View of the World - Masuhiko Hirobuchi

September 26, 2011

落合監督解任と日本の精神文化 -

中日ドラゴンズの落合監督が解任されました。野球シーズンも終盤を迎え、首位ヤクルトを猛追しているさなかの解任(契約更改をせず)発表です。その理由として挙げられているのは、落合は勝利にこだわりすぎて面白味がない、ファンへのサービス精神が足りない、マスコミへの対応が傲慢すぎる、観客動員数が減ってきたーー等々です。あの独特のちょっと憎たらしい「オレ竜」をエンジョイし、「これもまた面白いじゃないか」と思う心の余裕が、名古屋の人々には欠けているのではないかと思い、地元に住む長年の友人に聞いてみました。彼は「たしかに君のいうとおりだ」と答え、「それを言い出せば日本全体が落合を評価するまでのレベルに達していないと思うよ」と付け加えました。たしかにそのとおりだと思います。スポーツ記者たちは「自分の好みの野球像」といったものを抱いていて、その規準から外れた野球を評価しません。そういう野球の価値が分からないのです。それを言い出せば、日本の政治も同じです。政治記者たちの「好み」は非常に偏向していて、自分たちの尺度に合わない政治家や政党をはじき飛ばそうとします。政治家は大衆に愛されることだけを目的とし、愛されたあとに何をしたいのか、何をしたいために愛されたいのかがはっきりしません。落合解任は、今の日本全体の精神文化の貧困を物語っている気がします。後任の高木守道氏は、パーティーで一度話しただけですが、凡庸で戦略眼もなく、話がまったく面白くない人ーーという印象でした。こういう人が重用される日本はますます「無難に生きる人」の天下になってゆく気がします。今の日本にとって必要なのは、大衆に愛される人よりも、少々角(かど)があっても独自の哲学と実行力のある人です。一人の監督の去就は、いろいろなことを考えさせます。

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