日本に輸出され外貨を稼ぎます。
湖畔には工場が建ち並び、膨大な雇用を生み出します。
湖畔には売春婦が集まり、HIVの流行が始まります。
切り身を外国に運んだ飛行機は密輸武器を積んで帰ってきます。
ナイルパーチという魚が湖の破壊だけでなく、人間社会をも破壊していくというストーリーです。
数々の賞に輝いた映画ですが、タンザニア政府は事実に反すると抗議を続けました。
まだ、ご覧になっていない方は、是非見て下さい。
日本では「白スズキ」という名前で売られました。(2003年JAS法で名前が使えなくなります)
「白身魚」というしてスーパーに現れたことがありますが、「そんな名前の魚はいない」という声に、その名前は姿を消しました。
これを食べたことのある人は、間接的にビクトリア湖の環境破壊とタンザニア社会の荒廃に関わったことになりますかね。

ミシガン湖に鯉を持ち込んだ犯人は、この映画を見たかも知れない、と思いました。


3 : 湖の騎士 : January 22, 2010 10:06 AM

niraikanai様 このブログをご覧になって気分を切り替えておられるとうかがい、本当に嬉しいです。さて、このミシガン湖の鯉ですが、日本から行ったかどうかは分かりません。非常に主観的な解釈ですが、日本の鯉は本来のたくましさ、荒々しさを失い、あまりにもおとなしく、やさしくなりすぎて、とてもアメリカの湖では繁殖できないのではないかと思います。これは大相撲の世界で、上位力士に日本人がほとんどいないことから来る連想で、魚とは関係ありませんが、どうもそんな気がします。ではどこからアメリカに渡ったのか? 中国、ベトナム、タイ、モンゴル、韓国などのバイタリティあふれる国々からでしょうか? そんなことに正解があるとも思えませんが、出身地(?)についての私の解釈はこんなところです。あの優雅な錦鯉たちに混じって渡米した鯉たちの一派が、あるときホテルの池から川に飛び出し、はるかなる旅路の果てに、ミシガン湖まで行った可能性ももちろんありますね。想像力というのは、おたがいに刺激し合うことで、いくらでも膨らんでいきます。

4 : 湖の騎士 : January 22, 2010 10:22 AM

ねこ屋亭主様 「ダーウィンの悪夢」はまだ見ていません。この筋書きをうかがっただけでワクワクしてきます。ぜひ見たいです。ビクトリア湖に放たれた「ナイルバーチ」が一大輸出商品になり、雇用を生み出し、外貨を稼ぎ、売春まで盛んになり、自然環境を破壊してゆくというストーリーを考え出した製作者・原作者の頭の回転に感心します。こういう映画をいち早く観て、思いもつかなかったコメントをくださったねこ屋亭主様の情報感覚もすばらしい! ナイルバーチという巨大魚と世界最大の湖(たしかそのはず)がくっついて、スケールの大きな映画になっている様を想像しています。ミシガンの鯉の犯人が、この映画を観た可能性は高いと思います。ありがとうございました。

5 : Sako : January 22, 2010 10:38 AM

シカゴのアジア系向け食材として、持ち込んだのではないでしょうか?

昨年の原油高騰から輸入価格があがり、ならば育てるかとなった、と考えました。

6 : 湖の騎士 : January 22, 2010 12:35 PM

Sako様 思わず唸り膝を打つご意見です。経済という側面からの推理でじつに面白いですね。これでまた連想の幅が広がります。

7 : 悠々 : January 22, 2010 07:03 PM

ミジンコなら自然に湧いてきます。ミジンコといえども水から生まれるわけはないから卵が風で飛ばされてきたか、鳥の足について来たかでしょうね?
鯉の卵となると日本から北米まで風でも鳥の足でも運べないでしょうから、人為的に持ち込まれたのかも知れませんが、私は niraikanai 様の意見に賛成です。
錦鯉は鯉から突然変異などを経て 人為的に作り出されたものですから、それが逃げ出して祖先帰りし、本来の姿に戻って子孫を増やしたのではないでしょうか?
鯉はブラックバスと違い草食ですからさほど生態系には影響を及ばさないのではないでしょうか?
邪魔な生き物を退治するには人間が食べるのが一番です。
エスカルゴだって害虫退治に食べ出したのだそうですからね。
コイコク・鯉の洗い・鯉の丸揚げ等々、アメリカ人にレシピを教えてどんどん食べて貰いましょう。

8 : 湖の騎士 : January 22, 2010 10:17 PM

悠々様 NYタイムズの「Invading ?」という見出しにつられて、鯉を肉食系と早とちりしたようで、お恥ずかしい次第です。責任を痛感しています。niraikanaiさんの解釈にご賛同ということですが、このニュースはまだしばらくアメリカではいろいろな論議を呼ぶだろうと思います。お二人の解釈のような調査結果(ミシガン湖への侵入経路についての)が出るかも知れませんね。