View of the World - Masuhiko Hirobuchi

July 09, 2010

サミットの意味も分からぬ菅首相 -

先般カナダで開かれた先進8か国首脳会議(G8サミット)の夕食会の席上で、菅直人首相がいきなり「中国をG8に呼ぶことを考えてもいいのではないか」と提案し、どの首脳からも無視されました。このニュースは、日本ではそれほど大きく取り上げられなかったようです。少なくとも「政治的・外交的には致命的なミス」としては報道されませんでした。一つには折からのサッカーW杯の条規を逸した報道のために、菅首相は救われたのです。もうひとつの理由は、この発言が「致命的なミス」だということを、理解するメディア人間が少なかったからだと思います。しかし、菅首相のこの発言は、日本の国益を大きく損なうという意味では、鳩山由紀夫前首相の普天間迷走などよりも、はるかに深刻なものでした。参集した7か国の首脳は「この男は結局なにも分かっていない」と断定し、「共に語るに値しない」と見られてしまったことは間違いありません。G8は、民主主義を実践し、国際法を遵守し、知的財産を保護し、人権を擁護するなど、多くの価値観を共有する先進国の集まりです。ロシアを仲間に加えるかどうかでさえ、大いに疑問が出たほどに、「自由」を重んじる諸国の、かけがえのない交流の場なのです。中国が行っていることは、こうした理念と価値観にことごとく反しています。この会議に中国を呼ぼうと提案した菅首相は、G8サミットの何たるかをなにも分かっていないことを、露呈してしまったのです。外交のABCが分かっていない、と見なされたことは、日本にとってはかり知れない痛手です。首脳たちの評価もさることながら、誤った価値観に基づいて外交をやっていこうとする首相の姿勢は、まことに危険です。そのことを知る人がひとりでもふたりでもふえてほしいものです。

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COMMENTS

1 : 悠々 : July 10, 2010 08:52 AM

民主党は政治主導という勇ましいかけ声でスタートし、官僚を排除してきましたが、自分たちの知識の欠如がこうゆう所でも露呈してしまったのですね。
私の知人の子息が安倍総理の秘書をしていましたが、阿部さんはそうゆうブレーンをとても大事にしていました。
菅総理は官僚の支配を排除しようとする余り、官僚からのブレーンを余り重用していないのだと思います。優秀な官僚その他のブレーンを活用しなければ先生ご指摘のような醜態を演ずる羽目になります。
昔、美濃部都知事が学会から優秀なブレーンを多数集めて都政運営を行いましたが、優秀な人材でも政治は疎かったようで、都政は混乱の極みでした。昔から「餅屋は餅屋」と言いますからね。

2 : 湖の騎士 : July 10, 2010 12:38 PM

悠々様 コメントありがとうございます。菅首相は「脱官僚」を掲げすぎて、活用すべきブレーンも活用せず、実に愚かな提案をしてしまいました。思えば「サミット」を提唱したフランスのジスカール・デスタン大統領が、なぜこういう呼びかけをおこなったのかを、今まで35年の間、菅氏はなにも理解せぬままに過ごしてきたのです。1975年当時、アラブ諸国やイランなどの産油国は、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。世界は我らの前にひれ伏すべきだ、という態度でした。しかし時のフランス大統領は、「人間の平等を実現し、万人が自由であり、政府を批判することも、他国へ移動することも自由な社会を作り上げたのは、我ら西側先進国と日本だけではないか。米英独日の諸君、共にもっと自信を持とうではないか」との趣旨から、5か国首脳による「ランブイエ・サミット」を開催したのです(カナダとイタリアがのちに参加)。そういういきさつが分かっていれば、今回のような愚かな提案は絶対にできないはずです。ブレーンを活用することを知らない、自信過剰家が引き起こした失態でした。

3 : 泥田の落武者 : July 11, 2010 01:37 AM

八百万の神よ、靖国の英霊よ、我が祖国を守り給え。

4 : 湖の騎士 : July 11, 2010 09:23 AM

泥田の落武者様 この選挙でも昨年の総選挙でも許せないのは、「国を解体させる法案を、まったくマニフェストに載せなかった」民主党の独裁体質です。「公表すれば選挙に負ける」を分かっていて選挙民には見せないようにするという了見は恐るべきものです。これを阻止するために、神仏の加護を祈りたいお気持ちは分かります。しかし生きた人間ひとりひとりが目覚めるしかありません。あまりに平凡なことを申し上げて恥ずかしいですが、とにかく政権の暴走だけは止めねばなりません。

5 : mayu : July 12, 2010 04:23 PM

昨夜は千葉景子法相の落選が確定するまで心配でしたが、差し迫っていた危機は回避できそう。と、思ったのもつかの間、あれだけはっきりと民意を突きつけられたのに続投の方針とは!その上、チャイナの脅威は増す一方です。湖の騎士様が以前ご指摘の通り、3月1日施行された「海島保護法」と中共艦隊の沖の鳥島威嚇航海、7月1日同日施行のビザ緩和と「国防動員法」。行政も立法も、よほど腰を据えて安全保障問題に取り組まないと、大変なことになりそうです。
昨日の選挙特番は見ていなかったのですが、テレビ東京の今までは考えられなかった踏み込んだ(民主党や公明党の支持母体についての)報道を後からネットで知り、素直に嬉しかったです。そして、キャスターのI氏の無事を祈りました!
でも、日本は言論の自由が保障された民主主義の国です。 少なくとも、当局の意に添わない発言をしたからといって、翌日連行されたり行方不明になったりすることはありません。人治国家の隣国とは全く価値観が違います。サミットのメンバーとしての資格を有する誇りある国家の元首が、愚かな発言で国の威信を傷つけるのは許せませんね。
日本の異常な事態を世界はじっと見ています。私達にできることは知れていますが、草莽の小さな芽が実を結ぶことを信じて、地道に声を挙げて行こうと思います。