View of the World - Masuhiko Hirobuchi

April 12, 2011

福島原発をめぐる「ポスト」と「現代」の戦い -

昨日(月曜日)発売された「週刊ポスト」が私の近所の書店で今日(火曜日)の昼前に売り切れました。最後の一冊を買ったのは私です。ここ数週間原発の事故をめぐる扱いで、「現代」の記事を「ポスト」が批判してきたことは、両誌の広告を見てきた人にはすでにおわかりと思います。「ポスト」は「現代」を「不安を煽る伝え方」だと批判してきました。もちろん「現代」は自社の信念に基づき、自分たちが「正しい」と思うことを報道しているのだと思います。大手の新聞社間では、ライバル紙の記事を批判することはまずなく、これが日本のジャーナリズムをつまらなくしていますが、それに比べるとこの両誌の戦いは見応えがあります。今週の号に関しては「ポスト」の大前研一さんの菅政権の迷走ぶり批判が読ませます。これも大手の新聞の記事ではお目にかかれない鋭さと独自の視点を備えたものです。だいぶ前のことですが、総理大臣が「コマツナの出荷をするな」と指示しました。これが、いかに愚かな仕業であったかを大前さんはきわめて明快に指摘しています。木曜日に出る「新潮」と「文春」がそれぞれどういう独自色を出すかも楽しみです。

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COMMENTS

1 : 石井千里 : April 15, 2011 07:44 AM

こんにちは。"view of the waold"では、世界情勢を取り上げたものを選んで参考にさせて頂いています。たとえば「リビア情勢異論」には私も同感です。さて、この度の3-11が日本の既存メディアの枠組みを変えつつあるとは思われませんでしょうか?廣淵様のご見解を伺えればと思い、失礼ながらコメント欄でお尋ねする次第です。

2 : 廣淵升彦 : April 15, 2011 10:09 AM

石井千里様 リビア情勢についての拙文などお読みいただきありがとうございます。3ー11が日本の既存メディアの枠組みを変えつつあるかどうかについてお尋ねですが、私の見解は「中長期的には大きな変化のうねりが起きている。しかし目先の動きとしてはまだ目立ったものにはならないだろう」というものです。中東のジャスミン革命に果たしたインターネットの役割やアメリカの既存メディアの凋落を見て、「日本でもメディア界に大変化が起きている!」と思う人はたくさんいます。しかし日本のメディアの産業としての仕組みは二重三重に守られており、大変化をなかなか受け付けないのが現状です。ですから「変革待望論者」が喜ぶような事態に発展するには「まだ時間がかかる」と思います。

3 : 悠々 : April 17, 2011 03:09 PM

しばらく日本を留守にしていたので現代もポストも読んではいませんが、韓国でBBCやCNNを見ていると、日本のテレビが伝えないような生々しい原発事故の映像を見ることが出来ました。
国民にあまり不安感を抱かせないようにとの、配慮が働いてるように感じました。
これで、外国の友人達が心配して電話やメールをくれたのが納得できました。
メディアの一方的な配慮なのか、どこかの筋からの要請によるものなのかは分かりませんが、外国のメディアが入手できる映像を日本のメディアが入手できないはずはありません。
マスコミは事実だけを国民に知らせることが必要です。
政府が事実をちゃんと伝えていない現状では、マスコミが真実を伝えることをもっと真剣に行うべきだと思います。

4 : 2008915 : April 17, 2011 03:53 PM

通りすがりに失礼いたします。

悠々様、残念ながら、マスメディアがちゃんと機能していましたら、今回のような事故は起こっておりません。ちゃんとした情報が得られないことが、この国が衰退する遠因となっているように思っております。この国の既得権益者は、国の先行きより、己が人生を謳歌することに熱心なようです。重ねて残念ですが、、

>政府が事実をちゃんと伝えていない現状では、マスコミが真実を伝えることをもっと真剣に行うべきだと思います。

5 : 石井千里 : April 18, 2011 07:56 AM

廣淵様
こんにちは。私のお尋ねの趣旨は、かつてマス・メディアに携わっていた者として、またニューヨークで「9-11」を体験した者として、廣淵様のご意見を伺いたかったからです。その論拠は、この度の出来事によって(米国同様に)日本でのメディア・リテラシーが高まっているのではと感じたからですが、「喜ぶのは時期尚早」とのご意見をいただきある意味納得しました。有難うございます。

日本の産業構造システムにしっかりと組み込まれているマス・メディアですが、そんな強固な枠組みも一人ひとりの国民の意識の高まりによって変えることもできると思っています。

昨今、マス・メディアに対して違和感を覚えているのか、文句(?)の矛先を向けている意見をいたる所で見受けますが、それはお門違いではないでしょうか。私はサブスクライバー(視聴者、聴取者、読者、閲覧者)自身の問題だと眺めている次第です。

6 : 湖の騎士 : April 18, 2011 09:07 AM

悠々様 お帰りなさい。早速のコメントをありがとうございます。BBCやCNNが伝えることをなぜ日本のメディアは伝えないのかというご疑問は尤もだと思います。今の取材体制は、政府や東電のような「ニュースを発信する側」に有利にできています。取材する側はどうしても「当局」のコントロールを受けやすいのです。取材する仲間内の暗黙の了解事項とか、目に見えない「縛り」を離れて、孤立を恐れずに自由に取材し報道するという姿勢が、記者にも彼の上司にもそのまた上司にも欠けています。まことに歯がゆく残念ですが、これが現状です。無能な為政者はその弱みを突いて、自己の政権の延命を図っています。もっと「真実だけを淡々と伝える」という当たり前のことを実行してもらいたいです。そのためには視聴者や読者がもっと「メディアに対する厳しい目を持ち、メディアを批判する力を身につけてほしい」と願っています。アメリカでは小学生に対してメディアを批判する教育を行っています。けっして感情的にならず、理性的にメディアを批判する人々がふえてくれることを願っています。

7 : 湖の騎士 : April 18, 2011 09:18 AM

2008915 様 通りすがりの悠々さんへのご意見をありがとうございました。仰るようなご意見がもっと広く浸透してほしいと強く願っています。ひとつの危険は、「世論」なり「大衆」が力を得すぎると、政治のベクトルが大きく「マイナスの方向にぶれる」ことが多いことです。今回の原発事故もそうですが、日本をどう立て直すかについて、「復興増税に賛成」する人が58パーセントもいるというのが大きな懸念です。増税がもたらすマイナスマイナス面をきちんとシミュレーション思い思い描けぬままに、なんとなく「賛成だ」と思っている人々に乗っかって「世論が支持しているから」という理由で増税に踏み切った場合、経済がどうなるかについて、大いに心配です。

8 : 廣淵升彦 : April 18, 2011 09:29 AM

石井千里様 再度のご意見をありがとうございます。情報の受け取り手(サブスクライバー、オーディエンス)の心理的態度についての貴重なご意見です。民主主義が本当に機能するためには、メディアがしっかりする必要があり、そのためには小学校のころからメディア(ニュース)の善し悪しを見分ける能力(メディアリテラシー)を養う必要があります。私が見聞したかぎりではアメリカでは、小学生に「このニュースにはバイアスが付いていないか? 付いているとすればそれはどういう点か?」ということを考えさせる教育を行っています。こういう厳しい教育を受けたオーディエンスがいれば、メディア側も身が引き締まります。気の長い話ですが、日本もこういう良い点は大いに取り入れてほしいです。ぜひまたお立ち寄りください。私の悠々さんへのお礼のコメントもご参考になると思います。よろしくお願いします。