View of the World - Masuhiko Hirobuchi

September 30, 2010

禁輸におびえなかったオランダ -

尖閣諸島で海上保安庁の船に体当たりしてきた中国人の船長を「釈放しなければレアアースを日本に輸出しない」という中国の恫喝におびえ、たちまち白旗を掲げてしまった菅政権ですが、ここはどんなにつらくともせめて2、3週間は我慢して毅然とした態度を貫いてほしかった。比較する例として、ふさわしいかどうかは分りませんが、1973年に起きた中東戦争の際に、アラブの産油国が「親イスラエル的な国には石油を輸出しない」と恫喝したことを思い出します。日本はこの恫喝におびえた国のひとつでした。アラブが一番目の敵にしたのがオランダでした。オランダには昔からユダヤ人が多く住み、ユダヤ教徒にもイスラエルにも友好的だったのです。アラブはこの恫喝を実行に移しました。イギリスやフランスや西ドイツなどには輸出を認めましたが、オランダ向けには一切の原油輸出を禁じました。オランダのハイウェイからは自動車が完全に消えました。車が走らないハイウェイというのは、まるでSF映画の未来都市のように不気味でした。女王も公務で外出するときには、馬車で出かけました。これだけの困難の中にあっても国中が泰然自若としていました。アラブの恫喝におびえて国の基本方針を曲げるわけにはいかないという一本の筋が、官民ともにとおっていました。パニックに陥る国民は誰もいませんでした。これが「国の威信」「尊厳」というものだと強く感じたことを思い出します。オランダが毅然とした態度を貫けた裏には、もっと複雑な国際間の駆け引きがあり、ヨーロッパ最大の精油所のあるロッテルダム港を持っていたことにもよるのですが、「困窮したときにいかに振舞うべきか」をはっきりと見せつけた一幕でした。民主党の政治家にはもっと歴史から学んでほしいとつくづく思います。もしこのオランダの例を知っていれば、世界に恥をさらさずに、事態の好転を待つことができたのにと思うと、残念でなりません。

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COMMENTS

1 : 泥田の落武者 : September 30, 2010 09:16 PM

湖の騎士様、

先日、経団連の会長だかが「国益を考えるべきだ」と、強行的な世論や野党にクレームをつけていましたが、この御仁は国益の何たるかを全く理解していない、或いは誤解している御仁であると思いますが。如何でしょう。

国益とは様々な国民の利益の束であり、経済的利益と言うのはその一つに過ぎません。ただただ、経済的利益のみを優先するのはある種の拝金主義の批判はまぬかれないでしょう。

さらに、日経の中国万歳記事に乗っかって、中国に過剰にシフトし、自分たちのビジネスリスクの分散を怠ったのは、経団連のお偉いさん達の、無能、怠慢、横並び意識の結果です。自分たちの才覚の無さと、国家の威信、信用を天秤にかけるのは、自分たちに商売人の才覚も無ければ、国民としての自覚も誇りも無いと白状しているのと同じでは????

売るのは自社の商品だけにして頂いて、国を売るのはやめて頂きたいと存じます。少なくとも国民の多くは、このまま中国に屈服するのを潔しとはしていなかったはずです。経営者に才覚も無ければ、覚悟も無い、威厳も無いでは、日本経済が回復しないのも当然でしょうか??????

2 : 湖の騎士 : September 30, 2010 11:32 PM

泥田の落武者様 経団連のおえら方の頭は完全にイカレテいます。自社の目先の利益しか考えられないのが、はっきりと分かります。彼らより20歳くらい年上のかつての財界の大物が「まったく教養も国家観もない」と嘆いています。少しは石油ショック当時のオランダの落ち着きを学び、「痩せがまんも外交に勝つ術のうち」ということを知ってもらいたいものです。