View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 02, 2011

ロイヤル・ウェディング(花嫁の名前) -

4月29日、英国ウィリアム王子とキャサリン・ミドルトン嬢の結婚式を見ていて感じたことを書きます。まずは花嫁の名前です。NHKのBS1では終始花嫁を「ケイトさん」と言い、日本テレビでは「キャサリンさん」と言っていました。両方とも正しいのですが、はたして日本の視聴者は「キャサリンが正式名でケイトはこれを縮めた愛称」ということを知っているのだろうか? という疑問が頭に浮かびました。たしかに英語圏では、この両者の共通性が即座に頭に浮かぶでしょうが、日本ではそうはいきません。日テレとNHKを交互に見た人は混乱したのではないかと思います。男子の名前では「ボブ」あるいは「ボビ-」は「ロバート」の愛称だということは割合と知られています。「ジム」や「ジミー」の正式名称は「ジェイムス」です。しかし「キャサリン」が「キャシー」となり、さらに「ケイト」になるということはあまり知られていないのではないかというのが、私の懸念でした。あるいは番組の冒頭で、こうした基礎知識についての解説があったのかも知れませんが、私が視聴し始めた午後6時半以降はそうした解説はありませんでした。小さなことにこだわっているとお思いかも知れませんが、名前の表記はひとつの「文化」であり、こういう根本が分かっていないと番組の中のコメントも表面的なものになってしまう恐れがあります。事実、NHKの鎌倉千秋キャスターは、ウェディングドレスのことばかり話していました。デザイナーがだれで、製作した会社がイギリスの会社かどうかなどは、一般の視聴者にとってそれほど大事なことなのかどうか? その半面、画面に現れる聖職者が、なんというお寺のどういうえらい人なのかといった解説は皆無でした。テロップも出ませんでした。どなたがカンタベリーの大首教なのか、次に話すのはだれなのかが一切分からぬままに番組は終わってしまいました。解説した大学教授とヨーロッパ総局長の解説は、合格点だったと思いますが、イギリスの宗教地図や、女性の呼び名についての基礎的情報を伝えることも公共の電波としては非常に重要な役目なのではないかと感じた次第です。さらにひとこと付け加えますと、アメリカのメディアでは「ケイト」を使っています。しかし誇り高いイギリスの高級紙フィナンシャル・タイムズは「キャサリン」を使っています。「ケイト」を使うのは、少しアメリカ風すぎ、なれなれしすぎる気がします。

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COMMENTS

1 : 悠々 : May 3, 2011 09:04 AM

私は中継の最初の方は見ていましたが、挙式本番までは見ていません。「ケイト」と親しみを込めて呼んでいるのは違和感がありました。プリンセスですから、彼女のご学友などがコメントする時には「ケイト」で良いと思いますが、縁もゆかりもないNHKの人が言う時には正式に「キャサリンさん」と言うべきでしょうね。
それよりも、英国王室の行事なのですから、何も日本から大取材陣を送り込んで現場ナマ中継というのは、無駄遣いも甚だしいと思いました。BBC辺りから電波を買って同時通訳でも付ければ十分だと思い思いました。そうすればキャスターや解説者の勉強不足も補えたはずだし、何より大幅な経費節減になったはずです。

2 : 湖の騎士 : May 4, 2011 11:07 AM

悠々様 コメントありがとうございます。この結婚式は久々の国際中継物だったので、なにか目新しいことがないかと待ち構えていた日本のテレビ局が「すわっ!」と飛び付いたのでしょう。おっしゃる通り、大取材班を送り込んだわりには、コメント内容はお粗末でした。「ケイト」と「キャサリン」の区別ひとつも解説しないので、「昨日までのNHKではケイトだったのに今日からはキャサリンになっている。一体どうしたの?」という素朴な疑問も出ています。さすがにNHKも「ケンブリッジ公爵夫人」を「隣のミーちゃん」という感覚で「ケイト」とは呼べないのでしょうね。

3 : Sako : May 7, 2011 06:33 PM

確かにそうですね。

ただ、私は女性のアナウンサーが「女王は黄色の服を着ています」といった、教養のない話ぶりに嫌気がしました。

BBCに切り替わり、NHKの人の解説が消えて、ホッとしました。

4 : 湖の騎士 : May 8, 2011 07:41 AM

Sako様 貴重なご指摘をありがとうございます。私はこの女性アナの「黄色の服」発言の部分は視聴していませんので、大変参考になりました。テレビ局ももっと局アナの教養を磨くような社内教育を徹底すべきです。今のままで視聴者に相まみえるというのは、まことに僭越で非礼だと思います。BBCの結婚式のVTRでも繰り返し見て、もっと勉強するようにしてほしいですね。

5 : Sako : May 8, 2011 12:25 PM

先生、ビン・ラディンの件はどうお考えでしょうか?

6 : 湖の騎士 : May 8, 2011 12:46 PM

Sako様 このテーマは重大な割に日本のメディアでの扱いが小さいです。稿をあらためて書きます。しばらくお待ちください。