View of the World - Masuhiko Hirobuchi

February 25, 2010

トヨタは本当に悪いのか? -

トヨタ自動車がアメリカの議会とマスコミ、それに消費者の一部から猛烈なバッシングを受けています。日本のマスコミは、割合冷静に報道しているようです。しかしいまひとつ「真相」を伝えていない気がしませんか? 去年の初めごろまでは、「アメリカのビッグ3(GM,フォード、クライスラー)が経営破綻したのは、低燃費車の開発がおくれ、マーケットの需要が読めず、経営努力を怠ったからだ。そこへ行くとトヨタを筆頭に日本車はたえず技術革新を心がけ、環境にも配慮した優秀な車を作り、消費者の支持を得てきた」と、トヨタを称える報道がアメリカのマスコミにあふれていました。それが一転して、まぜ「悪者」になったのか? 軽率なことは言いたくありませんし、私も現地で掘り下げた取材をしたわけではありません。ただ今日の事態を的確に予測していた人のことをご紹介したいと思います。高山正之さんです。「週刊新潮」に「変見自在」というコラムを9年余にわたって書き続けている方ですが、「民主党政権になれば共和党政権下でいっさい起こらなかった対日本企業への訴訟を含む攻撃が始まる」とほぼ断定的に書いています。北米三菱自動車が、女子従業員へのセクハラで訴えられた時も、実はこの従業員は三菱を貶める陰謀のために送り込まれた者だったとも書いています。日本人の特派員たちは、自分で取材せず、三菱の言い分も聞かず、アメリカのメディアの報道を受け売りにした、と高山氏は言います。運輸長官の高飛車ともいえる警告、議会の有力者の厳しい発言、涙ながらにトヨタの対応を批判する証言をした女性ーー世論を動かす大きな影響力をもつ役者が揃っていました。「できすぎ」の感じもします。なぜ去年まで模範的な優良企業とされたトヨタが、一転して悪役に転じたのか? だれでもが疑問に思うところでしょう。この運命の急転の陰には何があったのか。アメリカのメディアの受け売りではなく、徹底した調査報道を行ってほしいものです。とくに潤沢な予算を持つNHKは、半年かけても、1年かけても「これが真相だ!」という、客観的で公正で、世界の人々が納得するような、世界中から信頼され尊敬されるような番組を作ってほしい。それが公共放送の義務だと思います。私たちも、日本のメディアの報道を鵜呑みにせず、「報道の裏にある真実」を考える習慣を身につけたいものです。

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COMMENTS

1 : Sako : February 25, 2010 01:41 PM

アメリカの南部は職が少なく、共和党がトヨタの工場を誘致して、多くの職を生み出しました。一方の北部は、デトロイトを代表として、ビック3のお膝元です。

南部は共和党の牙城です。ブッシュ氏が政権にある時は、トヨタを叩くと中部や南部の労働者に影響が及ぶので抑えられていたのだと思います。

しかし現在、議会と大統領双方が民主党となり、トヨタを叩き易い状況が背景になっている事が原因だと思います。

トヨタは客に対する対応が悪かったですし、きちんと民主党に対してロビー活動をしていなかったのではないでしょうか?

高山正之氏の著作は、私は好きです。

2 : 湖の騎士 : February 25, 2010 03:08 PM

Sako様 鋭く的確なコメントをありがとうございます。こうした基本的知識をお持ちの上で現状を見るのと、ただメディアの伝えることだけで事態を判断するのでは、まったく違ってきます。貴方のような方々が健全な世論を形成してゆけば、日本の未来は明るいと思います。高山正之氏の著作も読んでおられるというのは、心強いかぎりです。

3 : 悠々 : February 26, 2010 02:48 PM

アメリカのマスコミがトヨタ・バッシングを始めたのは確かですね。これはトヨタ車に実際に欠陥があったことは事実だと思います。日本の政権が変わったからバッシングが始まったかどうかは私には分かりませんが、トヨタの対応の悪さが事を大きくしたと思います。
「ユーザーの感覚の問題」とか「当方のテストでは欠陥は発生していない」とかです。
機械物は同じように作っていても中には不出来な物も出来ると言うことを自覚すべきです。
私のプリウスも雪道の上り坂を登ることが出来ません。坂にかかるとプリウスのコンピュータが過剰反応していくらアクセルを踏んでもエンジンが吹き上がらず動力をシャットしてしまうのです。トヨタのディーラーにクレームしてもタイヤが減って居るんでしょう、或いは運転操作が悪いのでは?と言う反応です。私は長年スキーに車で行っているし雪道のドライブには習熟しています。北海道でも同じ型のプリウスは走って居ますから坂があがれないのは私の車特有の欠陥です。
ユーザーのクレームにはたとえ一件であっても真摯に対応するのがメーカーの責務だと思います。

4 : 湖の騎士 : February 26, 2010 06:32 PM

悠々様 ご自身がプリウスに乗った上での体験談を前に貴ブログで拝見していたので、私もより慎重になりました。トヨタの対応のまずさと危機管理の拙劣さは認めます。しかし、そうした「事実」以上の「力学」と「欲望」「意志」が、今回の公聴会には潜んでいると見ます。豊田社長が何回も謝罪をしたことは、まずかったです。アメリカの弁護士は「この謝罪は金になる」と素早く計算しています。文化の差といえばそれまでですが、今後起きてくる訴訟にトヨタは耐えられるのか。日本経済を引っ張る巨象トヨタには、ここで毅然と踏みこたえてほしいものです。

5 : niraikanai : February 27, 2010 11:31 PM

今回のトヨタ車の欠陥⇒専務の「ユーザーの感覚の問題だ」という適切とは思えない発言未⇒アメリカ議会からの反発、私も初めはトヨタ側が悪いのではないかと感じていました。
欠陥があったという事実と、そのことを受け止めて改善しようとしない姿勢に落胆したのです。

このコラムを拝読して、背景には政治的に大きな力が働いているのだとわかり、また自分の勉強不足を反省しています。

トヨタの謝罪ニュースを、偶然旅先の瀋陽で見ました。abcニュースなどは豊田氏が頭を下げる場面を多く流していた印象があります。ただ、中国の報道(cctv)は比較的あっさりとしていました。自国に影響のないことだからでしょうか。
今後の報道に注目したいですし、週刊新潮の高山氏の記事も読んでみようと思います。

6 : 湖の騎士 : February 28, 2010 11:52 AM

niraikanai様 今回のトヨタ攻撃は 「真実」と「日本車を貶めようとする政治的意志」とがまじり合っていると見るのが妥当でしょう。トヨタ側の発言は、拙劣だったと思っている人が多いですが、国際社会で生き延びてゆくためには、「どういう発言が適切かあるいは不適切か」についての、幅広い国際教養と「喧嘩の仕方」を身につける必要性を痛感させました。問題はトヨタだけではありません。総理大臣や外務大臣の発言は日本人全体の運命にかかわってきます。当事者ははたして上記のような教養やノウハウを持っているのでしょうか? その前に、自分の言葉が日本人全体の安全と幸不幸に重大な影響を持っているのだという自覚が、当人たちにあるのでしょうか? 答えはきわめて悲観的です。