View of the World - Masuhiko Hirobuchi

January 28, 2010

800人の「民意」 -

沖縄名護市の市長選挙で、辺野古の米軍基地化反対の稲嶺進氏が当選しました。鳩山首相は選挙後ただちに「民意は重く受け止めなければならない」と言いました。住民の意思を尊重するというのは、一見いかにも民主主義をたいせつにする民主的政治家のように見えます。しかし稲嶺氏と敗れた島袋吉和氏の得票数を冷静に調べてみる必要があります。内訳は稲嶺氏17950票、島袋氏16362票。差はわずか1588票です。これをもって、名護市民の「民意」が稲嶺氏に傾いたーーといえるのでしょうか。もし仮にこの半分の約800票が島袋氏に流れていたら、島袋氏が僅差で当選していたのです。1億2000万人の日本人の運命が、800人の意思によって決められようとしているのです。稲嶺氏に投票した人々は、鳩山首相が、「辺野古以外にも選択肢はありうる」「日米合意を白紙に戻すことも可能だ」という幻想を振りまいたために、稲嶺支持に回った可能性が高いのです。もし鳩山氏がぶれずに、選挙の前に「名護市の皆さんの意思とは違う決定を国として下さなければならぬこともありうる。皆さんの苦衷は察するが、苦しみは国民全体として乗り越えて行こう。国としても、皆さんが受けるかも知れない苦痛の代償として、十分な対策を講じる。他県の県民も皆さんに感謝し、皆さんを励ますためにも観光などにたくさん訪れるようになるだろう。日米安保は、日本の安全のみならず、東アジア全体の安全のためにも必要不可欠なのだ。我々としては、辺野古以外の候補地も探るが、その努力の果てにご当地と決した場合には、ぜひともよろしくお願いしたい」ーーくらいのことを言っていたら、島袋氏は800票どころの差ではなく、大差で当選していたでしょう。今回の選挙をあえて「800人の民主主義」「800人の民意」と呼びたいと思います。かつて美濃部亮吉という東京都知事が、「1人でも反対すれば、橋は架けない」と宣言し、ために東京は実に長い間行政は停滞し、交通渋滞、非能率、大気汚染に見舞われ続けたことを思い出します。この美濃部発言は、今では「愚かなる民主主義ごっこだった」という評価が下っていますが、ご本人はすっかり舞い上がり、一部の支持者はこの決断を褒め称えたものです。鳩山さんも、少しはこの歴史的愚行から学んでほしい。事はすべての日本人の安全と運命に関わる重大問題であり、同時に東アジア全体の安定が保てるか否かの問題なのです。

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COMMENTS

1 : alien : January 30, 2010 12:28 PM

何かが、ものすごく、非常におかしい…と感じています。公約詐欺を常套とする政権下では、もはや民主主義は機能していないと思います。名護市長選挙で行われたのも民主主義ではなく、ただの「詐欺」だったと思います。鳩山首相が、名護市長選挙の結果が出てから基地移転問題を考えたいと言い通したのも沖縄県民に日米協定白紙の幻想を与えたのも確信犯だと私は思います。800名の民意を受けてノラクラしているうちに首相の目論見どおり基地の県外移設となるのではないでしょうか。国破れて山河あり、国滅んでニセ民主主義あり。

少し前から私は鳩山首相が無能だとか優柔不断だとは考えないことにしました。きっと鳩山氏は、国の安全と繁栄、生活の向上を願う国民とは全く違う独自の目標・ゴールに向かって非常にクレバーに確固とした意志をもって邁進しているのだと考えることにしました。鳩山首相はおとぼけのふりをしてノラクラと巧言令色を垂れ流しますが、テレビの音を消して画面を眺めるように首相の言葉を消して行為・行動だけを眺めると、着実に日本の防衛力を弱体化する方向に動いている気がします。日米同盟を手ひどく棄損し、インド洋からも撤退しました。今回の名護市長選挙の結果を受けて、これで野辺古移転への選択肢は消えたという論調がメディアでも出始め沖縄県外の代替地の名前が挙がり始めています。このまま米兵力を県外に移転させれば台湾海峡のシーレーンや沖縄の防衛力は弱まります。首相の思うつぼと私は考えます。今、おもしろい問いが頭に浮かびました。「次は何を狙ってくるのだろう?」私が首相の参謀なら、首相が南京を訪問し南京大虐殺を陳謝する(日本人へのこの上ない精神的攻撃)、それから中国人民解放軍海軍と日本の海自の合同演習(日台の感情的離反もできて一石二鳥)、というのはどうでしょう?もちろん、外国人参政権と地方分権をパッケージでゴリ押しも。そう、首相を「敵」とみなした方が行動が読みやすいという悲しい現実が....

2 : 湖の騎士 : January 30, 2010 01:53 PM

alien様 ご指摘のとおり鳩山氏の行動を見てゆくと話が通りやすいです。「確実に日本が滅ぶ道」を選んでいる感じです。このことは、すでに一部の論客からも指摘されています。ここが小沢氏と平仄が合うところです。小沢氏は天皇の南京訪問を中国に対しほぼ約束したという記事が月刊誌「テーミス」に出ています。十分にありうることです。名護市の市長選を口実に米軍基地の県外移設をアメリカの呑ませるという彼の考えは、アメリカには通じないと思います。こんな初歩的な詐術は、簡単に見破られるでしょう。小沢氏は、もうひとつ大きなスキャンダルの種を抱えていて、これが表面化すれば「政治生命は終わり」との観測もあります。日本を外国に売り渡す法案が通る前に、このスキャンダルが表に出る可能性は十分にあります。
ところで29日の首相の施政方針演説は、「中高校生並の作文政治」でした。陳腐で凡庸のきわみでした。

3 : alien : January 31, 2010 12:24 AM

湖の騎士様
て、てっ、天皇陛下の南京ご訪問の可能性?!
テーミス、テーミス…と走ってご紹介の雑誌「THEMIS」を読みに行きました。つまり立ち読み…。28ページから31ページの記事「天皇陛下南京訪問だけではない 中国軍 尖閣諸島→沖縄攻略へ動きだす」を読んだ私の反応は、涙目。「どーすんの、これ? 日本の政治家は、どーすんの、これ??」と呆然となりました。それで、他の人達にも読んでもらわなければいけないから、国防のために「THEMIS」を購入いたしましたッ。なんとかしてくれそうな強い日本の政治家の顔が思い浮かばないので、帰りの電車では「はぁーっ」とつい何度も溜め息が。考えてみますと、沖縄の人は先の大戦で大変な目に遭ったので「今度は我々を一番手厚く守って欲しい」と思ってもよさそうなところを、どうして「基地はいらない=無防備でいい」という考えになったのか。今まで私も「もう軍備はこりごりなんだろうな。飛行機はうるさいし。」と心情を理解していたつもりでしたが、沖縄の人々もTHEMISのこの記事を読むと考えが変わるかもしれませんね。
小沢さんの別の大スキャンダルとは何でしょうか? 一日も早い発覚が待たれますね。

4 : とりのぼ : January 31, 2010 08:43 AM

「いのちを守政治」を聞いて、一生懸命努力してがんばった中高生の弁論大会のようだなと感じました。歴史に残る弁論を意識したのでしょうが、上滑りの感が否めないです。理想を語ること、国民に夢を与えることも大切ですがもう少し地に足を付けた政治を心がけたらどうでしょうか?自民党が良かったとは言い難いですが、国家の命運を預けるには、少女っぽいこの方には不安を感じます。血筋が良く、優秀で正直な方でしょうが、凄みが感じられません。清廉潔白、清潔、誠実な政治家を国民が望んでいるのでしょうが、個人的には少々疑惑があっても諸外国に舐められない、ぐいぐい国民をひっぱていくタイプの方が良いですね。八方美人の「友愛君」よりも融通の効かない「頑固親爺」のほうが好きです。

5 : 湖の騎士 : January 31, 2010 11:28 AM

alien様 「Themis」を早速お読みになり、しかも購入までされた行動力に心から敬意を表します。沖縄の人々は、「地元の新聞」に大きく影響されています。沖縄タイムズと琉球日報です。これらの新聞(とくにタイムズ)が反日的であり、極端に反米的であることは、マスコミ内部の事情通(つまり玄人筋)にはよく知られていますが、一般人や政治家はあまり知りません。タイムズなどは、日本に依存するよりむしろ中国に支配されたほうがよいとまで思っている社員が多いようです。「世界」というものがまったく見えていず、社会主義の実態がどういうものかについて無知です。民主党の首脳部は、左翼労働組合の出身者が多いですから、「社会主義=善、資本主義=悪」と思い込んでいます。その果てにあるのは「中国=善、アメリカ=悪、日本のエスタブリッシュメント=悪、戦前戦中の日本=すべて悪」という思想です。チベットの人々の苦しみも、新疆ウイグル自治区での血の弾圧も、いっさい頭に入っていないのです。これらの思考能力なき人々の上に君臨するのが、理念も教養もない小沢一郎という守銭奴兼権力亡者です。彼はいっさいの異論を許さず、独裁権をふるって日本を非常に危険な方向に持ってゆこうとしています。「Themis」の記事が一人でも多くの方に読まれるように、努力なさってください。

6 : 湖の騎士 : January 31, 2010 11:43 AM

とりのぼ様 同感です。鳩山首相の悲喜劇は、このスピーチが「下らないもの」「愚作・凡策だ」ということに気付いていないことです。ケネディの就任演説を気取っているのかも知れませんが、およそ世界に通用するものではありません。インド独立の父マホトマ・ガンジーの言葉を引用して「七つの大罪」を語りましたが、その中の一つ「労働なき富」が、失笑を買っています。額に汗することもなく頭をまったく使いもせず、母親から10億という金をもらった本人が「労働なき富はいけない」とはよく言ってくれるではないかーーというのが、常識ある国民の思いでしょう。こういう大矛盾を口にしながら、「ああ、しまった!」とも思わないとすれば、この人の頭の悪さは並大抵のものではありません。凄みとか重みを彼に望むことは無理です。せめて、巷のお父さん方並みの「頭脳」であってほしいというのが、私のはかない望みです。しかしそれも無理でしょう。退陣するしかありません。

7 : mayu : January 31, 2010 11:53 PM

あくまでインターネット上で拾った物で湖の騎士様のお話と一致するかどうか分かりませんが、小沢氏のもう一つの大スキャンダルについて、『小沢レバー』で検索してみてください。これが真実なら、小沢氏は”大”どころか”超弩級”の弱みをC○Aに握られていることになります。
石原都知事も言及していましたが、「レバー引いちゃうぞ」と仄めかされた小沢氏は米国からの法外な要求を呑んだため、日本の財政に甚大なダメージをもたらし、それが今日の財政赤字の原因になったという事です。

8 : mayu : February 1, 2010 12:59 AM

先日、大学時代のサークル仲間と旧交を温める機会があり、友人の様々な現状認識に内心一喜一憂してきました。
上野の森美術館で先日まで開催されていた「チベットの至宝展」に行った友人に、会場前でチベットの国旗を体の前後に掲げた若い女性数人が穏やかに話しかけてきたそうです。
「この展覧会に展示されているのは、チベットで大切に受け継がれてきた宝を、中国政府が力ずくでもぎ取ってきたものです。展覧会の収益金の一部は中国共産党がチベットを益々強権支配するための武器弾薬の基になります。チベットの人達の逆境を慮って下さるなら、どうか展覧会の入場は止めていただけないでしょうか」
以前からチベット展を楽しみにしていた友人夫婦は勿論展覧会を見ずに帰りました。
別の東京都某区役所に勤務する友人は旅が好きで、最近はソウルの活気溢れる雰囲気が気に入り韓国に屡々出かけます。彼曰く、「彼の地の古墳の内部は高松塚古墳と同じ壁画がある」
「天皇のルーツは韓国にあり」・・・咄嗟に返す言葉が見つからず、隣通しでも国によって歴史認識が180度違ってしまうと言うのが精一杯でした。
実はこの日、外国人参政権の危険性や人権擁護法案・沖縄ビジョン・夫婦別姓等民主党の隠された体質を知らせる告知ビラを恐る恐る配ったのですが、「ああ、これね」と同意してくれたり全くの初耳だったり、、、ほんの微々たる事しかできませんが継続は力なりで行こうと思います。
連投申し訳ありませんでした。

9 : 湖の騎士 : February 1, 2010 11:38 AM

mayu様 貴重なコメントをありがとうございます。まず「小沢レバー」ですが、私が聞いているスキャンダルとはまったく違います。私の方はほとんど完全に国内マターです。NY私立大学のツルミ・ヨシヒロ(この漢字が読み出せないので失礼します)教授の言うことは、だいぶ誇張があり、個人攻撃もするので日本のテレビ局では最近ほとんど起用されなくなっているそうです。これはご本人が、数年前に外国人記者クラブの会見で語ったことです。それ以前から私は氏の著作を読んで同じことを感じていましたが、会見後はさらに割り引いて彼の説を読むことにしています。しかし、論とか説というのは、たとえ99パーセントが誤りでも1パーセントが真実ということもありうるのです。その真実を大切にしないと、国は危うくなります。私はこの本に書かれていることの40パーセントくらいは当たっていると思います。さてチベット展での若いチベット女性たちの活動は感動的です。展覧会を見ずに帰ったご友人も立派です。お隣の方の日韓の共通性についての認識は、かなり多くの日本人が「真実だ」と感じているものでしょう。小沢一郎氏は、これとほぼ同じことを、昨年の韓国での講演で語りました。とくに日本人は北方騎馬民族の末裔だと言ったそうです。しかしそれは戦後の一時期に流行った「大衆受けのする歴史観」で、今では専門家はまず信じていないものだと言われます。ご隣人の歴史認識を変えたり外国人参政権で人々を啓蒙するというのは容易なことではありませんが、おっしゃるとおり「継続は力なり」です。これを信じていきましょう。

10 : mayu : February 1, 2010 03:36 PM

湖の騎士様
小沢氏の件でのご指摘有難うございました。日々、小鳩政権の
話題に接する度この国を引き返せない程真っ暗な方向へ舵取りしているようで、心寒くなってしまいます。こんな時こそ焦らず冷静に判断し、行動しなくてはならないのに自分の未熟さに恥じ入っております。これからも様々な事をこちらで学んでいければと思っております。

11 : 湖の騎士 : February 1, 2010 04:35 PM

mayu様 小沢一郎氏と鳩山由紀夫首相のことでのご心配は、多くの人が共通に抱いているものだと思います。ただテレビで見ていると「子供手当て」がもらえるので、若い母親などの間には「民主党支持層」もかなりいるようです。この人たちは、「日本の防衛」といったことに頭を回している余裕がないように見えます。日本が国として危険にさらされているという認識を持っている人は少ないでしょう。明日も今日と同じように日が昇り、同じような生活が続くと思っています。総理大臣自身がそう思っている可能性は高いです。しかし清帝国もインカも危機への認識がなかったために滅んだのです。迫り来る列強の侵略を的確に見抜いた幕末の青年たちが、いかに優秀だったかをあらためて思います。