View of the World - Masuhiko Hirobuchi

May 01, 2012

天皇賞に見る「絶対多数」の危険性 -

4月29日、京都淀競馬場。天皇賞。断然一番人気の四冠馬オルフェーヴルは、圧倒的支持を集めていました。競馬の専門記者、評論家はそろって彼を本命に推し二重丸をつけました。一般のファンもこうした情報に影響を受け、自らの目に焼き付いた昨年の彼の大活躍を思い浮かべて、彼の単勝を大量に買いました。まるで彼の他には馬がいないとまで言わぬばかりの人気でした。だが結果は、人気薄のビートブラックが逃げ切りを果たし、オルフェーヴルは11着と惨敗しました。競馬と実生活を混同する気はありませんが、いろいろなことを考えさせられるレースでした。このレースの教訓は (1)圧倒的大多数の意見に反した行動を取るのがいかにむずかしいかーということ。相当数の人が「ここまでオルフェーヴルに人気が偏れば、危ない。彼は負けるかも知れない」という懸念を抱いたはずです。だが、あの熱狂的な支持を目にすれば、自分の意見は揺らぎ、断じて単独行動を取って彼を切り捨てる信念を貫いた人は極少数でした (2)大衆が支持する政策が間違うことは多々あるーということ。話題を政治の世界に移しますと、かつてヒトラーを支持したドイツ国民の例にも見られるように、熱狂的な支持を集めた指導者や、多数が好む政策は往々にして過ちを犯し、失敗することが多いということです。いま大阪の橋下市長は、多数の人々の支持を得ていますが、ひとつ危うさを感じる点があります。それは国民生活に関わる重要問題を、「どちら(維新の党か民主党か)の言うことが正しいかを選挙で有権者に決めてもらおうじゃないか」という啖呵を切ったことです。重要問題であればあるほど、「大衆の意見に従ってはいけない」というのが古今東西のリーダーたちの鉄則です。専門家の意見をよく集め、熟考した上で最後には自分の信念を懸けて「こちらが正しい」と思ったことは、どんなに孤立しても断行するのがすぐれたリーダーです。それを「多数の意見で決める」と言っているようでは、彼は一部の人々が熱狂するような政治家ではありません。馬の話からリーダー論へと発展してしまいました。だいぶ無理がある論理ですが、どうか参考になさってみてください。

[Post a comment]

COMMENTS

1 : 悠々 : May 1, 2012 06:45 PM

競馬なら穴狙いで一攫千金を狙うのも良し、手堅く本命馬に大枚を投じるのも、数点買いをして危険を分散するという手もあります。
いずれにしても自分の財布が潤うか、空っ欠になるかという程度の問題で他所様に迷惑を掛けることはありません。
大阪の橋下市長の行動や発言はファッショの臭いがします。
民主党や自民党の情けない為体を見ていると橋下市長の主張が正しいかのような錯覚を覚える国民も多いと思います。
日本人の国民性は個人としては世界一優れて居ると思うのですが、事、政治に関しては幼稚な行動をとることがあります。
テレビや新聞がオピニオンリーダーとして賢い報道をしてくれると良いのですが・・・

2 : 湖の騎士 : May 2, 2012 10:21 PM

悠々様 コメントありがとうございます。日本人はどういうわけか、現実を正視するのが苦手のようです。政党や人物や特定の理念を「自分の好みに合わせてむ見ようとします。民主党がこんな体たらくの政党であることは、3年前の総選挙の目から分かっていたことです。しかし大衆は民主党を持ち上げるマスコミに影響されて、彼らの真の姿を見ることが出来ず政権を与えてしまい、いま「裏切られた」と言って後悔し怒っています。そして「維新の会」に次の希望を繋ごうとしています。しかしこの党のリーダーの最近の発言はかなりコロコロと変わっています。あまり期待しすぎると、またしても幻滅を味わうことになると思います。早く人物や政党の本質を見抜く目を養いたいものです。