View of the World - Masuhiko Hirobuchi

July 29, 2010

もう一度生まれるなら? 「スイス」と答えた人々 -

7月24日の朝日新聞に「日本人であることが好き?」という記事が載っています(b10面)。サンプルの取り方がちょっと不明ですが、「好き」と答えた人が52%。そして「もう一度生まれるなら日本人?」という質問には、80%が「はい」と答えています。日本になんだかんだと文句を言っていても、けっこうみんな日本が好きなようです。目を引くのは、「日本以外で生まれ変われるならどこ?」という問いに対して、1位が「スイス」で、1071人、2位が「オーストラリア」の1022人、「カナダ」948人、「スウェーデン」869人、「ニュージーランド」790人、「イギリス」775人、「アメリカ合衆国」755人、以下「フランス」「イタリア」「ドイツ」の順でした。スイスが1位というのは、美しい自然、平和なイメージ、永世中立、精密工業、おいしいお菓子、ハイジなどのイメージが重なっているからでしょう。ですがスイスの実態は、日本人が思い描くようなものではありません。ここは「国民皆兵」の国です。一定期間軍役につくのは男子の義務であり、全国民が銃の使い方に習熟しています。他国から侵略されないように、常に防備を怠らず、緊張感が国中に満ちています。外国人を容易に信用せず、スイスに住んだ経験のある人は、「住みにくいところだった」と言い、「もう一度住みたいとは思わない」と言う人が多いのです。加えて宗教的な差別もあり、けっこう息の詰まる社会のようです。この国に憧れる日本人の何パ-セントが「兵役が義務」「国民皆兵」「他国の侵略から国を守る緊張感」といったものを理解しているでしょうか? 今の日本人の神経では、スイスに住む重圧にはとうてい耐えられないと思います。さらに驚くのは、「人口を上回る核シェルターが配備されている」という事実です。旧ソ連が西欧諸国を攻撃した場合に、スイスだけが安全とは限らないとして、国家がシェルターの配備を義務づけたからです。「永世中立」を宣言していれば、どこも侵略してこない、と思い込んでいる日本人には信じられないことでしょうが、これが現実です。「中立」と「独立」「平和」を守るには、とてつもないコストと「意志力」が要るのです。詳しいことは、「世界それホント? 会議」(インターネットTV)でご紹介します。放送日が近づいたらあらためて取り上げさせていただきます。

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COMMENTS

1 : 悠々 : July 30, 2010 08:32 AM

来世はスイスに生まれたいという人が多いのですね。
移民するには障壁が高いし、生まれ変わってスイス人になりたいのですね。
私はスイスには何回も訪れて居ますが、風光明媚、治安は抜群に良い、食べ物も美味しい、、、旅行者には天国かというとそうでもありません。物価は高いし(日本よりは安いですが、)観光地には日本人があふれているし、と言うわけでスイスでも私はもっぱら田舎を歩いています。スイス人の友人も増えたから楽しい旅が出来ます。
私はスイスに生まれたいと言うより、スイスで死にたいです。
スイスは安楽死を認めている数少ない国ですから、日本のように助かりっこない病人に濃厚治療をして無為な延命を図ると言うことは無いと思います。と言うことで私はスイスで死にたいです。

2 : 湖の騎士 : July 30, 2010 10:29 AM

悠々様 貴重なコメントをありがとうございます。「来世はスイスに生まれたい」という人は数あれど、「スイスで死にたい」という人は稀です。このお言葉はオリジナリティ豊かで説得力があります。ここにはスペースの関係で書きませんでしたが、スイスでは「宗教上の差別」も息苦しいそうです。ジュネーブは宗教改革者ジャン・カルヴァンが「神聖政治」を布いた町ですが、ここではカルヴァン派のプロテスタント以外は暮らしにくいと聞いています。「スイスに生まれたい」という日本人は、この程度の常識さえ持っていないと思います。少しは物事を考える一助になればと願ってこの記事を書きました。

3 : 泥田の落武者 : July 31, 2010 12:17 AM

湖の騎士様、

設問の主旨に反するのを百も承知の上で申し上げるなら、私は再び日本人として生まれ変わりたいです。

仕事や旅行であちこち行きましたが、私にとって日本以上の場所を見つけることは出来ませんでした。

私にとっては日本の人、歴史、文化・風俗・習慣、全てが愛おしいものに思えます。きっとこういうのを視野狭窄、国粋主義と言うのでしょうね。

4 : 湖の騎士 : July 31, 2010 06:07 PM

泥田の落武者様 いただいたコメントは設問の趣旨にぴたりと合致しています。私の分類によると、「自分の目と耳で他国を知り他国の人々と交わった人は、ほぼ間違いなく日本が好きになります」。これに反して「書物や他人の意見やテレビで他国を知った(つもりの)人の中に、他国を理想化し日本を悪くいう人が多い」のです。つまり前者は「曇りのない目で世界を見ている」のに比べて、後者は「観念やイデオロギー、勝手な思い込みで世界を見ており、その国の人々とはまず語り合っていない」のです。スイスやスウェーデンに憧れる人は、現実をまず知りません。スイスの家庭に祖国防衛のための小銃が置いてあるということも、この種の人たちは知らないで、ただミーハー的に憧れているだけです。かつて愚かな左翼は、ソ連の実態も知らずソ連に憧れていました。女優岡田嘉子と駆け落ちし雪のシベリアを越えて入国した挙げ句、スパイと間違われて処刑されてしまった男もいます。まず普通の現実を見ることです。過剰な他国への憧れは、自らを滅ぼし国を滅ぼします。コメントありがとうございました。