View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 09, 2010

なにか楽しいことないか? 英国発の「良識が勝利」期待 -

ギリシャ発の株安、暴動に近いタイのデモ、メキシコの原油流出、そして日本のいつ果てるとも知れない政治的混迷ーー皆さんつくづくいやになってきて、「もうニュースなど見たくもない」という気分になっておられることと思います。こういう時は「なにかスカーッとしたことがないのか?」という気にだれでもなるものです。
さて、今週は「世の中まんざら捨てたものでもない」「まだ『良識』は生きていたのか!」と思えるニュースに出会える可能性があります。それはイギリスに新しく生まれる政権です。ご存知のとおり、与党の労働党は総選挙の結果、第二党になり、保守党が久々に第一党になりました。しかし総議席の過半数には達せず、第三党の自由民主党と連立を組まないかぎり政権は取れません。日本のメディアは「こういう時は与党(労働党)が主導権を握って次の政権の枠組みを探るのが慣習となっている」と伝えてきましたが、これはちょっと違います。与党でありながら過半数をに達しなかったことは、明らかに国民から「不信任された」ことを意味します。こういう場合は「憲政の常道に従って」野党に政権を譲るのが、イギリス的な民主主義のあり方です。イギリスには文章化された「憲法」はありませんから、故事来歴や様々な慣習法に通じた専門家が時に応じてテレビなどで憲法解釈を行います。こういう場合にきまって出てくる言葉は「憲法上は(コンスティテューショナリー)」という言葉です。その大元になっているのが、「常識」であり「国民の良識」です。政権交代にしても「フェアプレーの精神にのっとって」おこなうのが常です。理屈の上では労働党が自由民主党と手を組めば政権は維持できるでしょう。しかし、「それはフェアではない」「それは憲政の常道に反する」と大多数の国民は思うでしょう。そこで「常識」が働いて、保守党を核とした自由民主党との連立政権が生まれる可能性が高いーーというのが私の見方です。
法律に書いてあることよりも、もっと大事なのは国民の良識であり、フェアプレーの精神だと思う政治家と選挙民がいる国が、まだこの世界にあるのだと思えば、なにか希望が湧いてきませんか? この予測が外れないことを切に願っています。

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COMMENTS

1 : 悠々 : May 10, 2010 08:37 AM

今回の英国選挙について、先生の1ご子意見を拝見して私の考えていたことと同じだったのでずごく嬉しいです。
私も新聞で「こういう時は与党(労働党)が主導権を握って次の政権の枠組みを探るのが慣習となっている」と言うのを見て、これはおかしいのではないか?と思いました。私の考える英国の行き方とは違っていると思ったからです。
何故日本のメディアがこうゆう報道をしたのか疑問に思いました。英国大使館筋か或いは現政権寄りのものが意図的流した情報を鵜呑みにしてそのまま報道してしまったのか?
先生のご説を拝見して我が意を得たりの気持ちです。
保守党と自由民主党との政策はかなりの異なる点がありますからすんなり連立政権が誕生するとは思えませんが英国の英知を発揮して妥協点を見いだし、先生の予測通りになるであろうと我も考えています。

2 : 湖の騎士 : May 10, 2010 11:44 AM

悠々様 日本のメディアの伝え方について疑問をお持ちだったという貴重なコメントを、ありがとうございます。かつてエドワード・ヒース首相率いる保守党が、選挙で第一党にはとどまったものの過半数が取れなかったことがあります。連立を組む気になれば、政権は維持できたのですが、「憲政の常道に従って」第二党の労働党に政権を譲りました。ヒースは黙ってバッキンガム宮殿に赴きました。この時点で「憲法的には保守党は政権を譲り渡した」のです。まもなくエリザベス女王から、労働党のウィルソン党首に「組閣の大命が降下」しました。この時のヒースの態度は立派でした。今回の選挙で報道している人々は、この選挙の事などは知らないと見えます。おそらく日本の「通信社」のだれかが「こういう場合は与党主導で政権の枠組みが決まる」という記事を配信したのだと思います。こういう報道がなされると、「民主主義の本場イギリスでは、与党が第二党になっても政権を維持できるのだ」と思う政治家がふえて、次回の総選挙の時に仮に民主党が第二党になっても、「我々は政権を維持していいのだ。イギリスの例があるじゃないか」という言い訳に使われそうです。悪質ともいえる報道です。