View of the World - Masuhiko Hirobuchi

February 15, 2012

ベターレイト・ザン・ネバー  日銀の金融緩和 -

英語で Better late than never. という言葉があります。「たとえ行動はおそく(late)なっても、何にもしない(never)よりはよい」という意味です。危機管理の際に最も有効な名言だそうです。14日の日銀による金融緩和策を聞いて、「遅すぎるじゃないか」と思った人もいるでしょう。「去年の10-12月のGDPが予測を外れマイナスに転じたことを読めなかったのは感度が悪すぎる」とお感じの方も多いと思います。「初めて言及したインフレターゲット1%というのも、アメリカFRBの2%目標に比べればいかにもみみっちい了見だ」と見ることもできます。
それでも今回の措置は「ベターレイト・ザン・ネバー」だと私は思います。デフレからの脱却をめざし、円安に誘導するような思い切ったメッセージを市場に投げかけないかぎり、日本経済はじり貧になるという識者の提言をかたくなに拒んできた日銀が、ようやく方向を変えたのです。とはいえ日銀の体質そのものは変わっていません。この政策変更が長く続くことを見守りたいと思います。こういう話は多くの人にとって難解で苦手だと思います。説得力を持つためには、もっと行数が必要です。しかし今回はここで止めておきます。反論やご意見をお待ちしています。

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COMMENTS

1 : Sako : February 15, 2012 09:39 PM

先生のご意見に賛同出来ません。
なぜならば、日銀の発表は、今迄と何も変わりませんと言っているようなものだからです。

金融緩和をしているように見せかけているだけです。
彼らは、lateではなく、neverを続けます。

REITやETFを数百億程度買って、誤魔化してきました。
小泉政権の時は70兆円程増やしましたが(不胎化の介入を含めて)、10兆円増は少ないです。

2 : 湖の騎士 : February 16, 2012 02:17 PM

Sako様 貴重なご意見をありがとうございます。実務についておられる方が日銀を信用していないことはよく分かります。日銀の「体質そのもの」が「民衆の幸せを考えないようにできている」と私も思ってきましたし、今もそう思っています。しかし、あるいは日銀の内部で「ケミカルな変化」が生まれ始めているかも知れない、という感じも持っています。鈍いくせに度しがたいエリート意識を持っている彼らですが、いくらなんでもこの世界危機の中で、従来と同じ発想で行けるわけがないことを悟り始めたのではないか? 甘すぎるかも知れませんが!

3 : 悠々 : February 17, 2012 08:53 AM

経済のことも私には分からないのですが、今回の日銀の措置は春の兆しを感じます。
季節も立春を過ぎて我が家の梅の蕾にも少しだけ白いものが見えてきました。
日本の経済もその程度の変化が起こり始めたと思いたいです。
日銀が頑ななマントの釦を一つだけ外したのだと思われます。
季節は春に向かっています。日本の経済もやがて春を迎えるであろうと信じたいです。

4 : 湖の騎士 : February 17, 2012 05:43 PM

悠々様 コメントありがとうございます。今回の措置が「どれほど本気なのか?」「どれほど迫力があるものか?」を見極めるために、私は今日、日本記者クラブで開かれた白川日銀総裁の会見に出席してきました。期待と失望が半ばしています。スピーチ内容は典型的な役人の作文でした。記者の質問する時間がなく、この点は完全な失望でした。ただ行間に「春の兆し」が感じられなくもないーーといった内容です。しかし世界に発信するには「パンチ」が弱く、「人を惹きつけるキャッチフレーズがない」のが気になります。一国の中央銀行のトップには悠々さんのような文学的感性が必要です。