View of the World - Masuhiko Hirobuchi

March 23, 2011

米英仏は「内政干渉軍」ではないのか リビア情勢異論 -

リビアではアメリカがトマホークミサイルをカダフィ大佐の政府軍に撃ちこみ、近く戦闘の主導権を英仏軍に委譲するそうです。明らかにカダフィ政権の打倒を目指し、反政府側を支援する行動です。昔からこういうのを「内政干渉」と言ってきました。それを白昼公然と行うのは、このままでは反政府側は壊滅し、そのために多くの反政府運動家が虐殺される可能性がある、という理屈からです。この行動にお墨付きを与えたのが国連安保理の決議です。ロシアと中国はこの決議に抗議し投票に際しては棄権しました。両国が「拒否権」を使わなかった舞台裏では、熾烈な外交的駆け引きがあったものと思われます。だんだん分かってきたのは、「カダフィは石油利権を英仏には渡さない」から、彼を排除するのだという英仏の本音です。初め、リビアの民衆が長い間のカダフィ独裁政権に耐えかねて蜂起し、平和的デモで民主主義的な政府を打ち立てるのだということが世界中のテレビに映し出されました。だがやがて純粋な動機から発生したはずのこの運動が武器を持つにいたり、政府軍と戦闘を交えるようになりました。もはや平和的に政権を奪取する勢力ではなく、自分たちの主張を貫くための「武力集団」と化したのです。そして政府側の猛反撃に会い、まさに壊滅せんとしたその瞬間に「正義」と「人道主義」の御旗を掲げた多国籍軍が登場したという筋書きです。初めからこういう筋書きが仕組まれていたのかどうか、確かなことは分かりません。しかし、「そういえば少し話がうますぎたな」と疑う気持ちが大切です。あれだけの大規模なデモを見せつけられれば、誰しも「悪いのはカダフィだ」と思います。いまの米英仏の武力行使も容認する気になります。しかし、米英仏は本当にそんな立派な理念に基づいて行動しているのでしょうか? アメリカがスペインにいわれのない戦争を仕掛けた19世紀末を思い出します。まさに帝国主義の時代でした。左翼はベルリンの壁崩壊以来、あまり「アメリカ帝国主義」という言葉を使わなくなりましたが、バラク・オバマという凡庸な大統領が、側近の「超リベラルな」スタッフの意見に引きずられて、歴史的な過ちを犯そうとしている可能性は十分にあります。こういう見方はもちろん少数派です。しかし、日本の政治家もマスコミも「ひょっとするとそうかも知れないな」くらいは考えてほしいと思います。世界はそんなきれい事では動いていないのです。

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COMMENTS

1 : 悠々 : March 24, 2011 07:53 AM

私が中学生の頃は「内政不干渉」の需要性をしっかり教わりました。一国の内紛には事情がどうあれ、他国は干渉しない、と言うのが国際ルールだと教わりました。
帝国主義の蔓延が世界平和を乱したという反省からだったと思います。
今の欧米のやり方は明らかに内政干渉です。
事の是非は問わず内政には干渉してはならない、と言うのが第二次大戦後の各国間の合意事項だったはずです。
それがこのところ大国のご都合主義が台頭し、民主化を求める国民大衆の後押しをする、と言う名目で内政に干渉しているのはおかしいです。
国連安保理の決議で動いていると言うことになっていますが、これでは国連の権威は失墜します。
カダフィ政権を是としないとしても、リビア国内の内紛として国際社会はその動静を見守るだけにしておくべきです。
少数民族の権利を蹂躙しているというのであれば中国のチベットなどに対するやり方も看過すべきではないですからね。

2 : 湖の騎士 : March 24, 2011 09:15 PM

悠々様 コメントありがとうございます。私の推理にご賛同いただき心強いです。リビアで民衆の蜂起があった時、かつての東欧での無血革命と重ね合わせて見た人は多いです。しかし、裏切りと足の引っ張り合いの中東で、事をそんなにロマンティックに見てよいのかという疑問があ私の頭から離れませんでした。だんだん醜悪な部分が見えてきました。オバマは将来アメリカの敵となりうる勢力を支援しているのかも知れないのです。フランスの行動もサルコジ大統領の人気のなさと大いに関係がありそうです。1日の軍事行動だけで、何億円もの国民の血税を米英仏は使っているのです。しかもその戦いは「侵略戦争」かも知れないのです。我が菅内閣はそんなことには全く関心がないようで、これはまたこれで情けないかぎりです。