View of the World - Masuhiko Hirobuchi

April 15, 2012

ミサイル失敗の真の責任者は誰か? -

北朝鮮が大宣伝の末に打ち上げた「衛星」ことミサイルは、空中で分解してしまいました。新しい最高指導者の祖父の生誕100周年を祝う「壮挙」になるはずだったこの試みですが、8億ドルが文字通り藻屑と化し、北朝鮮は大恥をかいたのです。世界はこの失敗をあざ笑っています。しかし私はそう単純にこれを嗤えません。「責任者の処罰」ということを考えるからです。今までのこの国では、責任者は処刑されることもあったと聞きます。「こんなお粗末なミサイルを作りやがって」ということになるのでしょう。しかし技術者がたとえ「このまま打ち上げたのでは失敗する」と思っても、とてもそんなことは口に出せなかったでしょう。出せば国家の方針に反対する危険な分子とされ、被害は本人のみならず家族にも及びます。今回の失敗の責任者は一体だれなのでしょう。新しい最高指導者に対し、「世界に強盛大国としてのわが国の姿を示すために打ち上げましょう」と進言した軍部のタカ派将軍たちなのか? 大方の見るところはそうです。しかし、最終責任は「そうした進言を受け入れて、『よし、やろう』という決断を下した者」にあります。言うまでもなく金正恩氏その人です。彼が自らの判断力の未熟さを悟り、技術者を処罰したりせず、今後軍部のタカ派将軍らの進言をできるだけ遠ざけ、国際社会と協調してゆく路線を取れる人間に成長してくれることを祈っています。

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COMMENTS

1 : 泥田の落ち武者 : April 19, 2012 12:51 AM

湖の騎士様、

報道によれば、アメリカのロケット関係の専門家は、比較的早くから、打ち上げの失敗を予想していたようですね。(1段目ロケットの重量超過)

北の技術者も、エンジニアならば、ほぼ同等の結論は見えていたはずです。

ところが、政治的思惑を優先させた北の政権は、打ち上げを強行し、大失敗。数百億円がパー。

まあ、自業自得なのですが、今回の火遊びで大打撃を受けたのが中国でしょう。各国は中国の北への影響力を期待していましたが、北の南への砲撃、南の艦船への魚雷攻撃、挙句の果てにミサイルの発射、さらには予想される3度目の核実験等、中国の北東アジアにおける影響力の低下は目を覆うばかりです。

北は中国の影響下において行動する、というのがこれまでの暗黙のお約束でしたが、それを無視した場合、北の政権は成立し得るのでしょうか?

米朝合意はキャンセルされました。中国も自国の外交資源・国際社会への信用の観点から、いつまでも北を支援出来ないでしょう。

まあ、北が自滅してくれる分には勝手ですが、国内がヤバいことになっている中国に、それを受け入れる余裕は無いでしょう。北の中国への甘えがいつまで続くか、或いは、中国の北への介入がいつから始まるか、興味深いところです。

2 : 湖の騎士 : April 19, 2012 03:41 PM

泥田の落ち武者様 貴重なコメントをありがとうございます。中国も北朝鮮も、なかなか内情が分かりにくい国ですから、本当のところはどうなっているのか、はかりかねます。中国がある日突然北朝鮮を見放す可能性も理論上はありえます。しかし今の中国は、確信をもって北を見話すことはできないでしょう。当分の間は、今のような対北関係をずるずると続けていくのでしょうね。問題は金正恩氏のところに「外の世界の情報」が全く入ってこないことです。兄の金正男氏は、こんな祖国の現状に愛想をつかし、中国での生活を楽しんでいるようですが、中国がいつの日にか正男氏を使って現体制を変えようと思う可能性もあります。いずれにせよ、「強勢大国」という信仰に懲り固まった「北」の首脳部の暴走に備えておく必要があります。