View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 09, 2010

ノーベル賞を採点する -

今年のノーベル賞はかつてなく日本人の関心を集めました。まず化学賞では日本人が二人受賞し、ほぼ全国民がお二人を誇りに思い同時に日本人であることに誇りを抱きました。次の文学賞では村上春樹氏が受賞を逃し、悔しい思いをされた方も多いと思います。受賞したのが、ペルーの白人エリートそのもので、1990年の大統領選挙でアルベルト・フジモリ氏に敗れたマリオ・ヴァルガス・リョサ氏だったことは、何か複雑な思いを抱かせました。村上落としのリョサ受賞の裏に、人種的偏見やよからぬ思惑が潜んでいなかったことを祈りたいと思います。さて平和賞です。中国の民主化運動家で作家の劉暁波氏が受賞しました。このニュースを伝えたNHKのテレビは、中国では全面カットされ、真黒な画面が流れたそうです。中国政府と共産党に都合の悪いことは、民衆に一切知らせないという、中国では常識になっていることが、今回も行われたわけです。中国の要人が、事前に平和賞委員会に接触し、「劉氏が受賞すれば、中国とノルウェーとの関係によくないことが起こる」と圧力をかけたことが暴露されていましたが、委員会はこの圧力を撥ねつけました。こんな工作をすれば、欧米の人間は絶対に言うことを聞きません。それが中国には分かっておらず、「自国の基準で他国も動く」と錯覚していたことが、世界中に知られる結果となりました。ノーベル賞については、さまざまなご意見・ご感想がおありと思います。どうかご自由にコメントなさってください。

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COMMENTS

1 : Sako : October 9, 2010 06:28 PM

私は、何よりも文学賞を受賞したバルガス・リョサに関心があります。
マルケス、ボルヘス、レイナルド・アレナスといった南米出身の作家達を読み漁った頃を思い出します。
昔の友人に会いに行く様に、久しぶりにリョサを読もうと思います。

2 : 湖の騎士 : October 9, 2010 10:58 PM

Sako様 リョサに興味があり彼の作品を読んだ方が若い世代の中におられるというのを知って新鮮な驚きを感じています。私の中のリョサは、フジモリを罪におとしいれた「白人エリート・ネットワーク」の一人です。これが誤解である可能性もありますが、核心を突いている可能性もあります。しかし受賞を機に、「予断をまじえずに」彼の作品を読んでみようと思います。そのきっかけを与えてくださった貴重なコメントをありがとうございました。

3 : Sako : October 10, 2010 10:34 AM

私は、リョサがどういった人物かは、恥ずかしながら全く知りません。
しかし、彼が世界の文学への貢献は素晴らしいと思います。
ハイデガーやワグナーの思想、作品の偉大さは、ナチスへの協力故に損なわれるとは思われません。

今回のノーベル賞で、受賞したリョサではなく、落選した村上春樹へ注目するテレビの馬鹿さ加減を再認識します。

劉暁波氏の釈放を日本政府が言わないことも憂慮します。

4 : 湖の騎士 : October 10, 2010 05:11 PM

Sako様 全くの正論です。私のリョサ観は相当「先入観」が入っていました。どこか胡散臭いと思っていたのです。それらを一度振り払って、作品そのものを精読してみようと思います。