View of the World - Masuhiko Hirobuchi

September 15, 2010

尖閣問題についての根本的勘違いーー菅内閣の浅慮 -

民主党党首選のあと菅直人首相は文字通り小躍りして喜んでいました。どこへ行っても満面の笑みを浮かべていました。この笑みと踊り方に不安を感じた人は多いと思います。小沢一郎氏に勝ったといっても、そんなに喜んでいる場合ではないでしょう。差し迫った問題として、尖閣諸島に侵入した中国の漁船の船長を逮捕したことに対する中国の抗議への対応がまったくできていないことが大問題です。仙谷由人官房長官は、「船長以外の漁船員を送り返せば、中国の態度も国民感情も変わってくる」という、超楽観的な見通しを述べましたが、これはあまりにも中国人の本質を見誤った意見です。事態はいっそう悪化しています。中国人はこちらが譲歩すれば、かぎりなく交渉の値段を吊り上げてくる民族です。14人は明らかに不法行為をしたのですから、日本に留め置き日本の法律で裁くべきでした。ネットには「日本の軍国主義復活を許すな!」といった書き込みが殺到しているといいます。中国のメディアは完全に政府にコントロールされ、民衆は基本的に何も知りません。国際的にはいかに暴論でも、自分たちの意見は正しいと思っています。こういう人々が反日世論を形成しているのです。中国政府の態度を「遺憾だ」などと述べても何の効果もありません。しかし菅内閣の閣僚たちは、ひとつ憶えのように「遺憾だ」を繰り返しています。このくらいのセリフなら、中学生でも口にできます。「世界の世論を味方につけて、中国の理不尽な言い分に対抗する」くらいの気構えを示し、具体的な行動を開始すべきです。もし菅首相に事態の深刻さが分かっていれば、14日の夕刻から夜にかけてのあの小躍りや笑顔はなかったはずです。党首に再選されても、山積する難問に思いを馳せ、沈痛な顔をするのが、一国の最高責任者というものでしょう。人間としての「底が浅い」と感じさせた行動でした。

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COMMENTS

1 : 悠々 : September 20, 2010 06:13 PM

民主党党首選は結果的には総理大臣を決める占拠とは言え民主党内の行事ですから、国内外に大きな問題を抱えた総理大臣としてはあの喜びようはちょっと幼稚な感じを受けました。
大きな責任を感じてその重責に着いた人の行動ではありません。
元ズカ・ガールの大臣は尖閣諸島は国境問題だから・・・なんて気軽に口を滑らせるし、何故あんな薄っぺらな人を再任するのか菅さんの適材適所ってなんなんだろうと疑問に感じます。尖閣諸島には国境問題は存在しないというのが日本政府の統一見解ですからね。
日本の前途は多難ですが、しばらく外から日本を眺めてみようと思います。でも、日本が海外のTVに登場することはあまりないんですよね。

2 : 湖の騎士 : September 20, 2010 08:53 PM

悠々様 コメントありがとうございます。いま菅内閣の閣僚の中で尖閣問題の重要さを本当に理解している人はほとんどいないのではないかと思います。どうして尖閣は日本固有の領土だとはっきりと言わないのでしょうか? 丹羽大使も中国に「冷静な対応を」求めていますが、中国ははじめから冷静です。冷静に怒っているのです。すべては計算済みで、日本が「どの程度の外交プレーヤーなのか」をテストしていると見るべきです。さて菅内閣の閣僚起用方針ですが、最も優先しているのは「この人物を入閣させたら世論の支持が得られるだろうか?」ということです。見識とか官僚を使いこなす能力などは二の次、三の次です。こう見れば、かの薄っぺらな人気女性を再任した意味も明白に見えてくるのではないでしょうか? どうか国内の煩わしいことは忘れて、よい旅にお出かけください。

3 : とりのぼ : September 21, 2010 04:17 AM

中国が冷静に怒っているのならばある意味安心なのですが、13億人のナショナリズムの盛り上がりを本当にコントロール出来るのかが少し心配です。中国国民にとってGDPで日本を抜いた事実は、相当の自信であり小国日本に対して安易に妥協することは、国民が納得しないのではないでしょうか?中国の強硬な姿勢には、落としどころが何処にあるのかが不明で心配です。チキンゲームのエスカレーションが無いことを希望しています。
軍事力で中国に抜かれ(同等?)、アメリカとの同盟関係も微妙な今、管内閣には、独立国としての毅然たる態度は保持してもらいたいものの、安全保障について真剣に対応して貰いたいと思います。この微妙な時期に外遊の計画があるのでしょうか?(先生の良い旅にお出かけ下さいは、相当な皮肉と理解しています。)

4 : 湖の騎士 : September 21, 2010 03:43 PM

とりのぼ様 外交というのは冷静な計算に基づいて怒っているような演技もするものです。外交についてあまりにもナイーブな民主党には、その辺の駆け引きが見えていず、それが大いに心配です。中国の民衆は政府の意に反してまで反日行動をつづける気はありません。本当に民衆を鎮圧する気になれば、中国政府はそれが出来ます。1989年の天安門事件以来、民衆は本気になった時の政府の怖さを身にしみて知っています。民衆が対日怒りを表現できるのは政府が取り締まらないことを知っているからでしょう。今のところは民衆の怒りを中国政府がうまく利用している段階だと思います。しかし国民感情というのは、時に当局の当初の予測を超えてしまうことがあり、ご指摘のとおり、それが心配です。さて悠々さんに対して「よい旅にお出かけください」と書いたのは皮肉ではありません。本当にしばらく海外にお出かけになると思ったからです。

5 : とりのぼ : September 21, 2010 08:51 PM

悠々様、湖の騎士様、大変失礼しました。文脈を完全に読み違えていました。「管総理大臣がこの微妙な時期に外遊するのか?」と勘違いしておりました。改めてお詫びいたします。悠々様、折角の旅の始まりにご不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。
改めまして、私からも「どうか国内の煩わしいことは忘れて、よい旅にお出かけください。」
本当に、失礼いたしました。

6 : 悠々 : September 21, 2010 10:22 PM

とりのぼ様
忙しいと拾い読みして文脈を読み違えることは私も良くやりますから、気にしないで結構です。
貴方が総理外遊と勘違いしているのは分かりましたから、私はしょげたりはしていませんからご安心下さい。

7 : 湖の騎士 : September 21, 2010 10:29 PM

とりのぼ様 悠々様 誤解が解けて本当によかったです。読み違えは私もよくやります。悠々様にはあらためて楽しい旅をお祈りします。