View of the World - Masuhiko Hirobuchi

November 06, 2011

1日に5通の郵便配達 ギリシャのある島で -

3年ほど前のはなし。ギリシャのある島での生活を日本のテレビがニュースで伝えました。のんびりとした緑ゆたかな島の生活が紹介され、1人の郵便配達夫が登場しました。彼は1日平均でわずか5通の郵便を配るだけで生活していると語りました。この短い生活情報を見ていた局アナは「なんとうらやましい。まるで天国のような生活ですね!」と語ったそうです。私はこのニュースを見ていませんが、見ていた親友の一人が、「こういうニュースを見て、『天国のような生活』としか思えない。これが今の日本のテレビ局員のセンスなのか!」と怒りとも嘆きともつかぬ思いを打ち明けました。皆さんはどうお感じですか? たしかに狭い島で5通の郵便を配るだけで生活が成り立ち、それで誰も困らないのであれば、これはまことにうらやましい生活といえるでしょう。しかし日本人ならだれでも知っているギリシャの財政危機の根本原因が、まさにこのニュースの中に潜んでいると見破るくらいの眼力が、かの局アナにほしいものです。郵便配達員は、まぎれもなく「税金で養われている国家公務員」です。1日に5通くらいしか配達しないような島に配達員を置いたのでは、とうてい採算に合わない。それならどこか1個所に郵便を集めて我々島民がそれを取りにゆくことで、公務員を一人減らそうではないか」と考えるのが、まともな民主主義国家というものではないでしょうか? 事実、ノルウェーではほぼこれに近いことをやっているのです。のんびりした島の生活を見せられて、ぽーっとしてしまい、税金とか国民の負担に頭が回らないというのでは、マスコミ人間とはいえないでしょう。ギリシャの財政破綻は、こうした公務員の雇いすぎと、「それが当然だ」と思い込んでいる国民の意識の「低さ」に根差しているのです。他国のことはいえません。日本でも必要もないことをする公務員が多すぎます。「明日は我が身」です。「公共のサービスはよいけれど、そのために人件費がかかるならやめてくれ。増税はまっぴらご免だ」という意識が日本中にもっともっと強まってほしいものです。

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COMMENTS

1 : ふくろう : November 6, 2011 05:38 PM

我が国でも一時市町村に登場した「なんでもやる課」が、それに相当すると思いますが。

身辺の些細な事までお役所に依頼、また住民に迎合するような政策を掲げる首長が沢山いました。
それを持ち上げるマスコミも多かったですね。

今は市町村のレベルではなく、似たような事を与党が大きく掲げていますね。

2 : 湖の騎士 : November 7, 2011 09:44 AM

ふくろう様 コメントありがとうございます。まったく仰せのとおりで、「しなくてもよいこと」をして、住民(選挙民)におもねろうとする首長や議員が多すぎます。住民サービスはいいとして、それに要する「コスト」を考えていません。マスコミはその辺をもっときびしくチェックする義務があります。皆さんの批判が高まれば、メディアも目をさますでしょうが、批判がなくとも早くそういう体質になってほしいものです。

3 : 悠々 : November 8, 2011 03:24 PM

日本のお役所でも偉い人が退職すると、天下り先が無い場合などにはわざわざそのためのポストを作ったりするようです。
ギリシャの小島の郵便配達など罪の軽い方です。
中国映画で「山の郵便配達」というのがありましたが、この配達人は広大な受け持ち区域を数日掛けて一巡する過酷なお仕事でした。
三宅島には以前は各部落毎に郵便局が有りました。(、確か5カ所くらいだったと思います。)噴火以降は村民が減って1箇所だけになったそうです。
パーキンソンの法則は今でも健在なんですね。

4 : 湖の騎士 : November 10, 2011 07:01 PM

悠々様 コメントありがとうございます。お礼を申し上げるのが遅くなりました。中国や三宅島の郵便事情はていへん有益な情報です。視野が広がりました。それにしても天下りポストを新設するキャリア官僚というのは許せませんね。ギリシャの郵便配達は、「何千何万とある無駄な人件費浪費」の一例に過ぎないのだと思います。国民の4人に1人が公務員というのは、どう考えても夢茶なはなしです。さて、これからギリシャやイタリアはどうなるのか? 気になることばかり続く昨今です。

5 : 悠々 : November 12, 2011 11:02 PM

ギリシャやイタリアも心配ですが、日本だって国債発行残高はとてつもない額です。
震災復興の国債も又長期返済になってしまいました。
30年と言えば今生まれた子供が30歳になるのですから、恐ろしい話です。
先生がおおせのとおり、気になることが多くて暗い気持ちになります。

6 : 湖の騎士 : November 13, 2011 11:33 AM

悠々様 再度のコメントありがとうございます。皆さん「国の借金が膨大」と心配しておられますが、「国が債務者になるということは国民が債権者になる(日本人が買うかぎり)」という点を見逃しておられる気がします。さらにこの「借金」は、「経済が今のままで推移すれば」ということで、官民を挙げて成長戦略を採り、経済がいちじるしく成長すれば、健全な形で解決できるはずです。民主党の中には「経済が成長すること」への嫌悪感を抱く人が多く、官僚の中にもそういう人が多いのは困ったことです。「資本主義は悪いシステムだ」という思想を冷戦時代に刷り込まれたまま、思考が柔軟性を失ってしまった人々です。この人たちが一刻も早く「国民の幸せのために成長戦略を採るべきだ」という気持ちになってほしいものです。

7 : 悠々 : November 14, 2011 08:47 AM

再再度コメントさせて頂きます。
先生がお考えのように、経済が著しく成長すれば結構なことで、そうあって欲しいと願っています。
でも私は第二次世界大戦時の戦時国債を思い出してしまいます。
国民はお国の為と思い、せっせと国債を買いました。
我が家もかなりの国債を保有していました。しかし敗戦後その国債証券は紙くずと化しました。あの悪夢を忘れてはならないと思います。成長戦略がインフレに繋がったら、と言うのが杞憂であればいいのですが。

8 : 湖の騎士 : November 14, 2011 11:14 AM

悠々様 ひとつの記事からこれだけ深いお考えをうかがうことができ、本当に嬉しいです。たしかに30年後のことはだれにも分かりません。国債にはリスクがいっぱいあるでしょう。それをいちばんたくさん買っているのは、プロ中のプロたる日銀であり銀行です。無事に償還を終わらせるためには、財務省・日銀の「経済哲学」が不可欠です。まことに残念ですが、この両者の哲学は間違っていると思います。民衆を「富ませる」という思想が欠落しています。それを論じ出すとかなりの紙数が必要になりますが、「為政者としての責任感」をせめて欧米各国のそれに近づけてほしいものです。この円高を招いたのも日銀の「ケチケチ症」によるもので、「お札の印刷競争に敗れたから」という見方が有力です。しかしこの見方はまだ一般には知られていません。もし日銀が「内部に巣くう固定観念」から脱けだして、企業を富ませ国民を富ませるために何をすべきかという観点に立てば、この不況は克服できたはずです。未来にもっと希望が持て、就活で悩む若者の数も減ったと思います。国債を再び紙くずにしないために、首相をはじめ「今までのアドバイザーたちと違う意見」を積極的に取り入れてほしものです。