View of the World - Masuhiko Hirobuchi

October 19, 2010

「思いこみ」ばかりの中国報道 -

ここのところテレビ・新聞の「中国問題」の報道が、ほとんどすべて日本人記者(日本メディア)の「推測」だけを基にしている気がしませんか? いちばん代表的なのが「尖閣問題が起こって、大衆の反日デモなどが多発し、困っているのは中国政府だ」という報道です。しかし中国政府の要人のだれ一人としてそんなことは口にしていません。すべては「推測」であり、自分たちの見当はずれの推測を、あたかも事実のように伝えているだけです。18日の国会答弁でも仙谷官房長官は「なにか(お困りの)事情が先方におありなのでしょう」と語っていました。「だから日本はあまり騒がず中国を政府を窮地に追い込むようなことをしてはいけない」という含みです。テレビでも「学生のデモは反日とばかり言えない。中国政府への批判もまじっている。」といったコメントばかりです。日本人は国会とメディアを挙げて、「困っている中国政府」という見方に凝り固まっています。これは非常に危険な「一律化」です。だれがこういう見方をばらまいているのでしょうか? すべての原因は「尖閣は中国の領土だ」と一方的に宣言した中国政府にあります。学校でもそう教えられた学生たちが、今回の日本の措置を不当だと思い、激昂するのは当たり前です。中国は天安門事件をネットで取り上げることも禁じる国です。自国民がノーベル平和賞を受賞してもいっさい国民には知らせない国です。天安門事件では自国民を虐殺したのです。そういう政府がデモくらいでたじろぎますか? あまりにも日本人的価値観と感性で物事を判断しすぎ、「自分たちの描いたシナリオに沿うように」報道を続けている気がします。かつて「ソ連がアメリカと日本の戦争を終わらせる仲立ちをしてくれる」という大錯覚をしていた日本政府とマスコミが、どんな惨禍を日本にもたらしたかを考えてみてください。ソ連が「正直な仲介者」になってくれるなどというのは、まったく根も葉もない幻想でした。「中国政府は悪くない。苦境におちいっている」というのも、同様な幻想だと思います。中国政府は警官を配置してデモをコントロールしているーーというのは、「国際社会に向けたパフォーマンスではないか」くらいのコメントのひとつくらいはあってもよいのではないでしょうか。

[Post a comment]

COMMENTS

1 : 悠々 : October 19, 2010 07:09 PM

先生のご指摘の通りだと思います。
私はむしろ、尖閣問題に関しての反日デモは中国政府が大衆をうまくコントロールして「やらせている」のではないかとさえ考えています。ですから中国政府が反日デモに困惑なんかしている訳がないのです。警官を配置してデモをコントロールしているのは余り暴徒化して国際世論の顰蹙を買うのは拙いからほどほどのところで暴れさせているのでしょう。孫悟空が仏様の手のひらの上だけで暴れ回っているのと同じ構図です。
日本のマスコミの皆さんも官房長官も海外の報道に目を通したりはしないのでしょうか?

2 : 湖の騎士 : October 19, 2010 11:32 PM

悠々様 コメントありがとうございます。何人かの国際問題の専門家と話しましたが、皆さん一様に「最近のマスコミが一方的に自分たちの思い込みを押しつけるのはひどすぎる」と言っていました。困るのはすべてのメディアが「横並び」なことです。まるで談合でもしているようです。せめて一社くらい他社とは違うことを伝えるメディアが出てこないと、日本は本当に「全体主義の国」になってしまいます。孤立を恐れていては駄目です。みんな同じになる危険を、今のところメディアは気付いていません。

3 : 悠々 : November 1, 2010 04:17 PM

『<思いこみ>の世界史』(山口洋一著) をお勧め頂いたので早速読んでみました。
先生が仰るとおり、目から鱗が何枚も落ちる思いでした。
私が常々不審に思っていたことを見事に喝破されていて心地よく、そして不気味な気持ちにもなりました。
アメリカがインディアンを殺戮しまくって今のアメリカを白人の土地にしてしまったのを始めとして、第二次大戦での原爆投下のみならず東京を初めとして日本中の都市を無差別爆撃して木造家屋を標的とした焼夷弾を開発して一般市民を殺戮したこともお書きになっています。ベトナムでは枯れ葉剤を、イランではウラン弾をと生かして無辜の市民を標的にして殺害してきました。このことは私もかねがねアメリカの無法者を糾弾するマスメディアも居ないし、それを指摘する国も無いのを歯ぎしりしていたので、この本を読んで溜飲が幾分下がりました。
ミャンマーの問題や中国の問題にも触れていて、もっと沢山の人にこの本を読んで欲しいと思いました。
良い本をお教え下さってありがとうございました。

4 : 悠々 : November 1, 2010 04:20 PM

前項の投稿「ウラン弾をと生かして・・・」は「投下して」の間違いです。

5 : 湖の騎士 : November 2, 2010 09:33 AM

悠々様 「<思いこみ>の世界史」をお読みになり、共鳴なさる点が多々あったとお知らせくださり、まことにありがとうございました。著者の山口さんも、この日本の体たらくぶりを慨嘆しておられますが、一人でも多くの方に、他国および世界史に対する<思いこみ>を捨てていただきたいと思います。とくに民主党の「中国」に対する理想化、偏った親愛感は早急に訂正しないと日本はますます危機に陥ってゆくと思います。ご友人にもぜひ本書をお奨めください。